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生涯を完結させるまでに歌いたい歌、最近始めたヴァイオリンとフルートはどこまで演奏できるようになるか、と時々ワンコ

死は人生の終末ではない。 生涯の完成である。(ルターの言葉)
声楽とヴァイオリン、クラシック音楽、時々ワンコの話。

開口端補正

2017-04-27 23:03:30 | 器楽・楽器

 気柱共鳴という言葉を知っている音楽愛好者がどれ位いるのか判りませんが、楽器の分類から言えば管楽器奏者であれば知っていて頂きたいように思います。物理現象であり、流体力学という、それ自体が運動の過程では変形しない質点の運動を扱うニュートン力学ではないものの、ベルヌーイやレイノルズ等が定式化した古典物理学の範疇に納まるものではないかと私自身は受け止めています。音楽の場合には古典派音楽、ロマン派音楽に現代音楽というカテゴリー分けがありますが、物理学にも古典物理と近代あるいは現代物理というカテゴリーの分類がありますね。近年の天気予報の的中率はかなり高まっていますが、これは気象現象は基本的な流体力学の状態方程式で記述され、当該状態方程式をスーパーコンピューターでシミュレーションすることで、従来は難しいとされていた台風の進路予想の精度まで飛躍的に向上しているからだとおもいます。

 いまやそのような時代なので、管楽器の開口端補正についても十分に理論的に解明され、大手の楽器メーカーではコンピューターシミュレーションを駆使して十分に音程などの調整された楽器が日々開発されていると思っていました。自分でフルートを吹くようになって改めて気柱共鳴の開口端補正について調べなおしています。その結果純理論的にはあまり解明されておらず、実験的に様々なパラメーターがどの様に寄与しているかを検証している段階の様ですね。直感的にも理解しやすいのは、周波数が高くなる=波長が短くなるほど開口端補正の影響は少なくなrということです。管楽器の音程の様々なズレを考える時は、低音側を基準に考えるよりも高音側を基準に考えて低音側に行くほどより低い側に音程がズレやすい特性があると考える方が理にかなっている可能性があります。ただし開口端補正以外にも音程に影響を与える可能性がある要因は他にもある可能性があるので、要は各音程毎に何が最も支配的な要因かを評価する必要があります。

 その他”http://www.geocities.jp/waveofsound/”というURLに公開されている「気柱共鳴の物理 」には、管長に比べて管径が小さい=細い管では気柱の粘性が支配的となり開口端補正値は管径に関わらず波長の八分の一となり、太い管では管口での放射が支配的で、開口端補正は管径の0.61になるというデータが存在すると紹介されています。その他、気温や音量には依存しないというデータもあるようですね。従って管楽器の幾何学的形状の最適化によって、まだまだより音程の良い楽器をデザインすることは可能な様に思われます。

 何故未だに改良の余地のある楽器しか世の中に存在していないのか、逆に不思議なきもしますが、あえて不完全な楽器を演奏者が補って完全な演奏を奏でることで、演奏者の演奏技術の優劣をより判断しやすい状況に留めておく効果はあるのかなとも思いますね。まあそこまで意地悪な見方をしなくても、全音域に渡って完璧な音程で演奏できる管楽器は簡単には作れない様にも思いますので、やはり演奏者が微調整しながら演奏する必要はありそうですね。これは音響物理の考察とは全く別に、フルートのレッスンの際に先生から教えてもらったことですが、音域が低いほど=有効管長が長いほど、当該有効管長で音程が決まるので吹き方による音程の調整代は少なく、音程が高いほど吹き方で音程を調整する代が大きくなるということで、優れた管楽器奏者、優れた管楽器製作者はこのような様々な知見・知識を経験的に認識し活用していたと思います。ベーム以前のフルート・トラヴェルソの胴部管が逆テーパーだったり、ベーム式フルートの頭部管がテーパー管であることも、経験的にその様にデザインすることで音域の変化による音程の好ましからざる変化を少なくする工夫だったのだろうと思っている段階です。この問題については今後も研究して報告していこうと思っています。


フルートにしかない?基礎練習 ソノリテ

2017-04-25 23:15:30 | 器楽・楽器

 フルートについては、現在3人の先生のレッスンを受けています。何事も一つ(一人)を絶対評価で良いか良くないかを判断することは難しいが、複数を比べればどちらが良いかを評価することは殆どの場合簡単にできる、と思っています。習い事を上達するには良い指導者を選ぶことが何よりも重要だと思っています。声楽でもヴァイオリンでもフルートでも必ず複数の先生の体験レッスンを受けたうえで、最も良い先生を選ぶようにしました。その結果ヴァイオリンの先生は容易に一人を選ぶことが出来ましたが、声楽では一時期二人の先生に並行して師事していました。一人の先生は他県で片道1時間半以上、レッスン費用1回1時間で1万円。この先生に月に一度のレッスンをお願いしていましたが、イタリア語やフランス語のディクションまでこの先生にお願いするのは費用対効果がもったいないので、自宅からドア2ドアで片道20程、レッスン費用1回1時間で当初5千円、途中から6千円の先生に月に2回レッスンしてもらい、月1の先生のレッスンを受けるための準備をお願いしていました。

 フルートの先生を探すときも、同じように複数の先生に同時に師事することになる可能性を予感していましたが、今回は若干異なる理由からです。体験レッスンを3名の先生にお願いしましたが、何れも自宅生活圏内で一番近い先生ではバイクで5分(雨天時歩いても18分)、一番遠い先生でもバイクで10分。指導力は最初の体験レッスンで直ぐに判りました。松竹梅の松先生は発表会はやっていないとのこと、竹先生と梅先生はそれぞれ年に1回から1年半に1回程度の発表会とその中間におさらい会のようなイベントを行っているとのこと。たまたま竹先生は6月に発表会、8月に合宿でのアンサンブルがあり、梅先生は7月に発表会があるとのこと。なので竹先生には8月の合宿まで、梅先生には7月の発表会までとりあえず指導してもらってその後どうするか決めたいということで了解してもらいそれぞれ月1回の所謂顔つなぎレッスンをお願いし、松先生には月2回のレッスンをお願いしているという次第です。

 さて前置きが長くなりましたが、全ての先生でアルテ(ス)の教則本を見てもらっています。その他に3人の先生ともがそれぞれやり方は微妙に異なりますが、基礎練習として指導して頂いているのが「ソノリテ」というものです。これは近代的なフルート奏法の確立者とも言うべきスイスのマルセル・モイーズ氏が最初に提唱したものの様ですが、具体的には中音域第二オクターブのシ、Hから半音ずつ下がっていくもので、半音上の音色と半音下の音色の統一性を重要視するとともに最も良い音質で全音域に渡って吹奏できるようになることを主眼としている様です。モイーズ氏による「ソノリテについて」という書籍も市販されていますがかなり良い値段がする割には、日本語訳が酷いという評判がネット上にあふれています。アメリカやイギリスの大手インターネット通販業者のサイトで英語版が販売されていますが、これも何故かかなり高額です。ということで書籍(教本?楽譜?)を買うことはさっさと諦め、3人の先生のレッスンの際に、それぞれ注意深く指導して頂こうと思っています。竹先生と梅先生には他の先生にも指導して頂いていると仁義はきっておりますが、ソノリテの指導の仕方をそれぞれ比較させて頂いて私が悦に入っているとまでは思っておられないでしょうね。少々意地が悪い様な気もしておりますが、指導の仕方というよりも私がどの様に吹けばOKでどの様に吹いたらNGかの基準が明らかに異なりますね。当然松先生が私に求める水準が最も高くて、次に竹先生、梅先生は大甘ですね。その他の指導内容とも完全にリンクしていますね。ある意味指導者の指導力とは生徒の潜在能力を見抜いてレッスン時点での合格基準をどこに置くか、ということだと改めて思っています。最も有難いのは指導の仕方は易しいけれど求める水準は高く、生徒が出来ない時にはどうすれば出来るようになるのか具体的な助けとなる引き出しを多数もっている先生ですね。逆に具体的にどうすれば出来る様になるかの説明なしにただ叱るだけの先生は自然と生徒から見放されていくものと思います。幸い私の3人のフルートの先生には後者の様な先生は一人もいません。


フルートと髭

2017-04-23 22:35:07 | 器楽・楽器

 フルートを始めようと思ったころ、世の中にはフルートのリッププレートに貼る滑り止めが売られていることを知っていました。どの程度有効なのだろうかと思いネットで情報を検索していたところ、男であれば下唇の下の髭を伸ばすことで滑り止めになる、という情報がありました。そこでさっそく髭を伸ばしてみました。

 フルートを吹くための構えは3点支持で、左手人差し指の根元を支点として右手親指で管体を強く押すことで、楽器のリッププレートを下唇の下側に強く押し付けます。更に音程によって微妙にリッププレートの角度を調整したりと、非常にデリケートな勘所でもあります。一般の人が思っている以上に強くリッププレートを下唇の下に押し付けていないと、容易にズレます。少しでもズレると音が出なくなったり、音量が出なくなったり、音程が下がったり上ずったりします。右手の親指は楽器を支えるだけで運指には関係ないのであまり気になりませんが、左手の人差し指は運指でも大活躍する指なので、楽器を支えつつトーンホールを開け閉めする訳で、慣れないと管体が簡単にズレます。右手の人差し指の根本と管体の関係がブレるとこれまた容易にリッププレートがズレて音が出なくなったりします。

 上級者であれば、どの様に運指をしても管体を支える左手人差し指の根本はしっかりと楽器をホールドしていますが、私程度ですとまだまだ左手人差し指の根元が管体を支えきれません。それでもリッププレートのブレを最小限に納まるように、楽器の3点支持も吹くたびに様になって来たかなと思うようになりました。そうなると、別に髭がなくても十分に楽器を3点支持出来るのではないかと思うようになり、数日前に髭を綺麗にそり落としてしまいました。その結果、髭が滑り止めになっているという実感は全く無かったのですが、いざそり落としてみると若干の効果があったことは確かな様で、運指によってリッププレートが滑りやすくなっているようです。髭をそり落とす前よりも若干ですが下手になってしまいました。

 ということで、もう一度下唇の下の髭だけ伸ばすことにしました。それまでの間に市販されているリッププレートパッチを購入しようかとも思いましたが、N原先生に相談したところ切手シートの外周の余白部分を張ればゼロコストで十分に滑り止めになるとのことです。とは言え電子メールの時代で切手を購入することもほとんどありません。そこで不織布の粘着テープを貼ってみたところ、十分に滑り止めになります。大手楽器メーカーが滑り止め専用にリッププレートパッチを販売すれば、純真無垢な青少年は購入してしまうと思いますが、原材料費から考えると随分と高い買い物の様に思われます。100均で売っている一番安い不織布粘着テープで十分ですね。それも髭が伸びてくるまでのせいぜい1週間でしょうか。とすれば会社に行っている月曜から金曜はどうせ練習出来ないので、不織布テープを貼る必要すらないということですね。

 ことほど左様にフルートを構える3点姿勢だけでも、なかなか微妙に難しいというお話でした。


パウル・ヒンデミット ピアノ協奏曲

2017-04-21 23:00:25 | 器楽・楽器

 昨日紹介した交響曲「画家マティス」と同じCDに収録されているのがピアノ協奏曲です。当然そのCDとはインターネットのオークションサイトで最低価格の¥1-(送料別)で落札した CLASSICAL MASTERES という日本レーベルのCDです。昨日紹介した「画家マティス」はオイゲン・ヨッフム指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団で、ピアノ協奏曲はピアノ独奏ゲルハルト・ブッヒェルト、ベルリンフィルハーモニー、指揮はマエストロ・セルジュ・チェリビダッケですね。但しライナーノーツなし。私が落札したCDが激安だった理由がライナーノーツが欠品だったのか、そもそもライナーノーツが付属しない廉価版のCDだったのかもはっきりしません。

 ピアノ協奏曲は作曲されたのが第二次世界大戦が終結を迎えた1945年で、ヒンデミット自身は1938年にスイスへの亡命を経て1940年にアメリカに亡命した後ということになりますね。「画家マティス」が現代音楽的な作品というよりもどっぷり後期ロマン派におさまる作品である一方、その11年後に作曲されたピアノ協奏曲は後期ロマン派音楽の範疇には納まりきらない、かなり現代音楽的な態様を身にまとった作品と言えると思います。それでもラヴェルのピアノ協奏曲を楽しんで聞ける聞き手にとっては、ヒンデミットのピアノ協奏曲も聞くに耐える作品ではないかと思います。さすがに万人向けとは私だって言いません。しかし、結局は慣れの問題で、知性というレベルで理解できるかできないかということではなく、何度も聞いていれば自然と耳が鳴れてしまう、そういうことだと思っています。

 興味を持たれた方はインターネット最大手の動画サイトで検索してみて下さい。日本語(カタカナ)で検索すると一つだけ音源がヒットするようですが、作曲者名とピアノ協奏曲をアルファベット(Paul Hindemith, Piano Concerto)で入力すると複数の音源がヒットします。


パウル・ヒンデミット 交響曲「画家マティス」

2017-04-20 23:19:53 | 器楽・楽器

 ヒンデミットと言えば、このブログを見て頂いている方であれば名前ぐらいはご存知かと思います。しかしその作品を実際に聞いたことがあるという方は少ないでしょうね。現代音楽の作曲家の中に列せられると思います。その代表的な作品の一つに交響曲「画家マティス」があります。私自身確認するまで勘違いをしておりましたが、「画家マティス」はフランスの野獣派の代表として知られるアンリ・マティスではなく、16世紀のドイツの画家のマティアス・グリューネヴァルトのことなのだそうです。「画家マティス」は交響曲と同名のオペラとが並行して作曲された兄弟作品なのだそうですが、ヒンデミット自身はドイツ人だったもののユダヤ人の音楽家との親交を大切にしていたことでヒトラーに演奏・上演禁止を申し渡されたそうです。それに正面から反対したのがフルトヴェングラーで、フルトヴェングラー自身が”ヒンデミット事件”と称してヒトラー・ナチスに反対する主張を新聞紙上で展開したそうです。

 まさにその時に作曲されていたのがこの「画家マティス」ですが、交響曲「画家マティス」についていえば、調性感もかなり感じられ、現代音楽というよりも十分に後期ロマン派の範疇に入る作品だと思います。日本でもプロオーケストラの定期演奏会などで演奏されても良いのではないかと思いますが、ヒンデミットの作品と言うだけでチケットの売れ行きが宜しくないことになりそうですね。作曲家の名前に染み付てしまった印象というものは恐ろしいものですね。私の耳には現代音楽的な要素は多少あるものの十分後期ロマン派の作品に聞こえますが、日本国内で演奏される機会はあるのでしょうか。

 ヒンデミットは1895年生誕、1963年没なので、生誕100年も没後50年も過ぎてしまってしばらくはメモリアルイヤーはなさそうですね。「画家マティス」に限らずヒンデミットの作品を生で聞いて見たいものです。