1日1日感動したことを書きたい

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人生の黄昏時だから、なおそう思います。

「サラエボの花」

2009-10-13 23:05:39 | 映画
 「サラエボの花」を見ました。監督のヤスミラ・ジュバニッチは34歳の女性で、10代の時にサラエボで、ボスニアとセルビアとの内戦を体験しました。この映画を見ると、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争が、ボスニアの人たちの心にいかに大きな傷跡を残したのかがとてもよくわかります。

 シングルマザーのエスマは12歳の娘サラとボスニア・ヘルツェゴビナの首都サラエボでつましく暮らしています。娘の楽しみは、目の前に迫った修学旅行。娘は、父がセルビアとの戦いで死んでいったシャヒード(殉教者)であった信じています。シャヒード(殉教者)の遺児は修学旅行の旅費が免除されるにもかかわらず、エスマはシャヒードの証明書を出そうせず、修学旅行費をねん出するために夜勤のウェイトレスを始めます。

 どうして母は証明書を出さないのか?私の父は、シャヒードではないのか?

 サラの問いの中で、エスマは娘についに真実を語るのです。

 「同窓会があるの。41人の同窓生のうち生き残ったのは11人よ」というセリフや、悲しみを共有し合うことで心の傷をいやそうとする女性たちのサークル。そして、主人公が娘に語る真実。

 内戦が残した重くてとても大きな傷の中で、母が語る真実を直視し、修学旅行へ向かうバスの中から小さく手を振るサラの姿が、とても心に残る映画でした。