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ワールドカップの事31

2014-07-06 00:01:15 | サッカー(日本代表、W杯等)

 事例紹介コラムです。
 W杯も佳境に入り、今朝はブラジル対コロンビアという好カードがありました。残念ながら、生観戦も留守録もできなかったですが。決勝トーナメントに入り、今回は中南米が特に強く、ヨーロッパ(いくらか残っていはいますが)とアジアが弱い構図になっている気がします。すっかり日本国民は蚊帳の外になってしましましたが、今回はヨーロッパの3大リーグと言われるイングランド、スペインが揃って最下位敗退、イタリアも予選リーグ3位敗退と、見る影も無かったです。世界中から一流選手が集まるレベルの高い国内リーグで、さぞやナショナルチームもレベルアップして強化が図れているのだと思っていたら、全く予想外の結果でした。国内リーグのいわゆる「プレミア化」が、逆に代表チームの弱体化を招いたという事なのか。具体的には、若手育成の不足とコンディショニングの劣化が挙げられるようです。以下、事例を紹介します。
   
【スペイン、イングランド、イタリアの苦戦の理由は?】
 イングランド、スペイン、イタリア代表のW杯メンバー69人のうち、64人が3大リーグ(プレミアリーグ、ラ・リーガ、セリエA)でプレー。3つのトップリーグが最も厳しいリーグであるため、W杯でのここまでの3カ国の成績が散々な結果に終わった。3チームが戦った6試合のうち敗戦は5つで、いずれも敗れるにふさわしい戦いぶりだが、唯一の例外はイタリアの1勝だが、その相手はイングランド。過酷な気候や長距離移動といった今回のW杯の極端な条件と、欧州の長いシーズンの疲労が組み合わさることで、世界最高の選手たちの弱い部分が露呈。
 その中で、ウルグアイや、チリやコスタリカといった小国のチームが、名前で上回る相手をあっさりと勝った理由は特にフィジカルコンディションで上回ったことにあった。現代のサッカーは、コンディションに関して一切妥協を許さない証拠に、欧州サッカー界の2大ビッグスターであるクリスティアーノ・ロナウドとメッシも、不調やコンディション不良の影響で今大会で苦戦。

 サッカーの小国の選手達が3大リーグの代表選手より優れた選手という訳でないが、彼らが良いフィジカルコンディションで今回のW杯に臨めたことは間違いなく、クラブでのシーズンの負担は明らかに3大リーグに及ぶものではなかったと推測。欧州のトップ選手たちは、試合数の増加による負担やメディア・サポーターからのプレッシャーに加えて、現在では派手な広告キャンペーンにもしばしば関与し、今大会の広告にも敗退者でありながら登場し続ける。
 イングランド代表は、3大リーグで活躍する選手はルーニーのみと、'66年に地元開催のW杯以降、タイトルは無く、'90年大会の4位が最高成績というていたらく。選手層が薄すぎる憂慮すべき状況を克服するためには戦略家が必要だが、ロイ・ホジソン監督からは明確なプランが感じられない状態。前カペッロ監督は、「他国に比べると国内のスケジュールが厳しすぎる」と、イングランド代表が弱体した要因を指摘していたが、体力的な問題だけではない様子。伝統やプライドを優先し、若手育成を疎かにした代償という事実。
Jスポーツコラム該当記事:http://www.jsports.co.jp/press/article/N2013091817301402.html

 先日の日経新聞のスポーツコラムには、プレミアリーグ選手の平均週給は約536万円で、若いうちから潤って、飢えが無いという指摘があり、国内リーグの厳しい戦いで心身が擦り切れているという声もあると紹介してあります。
 以上はイングランドの話でしたが、スペインやイタリアも同じような状況だと思います。リーグを世界一のレベルに引き上げるために、外国人選手制限を撤廃し、外国人だらけの商業主義の強いナショナルリーグになったのと引き換えに、純粋な自国民のサポーターを減らして、お金持ちの外国のサポーターが増えて行った。入場料は高騰して、自国の庶民サポーターはスタジアムではなく、TV観戦に追いやられてしまいました。自国民に支持されまくなった代表チームが強くなる訳がありません。そういう状況では、自国の若手選手が活躍できる機会は余りないでしょう。そういう環境で育成が後回しになってしまった面もあるのでしょう。
   
 ところが、同じヨーロッパでも全然違う国があります。それはドイツ。今回のW杯でも優勝候補で、W杯優勝3回、過去16大会連続でW杯ベスト8進出、ユーロ優勝3回の強豪。ブンデスリーガは平均観客動員数が世界一です。ドイツではドイツ人の出場が多いです。ドイツがドイツ・ブンデスリーガでは、'06年からは必ず12人以上のドイツ人プレーヤーを登録し、うち6人は地元で育ったプレーヤーでなければならないという「ドイツ人枠」に変更。更にドイツサッカー連盟は、所属クラブの多額の借入と、特定のプレーヤーへの多額の年俸支払いも禁止。確かに成長したスター選手が、ドイツから3大リーグへ移籍する現象がありますが、その穴をドイツ人プレーヤーが埋めて、埋めたプレーヤーがスタープレーヤーに育っていくという好循環が、ブンデスリーガにはあり、ドイツ代表チームの若手は、次から次へと出てきている状態。

 ここで当ブログが思うのは、商業主義を進めるといくら見てくれが良くて、観客動員数などの数字が良くても、結局は自国代表チームが弱体化して自国リーグも人気が低下し、「文化」にはならずに「一時の出来事」になってしまう事。(あれっ、何かどこかで口にした言葉かも・・・)
 日本サッカーもそういう方向に行っている気がします。Jリーグはまさに放送ビジネスを気にした商業主義に傾倒し、2ステージ制で無理やり人気を回復させようとしています。2ステージ制のために過密スケジュールになり、選手は疲弊するために代表チームは弱体化します。すでに今W杯の惨敗のために、日本サッカー自体の人気が下がる道に入ったのではないでしょうか。これからのシーズンは、「どうせ日本は弱いから」と代表人気が低迷し、2ステージ制で一時的に盛り上がっても、2、3年後は結局は盛り上がらずに、2014年シーズンよりも悪い数字になってします。という悪魔のシナリオをつい思い描いてしまいます。Jリーグが目指すのは3大リーグではなく、世界最多の観客動員数を誇るドイツではないでしょうか。
 一つだけ揺り戻しができる存在があるとしたら・・・・ それは日本協会でしょう。サッカーのピラミッドの頂点として、チェック機能としてしっかり監視して欲しいです。

コメント
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