―(2)からつづく―
前回(2)では、朝日新聞の「傾く家・使えぬトイレ 首都圏の水辺、液状化のつめ跡」 http://www.asahi.com/national/update/0318/TKY201103180170.htmlを転載しました。今回も河北新報と読売新聞の新聞記事を下に転載します。
読売新聞記事では、「地域政党『大阪維新の会』を率いる橋下知事は、咲洲への本庁舎全面移転を府議選の争点に掲げる構えだが」とあります。しかし東日本大震災の惨状を見て、「本庁舎全面移転の争点隠し」が行われるのではないでしょうか。それでもこのたびの「東京湾岸の液状化」という現実から目をそらすことはできません。
こんどの東日本大震災を見て、プレート型の南海大地震がいよいよ近くなったという不安から逃れることはできません。コトが起きたとき、救援司令塔となる府庁が咲洲にあれば、地盤沈下・液状化・津波などの困難が幾重にも重なるものと心配でなりません。関西広域連合・大阪都構想よりも先に、橋本府知事と「維新の会」が『南港移転撤回』を約束してくれるよう、元大阪府民がやたらに多い隣接の奈良県から願っています。
●河北新報 KAHOKU ONLINE NETWORK 2011年03月21日月曜日
http://www.kahoku.co.jp/news/2011/03/20110321t13003.htm
大潮の時期を迎え、沿岸各地は潮位の変化に警戒を強めている。震災の地殻変動で地盤が沈下した宮城県気仙沼市の港周辺では数日前から、満潮の時刻が近づくと道路の裂け目や下水溝から海水が湧きだし、周辺の道路で冠水を繰り返している。
気仙沼市南町では20日午後、油膜を帯びた海水が道路を覆った。水深は深い所で約50センチ。がれきの撤去をしていた人たちも作業を打ち切った。自宅を片付けていた主婦管野さき子さん(56)は「いつまでも冠水が続くと思をうと心配」と気をもんだ。
市の調査では、気仙沼港周辺の地盤は地震で約70センチ沈下した。普段の大潮でも道路上に海水が最大で20センチ程度あふれたというが、地震後は50~70センチに達している。冠水エリアは港周辺の約90万平方メートルに及ぶ。
仙台管区気象台は岩手、宮城、福島3県の太平洋沿岸に高潮注意報を発令。大潮の期間に当たる26日まで潮位の変化に注意するよう呼び掛けている。地盤が沈下した沿岸部では海岸や河口付近で冠水の恐れがある。
気象台は「風が強まると潮位も上がるため、注意報を警報に切り替えることもある。被災地で復旧作業に当たっている関係者や、自宅に戻っている被災者は警戒してほしい」と話している。
●読売新聞 YOMIURI ONLINE 2011年3月13日14時00分
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110313-OYT1T00061.htm
東日本巨大地震で、大阪・南港の府咲洲(さきしま)庁舎(旧WTC、55階建て)は、丸1日以上にわたって一部エレベーターが停止するなどの被害を受けた。
地域政党「大阪維新の会」を率いる橋下知事は、咲洲への本庁舎全面移転を府議選の争点に掲げる構えだが、防災拠点としての機能性に疑問符が付いた形で、論議を呼びそうだ。
府内の揺れは最大で震度3だったが、西日本一の高さ(256メートル)を誇る咲洲庁舎では、「ゆっくりした長い揺れが10分近く続いた」(府職員)という。超高層ビルに深刻な被害をもたらすとされる「長周期地震動」の影響とみられ、発生時に展望台にいたという男子大学生(22)は「長い横揺れに立っていられなかった。手すりにずっとつかまっていた」と話す。
設備面のトラブルも相次ぎ、エレベーター全26基が緊急停止。うち4基に男性5人が閉じこめられ、全員救助まで5時間近くもかかった。エレベーターを支えるワイヤロープが絡まる被害も出るなど、発生から丸1日が過ぎた12日夜の時点でも8基が復旧していないという。
また、咲洲庁舎に近い天保山では60センチの津波が到達しており、近い将来の発生が予想される東南海・南海地震では、周辺がさらに高い津波に見舞われる可能性がある。埋め立て地にみられる液状化現象によって道路の通行ができなくなる恐れもあり、河田恵昭・関西大教授(防災・減災論)は「防災上、長所より欠点がはるかに多く、庁舎移転はやめるべきだ」などと指摘していた。
今回の地震について、橋下知事は11日夜、報道陣に「咲洲庁舎自体に問題はなかったが、揺れへの対応をしっかりしないといけない」と述べ、同庁舎の耐震性を強化する考えを示した。ただ、府議会からは「緊急事態に対応する拠点の役割を担えないのではないか」(民主党府議)との声が出ている