かぜねこ花鳥風月館

出会いの花鳥風月を心の中にとじこめる日記

青葉の森 蠢く

2023-03-02 19:12:32 | 日記

三月に入った昨日の青葉の森、気温が15℃を越えてアウターを着ていると汗ばむほどで、落葉樹の森には春の光が林床にしっかり届いていた。

急に森に生きものの気配、といっても主には野鳥たちだが、羽虫も舞うようになった。

ヒラヒラと目の前にチョウが舞う?「エッもう飛んでいるのか!」と目を凝らすが、どこかに消えて行った。散歩の終わりで、また似た「チョウ」に出会った。そして、「カメラにとってくれよ!」という具合に青い杉の葉にとまった。まるで、落ち葉にしか見えないけれど、生きた「チョウ」がしっかりと日を浴びている。小型の「チョウ」だ。

小型と言っても、チョウにはシジミチョウやセセリの仲間しかいない。(あたりまえだが、成虫はもう成長しないから、死ぬまで同じ大きさだ)。チョウの図鑑にはなかった。どうやらガのなかまに分類されるチョウ目イカリモンガ科イカリモンガというものらしい。チョウに似たガを検索したらわかった。

どうしてチョウではなくガなのかと疑問が湧いたが、大した理由はない。今の分類上、チョウの仲間(例えばシジミチョウやタテハチョウ)には分類されないからだという。ただそれだけの理由だが、この虫は、蝶のように昼間行動をして翅を閉じて休む。

冬は成虫のまま越して、暖かい5月ごろから活動するするらしいが、昨日はあったかかったから、久しぶりに太陽からエネルギーをもらっていたのだろう。

     

 

 

     

 

樹上では、カラの仲間が騒がしい。まだ、高い松の木には松ぼっくりがたくさんついているから大好きなヤマガラくんは松の実探しに余念がないし、松の幹や枝の隙間などをつついては、虫の卵や蛹、幼虫などすぐにやってくる繁殖の季節を前にエネルギー補給に余念がない。

 

    

 

 

    

この日は、普段見かけないヒガラの姿も確認できた。このカラの仲間は、普段もっと高地にいて、冬に平地で見られるから冬鳥に分類されるのだという。

冬鳥と言うと、カシラダカやジョウビタキのように北国からの使者だと思いがちだが、ヒガラやルリビタキなどは冬鳥と言っても2000m前後の山で繁殖する身近な野鳥だ。

まだ、この森でウグイスは鳴いていなかったが、ウグイスを始めカラ類のように早春に早鳴きする野鳥たちは、繁殖時期も早いのだという。最新の日本野鳥の会会報「野鳥」が教えてくれたのだが、

① 春先の植物たちの若葉はまだ無防備で毒性が少なくおいしい。(山菜で実感)

  *植物は虫に食われだすと毒素を葉に送るのだというという

② それを目当てにチョウやガの仲間の卵が孵って、一斉に増えだす。

③ この豊富な虫たちをウグイスやカラは類は大事なエネルギー源としていただき、繁殖を始める。

ということらしい。まあ初先はまだ寒いから、ある程度寒さに強いものだけの特権なのだろう。まだ、新緑には早いので、隠れ場所がなく天敵に襲われるリスクは高いかもしれないが、ウグイスのように藪の中に巣を作ったりと考えてはいるようだ。

早春の花、花の蜜を求める羽虫、チョウやガといった鱗翅類、寒さに強い小鳥たち、皆それぞれの戦略(知恵)をもって生きていて、みなつながっている。

この季節にいち早く命の気配感じさせる生き物たちが、また好きになった。

 

 

     

 

 

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