1日1日感動したことを書きたい

本、音楽、映画、仕事、出会い。1日1日感動したことを書きたい。
人生の黄昏時だから、なおそう思います。

「西の魔女が死んだ」(梨木果歩)

2009-10-15 19:26:40 | 
 「西の魔女が死んだ」(梨木果歩)を読みました。この本を読むのは二度目。「f植物園の巣穴」を読んで、この本をもう一度読みたくなりました。ラベンダーの香り、ミント、セージ、金木犀、森の木々、野イチゴのジャムなどなど。改めて読み直してみると、この本って、とても香りにあふれているのですね。以前読んだ時は、ほとんど気に留めなかったのだけれど。

 ラベンダーの上で洗濯したシーツを干しておくと、シーツにラベンダーの香りがついてゆっくり眠れるとか、ミントのハーブティーをキャベツの葉にまくとアブラムシを退治できるとか、にんにくを植物の隣に植えておくと虫よけになるとか・・・一つ一つの香りが、長い間語り伝えられてきた知恵と深く結びついているのです。

 主人公の一人である西の魔女(イギリス人のおばあちゃん)は、孫娘のまいに次のように語ります。


「人々は皆、先祖から語り伝えられてきた知恵や知識を頼りに生活していたのです。身体を癒す草木に対する知識や、荒々しい自然と共存する知恵。予想される困難をかわしたり、耐え抜く力。そういうものを、昔の人は今の時代の人々よりはるかに豊富に持っていたんですね。」

 知恵や知識を大切にしながら生きているおばあちゃんと、自分に正直だあろうとしたがゆえに学校に行けなくなってしまった孫娘まいが、ひと夏を一緒に暮らすお話し。まいはおばあちゃんとの生活の中で、「自分で決めること」と「自分で決めたことは、何に対しても黙々と最後までやりぬくべく努めること」を学んでいきます。

 花や草木の名前。香の持つ力。それから「先祖から語り継がれてきた知恵や知識」について、もっと深く知りたいと思いました。知れば、きっと、世界が変わるのだろうな。