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生涯を完結させるまでに歌いたい歌、最近始めたヴァイオリンとフルートはどこまで演奏できるようになるか、と時々ワンコ

死は人生の終末ではない。 生涯の完成である。(ルターの言葉)
声楽とヴァイオリン、クラシック音楽、時々ワンコの話。

ムラマツ横浜店でツバサリッププレートを試奏させてもらいました。

2017-07-29 22:08:51 | 器楽・楽器

 ムラマツ横浜店で試奏させてもらいました。ムラマツのWebsiteを見ていて「ツバサリッププレート」というものが存在していることをしり、それがどのようなものかネット上で情報を集め、これは絶対に試奏させてもらおうと思っていました。頭部管のリッププレートの歌口の左右に、厚み僅か0.2~0.3㎜位のほんのわずかの凸部が設けられています。

 説明していただいたスタッフの方によると、「ツバサリッププレート」の効果は感じられる人と感じられない人に二分されるのだそうです。私は吹いた瞬間に効果が感じられました。ただ、効果の程度としてはあった方が安心できるような感じではあるが、「ツバサプレート」がないからと言って吹くのが怖くなるほどのものでもない、というところです。山奥の林道などで片側が崖になっている道を車で走る時に、ガードレールがある方が安心感はありますよね。と言ってガードレールが無くてもほとんど同じように走れる程度の道ということです。ムラマツフルートを新規に注文するときはオプション扱いでDSやSRモデルでは+20,000円ぐらいで購入できます。頭部管だけでも購入できるようですがその場合は100,000円程度になるので、ムラマツフルートの購入を検討されている方は、ムラマツの店頭で試奏させてもらって注文時にオプションで指定するのが良いですね。

 私が試奏した限りでは、音色にはほとんど影響は無い様で、吹奏感の安定感が増すという様なイメージです。ミスブローし難くなるということですね。ただムラマツのスタッフの方によれば、試奏者が「ツバサプレート」と「ノーマルプレート」とをとっかえひっかえ試奏している時に、試奏者がどちらの頭部管をつけているかわからない状態で音だけを聞いていても、明らかに音が違う試奏者と、全く変わらない試奏者に分かれるのだそうです。ただ音色の変化で判るのか吹奏感の安定感で判るのかまでは確認しませんでした。吹奏感だけでなく、音色が変わっても何ら不思議はないと思います。

 メーカーとして決して安くはないオプションに関して、万人に効果がある訳ではなく、はっきりと効果が認識できる演奏者とほとんど効果が確認できない演奏者に分かれるということは、演奏者のアンブシャーとか、息を吹き込む角度とか、演奏者の演奏技術や個性に依存するということですよね。そうすると更に一歩踏み込んで演奏者の演奏技術や口の周りの形状などに合わせてツバサリッププレートの形状や大きさ、厚みなどをカスタマイズすると、更に多くの演奏者に有効な「アドヴァンスドツバサプレート」等と言うものが提案される可能性もある様に思います。如何でしょうかムラマツ様、是非是非合理的なコストで実現して頂けないでしょうか???


リコーダーからの発音に関する流れと音の直接計算 豊橋技科大 濱砂龍摩 横山博史 飯田明由

2017-07-28 23:37:24 | 器楽・楽器

 最近の天気予報は良く当たりますよね。スーパーコンピューターの発達でかなり精密な計算が出来る様になったからですね。一方の地震予知は出来るのかどうかさえ今だに結論が出来ていません。というのは気象は大気の現象でスーパーコンピューターで計算する基本的な方程式が解明されているからですね。一方の地震については地殻の動きを記述する基本的な方程式が解明されていないため計算のしようがないからです。というのはかなり端折った説明ですが、空気の動きについてはコンピューターを使ってかなり詳細に検討することが出来るということを言いたかった訳です。ということで楽器の音程や音色についてもコンピューターを用いた計算やシミュレーションは相当進んでいるだろうと思っていました。それで調べてみると九州工業大学の高橋公也という方がエアーリード楽器についての解析を色々発表されているのも見つけています。

 で、私自身理科系大学院卒ではありますが、専門は化学系のためコンピューターによる数値解析の論文は正直読みこなせません。それでも解析の結果として発表されたグラフや図等の意味を大きな間違いなく理解すれば、その結果は様々参考にさせてもらって良いだろうと思っています。そんなトピックスを一つ。リコーダーを吹いた時に発生する音の大きさ=音圧の分布なのですが、空間の中にリコーダーだけが浮かんでいて勝手に空気の流れが歌口の中に吹き込まれて生じるリコーダー周囲の音圧の分布と、人間の全身もモデルに取り入れた場合では、人間の体に反射する音の影響で、リコーダーだけを対象に計算した時では音圧の分布が変わるそうです。論文から読み取れた情報はとりあえずこれだけですが、金管楽器や他の木管楽器では楽器の歌口=マウスピースの反対側は断面積が広がったベルになっていて、そのベルから空間に効率良く音が放出されます。また楽器によりますがベルは奏者から見れば体から離れた側にあるので、エアーリード楽器以外の金管楽器や木管楽器の場合は、エアーリード楽器に比べて演奏者の体に反射する音の影響は少ない筈です。逆に言えばエアーリード楽器は吹奏楽器の中では最も演奏者自身の体(=姿勢も含まれます)の影響を受けるということですね。音圧が影響を受けるのであれば、音色も少しは影響を受ける可能性はあると思います。

 音響学や流体力学の教えるところでは楽器の素材が変わっても音色は変わらない、吹奏者の口腔を広げたり狭くしても音色は変わらない、等の指摘もあるようですが、演奏者の立場としては口腔を広げると深く豊かな音に変わるような気がしています。ということは演奏しやすさとは異なる次元で、演奏者にとっては多少演奏しにくい姿勢やポジションかもしれませんが、もしかしたら最も良い音がする構え方や姿勢、ポジションがあるのかもしれません。


フルートのデイリートレーニング;ホイッスルトーン

2017-07-27 22:52:35 | 器楽・楽器

 月曜から金曜は会社に出勤しています。帰宅するのは19:15分頃です。それから夕食が始まるまでの10~30分程度をフルートの練習に当てたいところです。が、私がフルートを吹き始めると愛犬のリリ姫が遠吠えを添えてくれます。その遠吠えが日々強くなって来ていて、ご近所に迷惑かなと思い練習方法を再検討しました。その結果、リリ姫が遠吠えを始めたらなでるとか、大好きなおやつをあげて気をそらすとか、幾つかトライしましたが全て遠吠えを止めさせることは出来ませんでした。となると私の吹き方を変えるしかありません。しかし音を出さなければ練習にならないし・・・、と思ってもいましたが一つだけ選択肢が残っていました。それがホイッスルトーンですね。

 以前にもホイッスルトーンについて紹介したことがあると思いますが、ホイッスルトーンは別名ウィスパートーンとも言われ、ヴァイオリンではフラジオレット奏法に当たる様な、微かな息の音です。口の周囲の筋肉を完全に脱力して、弱くて遅い息だけれどもそれなりの密度を腹式呼吸でしっかりと支えていないと出ない音です。なので口の周囲の脱力と息の支え、特にピアニッシモでの息の支えの訓練に最適です。でホイッスルトーンは低い音程よりも最高音域に近いところの方が出しやすいのも特徴ですね。今の私は第4オクターブのレから第三オクターブの下のド(第二オクターブの上のド)までがホイッスルトーンを出せる音域です。一応出せますが息が十分に音に成りきっていなく、息の音とホイッスルトーンが混じったままです。

 ということで、しばらくは会社から帰宅したら速攻で着替えて、ホイッスルトーンの練習にしばらく励むつもりです。先ずは息を効率よく音に変換して、弱いとはいえ充実した響きで鳴る様に個々の音程を洗練したいと思っています。同時にホイッスルトーンが鳴る音域を上下に広げていくのも目標です。この記事を書く前にネットでホイッスルトーンの練習について調べてみると、ホイッスルトーンの練習をするとピッコロの音色も良くなるそうです。その様な内容の複数の記事がありましたので、ピッコロの音色をより良くしたい方はフルートでホイッスルトーンを練習するのが良いと思います。

 ホイッスルトーンについては、きちんとした指導力を持った先生に、実地で手本を示してもらい、自分でトライして先生の指導を仰がないと、何がホイッスルトーンかを正確に把握するのは難しいと思います。それでもフルートの吹奏技術を上げるには、歌口に対する息の吹き込み方を微妙に調整する能力が鍛えられるので、効果は大きいと思います。そして何よりも普通の防音性能を有している住宅環境であれば、深夜にホイッスルトーンの練習をしても隣近所から文句を言われることはないと思います。それぐらい微かな音量です。

 さて我が家のリリ姫ですが、ホイッスルトーンにも確かに反応しています。音量が小さくても確実に聞こえているみたいです。少し遠吠えを始めたかと思いましたが、すぐに鳴き止んでくれました。


再びフルートの音色について

2017-07-26 22:17:16 | 器楽・楽器

 最近聞いている器楽の音源はダントツにフルートですが、まだ声楽の音源を聞く方が多いと思います。とはいえフルートの数少ない音源を聞いていると、以前は殆ど同じように聞こえていたフルートの音色が、音源ごとに微妙に異なっているのが判る様になって来ています。3大テノール協演のCDを初めて聞いた時にはパヴァロッティ、ドミンゴとカレーラスの区別が全くつかなかったのに、繰り返し聞いている内に識別できるようになったのとよく似た経緯をたどっていると思っています。

 著名なフルーティストのサー・ジェームズ・ゴールウェイ氏が「Sir James Galway 16 Flutes Demonstration」というタイトルの動画で16本のフルートを吹き比べている映像と音源があります。それぞれのフルートの音質が100%完全に同一かどうかまでは断言できないかもしれませんが、どのフルートでもゴールウェイ・サウンドと呼ぶべきかと思わされる、楽器の音ではなく演奏者の音が鳴っています。それにしても総銀製だけでなく様々な純度の金製や白金製の楽器までありながら、一般に鳴らしにくい低音域でも十分に鳴らし切っているサー・ゴールウェイ氏の演奏力には目を見張る(耳を聞き張る?)ものがあります。1980年代のころは若手で派手な見てくれであまり好きなフルーティストではありませんが、今や壮年期を過ぎて程よく丸く枯れつつありながら、吹奏能力についてはまだまだ青年の様です。

 ということで、素材=材質が異なっても音色は変わらないという結論に結び付く情報になると思いますが、本当にそう考えてよいのでしょうか? サー・ゴールウェイ氏と動画で紹介された16本のフルートの場合、それぞれのフルートが固有に持っている楽器自体の音色を、サー・ゴールウェイ氏が身に着けている吹奏技術に基づく音色が全ての面で凌駕していたから、結果としてどの楽器を吹いてもサー・ゴールウェイ氏の音色が前面に出て聞き手に聞こえたということはないでしょうか?吹き手が自らの音色を十分に確立していない段階の初・中級者がサー・ゴールウェイ氏が吹き比べたのと同じ16本の楽器を吹き比べた場合、吹き手の音色よりも楽器が固有に持っている音色が前面に出て、楽器によっては吹き手の音色ではなく楽器固有の音色が、また楽器固有の音色がそれ程強くない場合には吹き手の音色が聞き手に聞こえる、ということはないでしょうか?

 以上述べたことは単なる私の仮説で、未だフルートの音色を決めるのは何か、諸々考えているところではあります。ただ、今年の2月からフルートを吹き始めてようやく半年になるという私ではありますが、楽器がそれぞれ固有に持っている音色の違いがあるかどうかは未だ良く判りませんが、楽器毎の吹奏感の違いがあるということは確かです。なので、吹奏感の違いに拘って様々な楽器の材質=素材にこだわることは、趣味の問題かもしれませんが根拠がある様に思います。とにかく軽く鳴る楽器が良いという人もいるでしょうし、私自身はある程度抵抗感がある方が楽器をコントロールする感覚が楽しめて好きです。”管楽器の音色は演奏者が作り弦楽器の音色は楽器が作る”という主旨の言葉があるそうですが、管楽器、少なくともフルートの音色については演奏者が作る割合が圧倒的で、材質=素材が多少影響するとしてもせいぜい数パーセントのスパイス程度だと思います。ただし広いホールで観客席の後ろの方で直接音の割合が少ない場合には違う(素材=材質の差が大きくなる)可能性は否定できません。


ストラディバリウスの謎も解明されつつあるように思います。

2017-07-25 22:44:56 | 器楽・楽器

 一昨日の日曜の夜は、NHK総合のNHKスペシャル「列島誕生 ジオ・ジャパン 第1集 奇跡の島はこうして生まれた」を見終わってからNHK教育の「クラシック音楽館」を見たので、全体を通して聞けなかったのですが、ストラディバリウスの秘密に迫る現代の日本人ヴァイオリン製作者のストーリーが紹介されていました。

 ストラディバリウスのヴァイオリンはボディの何処を叩いても同じ高さの音がするそうです。ところがモダンヴァイオリンではその様に調整されているヴァイオリンは、その日本人ヴァイオリン製作者が作るヴァイオリン以外には無いそうです。また、ストラディバリウスでは無いそうですが、ストラディバリと同年代のオールドヴァイオリンの製作者のヴァイオリンの中には、表板に節のある楽器もあるそうです。ところがその節の部分は叩いた時に他の節の無い部分と同じ高さの音が鳴る様に削って厚さを薄くしているそうです。

 木には木目があるためどんなに良い材料を選んだとしても、完全に均一な素材とは言えません。むしろ不均質な素材を如何に活かすかが製作者の腕の見せ所でしょう。したがってストラディバリは出来る限り良い材料を選んだとしてもどうしても無くすことは出来ない材料の不均一さを、ボディのあちこちを指で叩いてみて、同じ高さで音が鳴るということを条件に、場所によって板の厚みを変えて仕上げていたと思います。木と言う素材のもつ不均一さを無視して、形状だけをコピーしても、ボディの其処此処で叩いた時の音の高さが異なっていれば、それはストラディバリがヴァイオリン制作時の基準については何も踏襲していないと思います。

 ところが話はそれ程簡単ではなく、ストラディバリウスは表板も横板も、何処を叩いても同じ高さの音がするそうですが、モダンバイオリンでは表板と横板とでは同じ高さの音は鳴ってくれないそうなのです。というのは表板と横板の厚さが異なるからだそうで、何か工夫をしない限り表板(と裏板)と横板の叩いた時の音の高さを一緒には出来ないとのこと。そこで先述の現代の日本人ヴァイオリン製作者が思いついたのが、表板の上に軽石をこすり合わせて出来てくる細かい粉末=火山灰を振りかけて、火山灰を研磨剤にして表板の表面を磨くという技。それによって摩擦熱で表板の表面が熱処理されることになり、未処理の横板と叩いた時に同じ高さの音が鳴る様になるとか。

 その様にして作製された日本人ヴァイオリン製作者のモダンヴァイオリンはストラディバリの音響特性に非常に近いものが出来上がっていたと、紹介されていました。まさか「クラシック音楽館」でこの様なドキュメンタリー的な内容が紹介されていたとは全く思っていませんでした。知っていたら確実に録画して永久保存版にしておいたのですが。一昨日一生懸命に見た内容ですが既に細部に関しては記憶が定かではなくなってきています。「クラシック音楽館」は再放送も内容です。まあ、NHKのことですから数年以内にはさらなる結果を取り入れたうえで「ストラディバリウスの秘密に迫る」と言う様な内容の本格的なドキュメンタリーを放送してくれるでしょう。