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サポーターについて39

2014-03-16 02:08:17 | サッカー(Jリーグ(J1・J2)・国内)

 事例紹介コラムです。 
 J1浦和の前節ホーム戦で「JAPANESE ONLY」という横断幕が掲げられた問題で、23日開催の浦和のホームゲームについて、観客を入れない「無観客試合」とする処分が出ています。今日はアウェー広島戦でしたが、横断幕やゲーフラの掲出が禁止されていました。これらの事に関して、報道ではいろいろと情報が出ています。当ブログとしても、取扱いはとても難しいですが、事例という事で紹介したいと思います。まずは、無観客試合になった場合の賠償部分。

 無観客試合の実施に対して、チケットを買ってしまったサポーターからは「チケットを返金するべきだ」という声や、それ以上の損害賠償を求める声が出ているとか。ホテルを予約していた場合も考えられ、チケット代に加え、ホテルのキャンセル代などの賠償を求めることができるのか、田沢弁護士の回答です。

【試合を実施して観客に見せるのが「主催者の義務」】
 試合観戦のためのチケット販売契約は、主催者が試合を実施してこれを観客に見せ、観客が主催者に対して対価を支払うことを主な内容とする契約。主催者がその義務を履行しなかったり、その責めに帰すべき事由により義務を履行できなくなった場合には、債務不履行となり、契約を締結した観客(チケット購入者)は、主催者に対し、これにより生じた損害の賠償を求めることができる(民法415条)。
 今回の場合、浦和レッズが対応不備の責任として、「無観客試合」の処分を受けたわけだから、観客が試合を観戦できなくなった責任は浦和レッズにあるといえる。チケットの返金が認められるのはもちろん、それによって生じた他の損害の賠償も請求できるということになりそうだが、大量販売されるチケットについては、「チケット規約」が設けられているのが通常で、チケット購入者はこの規約に同意したものとして扱われる。
 規約では、主催者側の都合により興業が中止となった場合につき、チケット代金の払戻しは認めても、それ以上に、旅費等の払戻しまでは認めていないことが一般的。
【チケット規約と「消費者契約法」との関係】
 その規約の中で、チケット購入者がこうした規約に反論する余地はないのか。消費者契約法8条1項2号では、事業者の債務不履行により消費者に生じた損害を賠償する責任の一部を免除する条項は無効と定めており、債務不履行は、その事業者の故意または重大な過失によるものに限る、とされている。したがって、もし債務不履行(無観客試合)が、主催者側の重過失に基づくものだということになると、チケット購入者に生じた損害の賠償義務の一部を免除する規約は無効になり、本来賠償すべき金額の全額を賠償しなければならない、ということになる。

 そうなると、ポイントは、その事態を招いた原因が、主催者側の「重大な過失」だったかどうか。もし、重過失で賠償されるという話になったとしたら、たとえば、ホテルのキャンセル代はどうか。ホテルのキャンセル代について、遠方から訪れるサポーターが試合観戦のためにホテルに宿泊するということは、通常あり得る。そうした人方が一般的なホテルを予約していたというケースであれば、やはり賠償の対象となるものと考えられる。
 J1浦和は公式HPで「当該試合のシーズンチケット及びご購入いただきましたチケット(入場券)の取り扱い等につきましては、3月18日(火)に当サイトにてお知らせさせていただきます」とアナウンスしている。ここでどんな発表があるのか、注目されると締めくくっています。
弁護士ドットコム該当ページ:http://www.bengo4.com/topics/1301/ 

   
 無観客試合について、チケット払い戻しになるようですが、この弁護士ドットコムによると、それ以上にホテル代などそれに付随する損害も賠償の対象になる可能性について触れています。この辺りは専門家ではないので、紹介するしかありません。「無観客試合というペナルティについて、そこまでやるべきだったのか」という声がありますが、これはJリーグの予想を超える影響になるのかもしれません。
 報道では、他にもいろいろな情報が流れてきました。以下、順番に紹介しましょう。

 淵田社長の謝罪会見の中で「ホームページ(HP)上で「自分が見聞きしてきたことを投稿してください」ということを進めているが、我々が聞けていないいろいろな言葉なり行為があったことも指摘されている。公式HPからどんどん投稿をいただくことで、いろいろな(直接クラブに)意見をもらっている。そういったものを真摯に受け止めて、今後の対策に生かしていきたいと思います」とあります。
 公式HPを観てみました。公式HPには「iDEA For REDS!」という「皆様から浦和レッズに関するアイデアの置き場」というページがありました。「浦和レッズをよくしていくために、 大切なクラブ運営の仕組み、構造などを生み出す場にしていきたいと思います。皆様から、ご意見、感想や 企画、提案など、是非お寄せください」とあり、運営の仕組みや構造という事は例えば、経営構造についても意見を受け止めるという事でしょうか。
 よく「意見があれば、代表メールに氏名を入れて送って欲しい」というものを見かけましたが、こちらはメールアドレスのみで実に発言しやすくしています。「名乗って意見を送ってもいいが、後が怖いからなぁ・・・」というケースもある中、浦和さんはいい事例ですね。ここにも情報化に開けたところと開けていないところの違いを感じます。

 同じく淵田社長の謝罪会見の中で「ゴール裏は迫力ある応援が魅力だが、こうした規制で持ち味がなくならないないとは言えない。それでも皆さんに分かっていただき、一から出直して応援していただければありがたいと思っている。コミュニケーションが大事だと思っている」とあります。これは、当ブログでも心配していた部分。規制をすればするほど、サポーターは背を向けていく。特に遠いアウェーまで足を運んで、少人数で熱いコールを送るのはコアサポーターであり、それがないと、ホーム側しか応援コールがない地域リーグの試合になってしまい、プロサッカーの試合じゃなくなってしまう可能性があります。
 U-21日本代表の手倉森監督も「あんな横断幕が掲げられて無観客試合になるなんて、寂しいね。クラブとサポーター(の距離)が離れてしまう」とコメントされています。当ブログでも一昨日の記事でクラブだけでなく、Jリーグ側とサポーター側の距離が広がってしまう事を懸念をしています。「何だか怖いスポーツ」とイメージダウンし、「口コミ」が悪い方向に作用して、結果的にリーグ全体の人気が下がってしまう可能性。

 こんな情報もありました。今回の横断幕の発言には、最近のJ1浦和には「韓国人選手を積極的に獲得しない」という「裏方針」が影響があった可能性があると。'02年から4年間社長を務め、のちに日本サッカー協会会長に就任した犬飼氏は「日本代表のライバル国の選手をレッズが育成し、強化する必要がどこにあるのか。同じ実力なら日本人選手を獲る」との発言があるとか。あくまで日本代表を強くしたいというサッカー目線の方針であって、差別の意図は全くなかった。この考えはサポーターにも支持されていたが、いつの間にか「嫌韓」に話がすり替わっていった可能性は否定できないと。
 また、「この時の試合は、先発全員日本人選手だったので、日本人選手で頑張ろうという意図だったらしい」という声も聞きました。どこまで本当なのか、わかりませんが、ツラツラと情報を並べてみました。
 こういう情報を耳にすると、確かに人種差別は良くないと思いますが、本当にサポーター側に話を聞いて人種差別の意図があったと判断できたのかとも思ってしまいました。今回のJリーグ側の行動は早いと評価されているようですが、本当の評価はもう少し観てみないといけないのかもしれませんね。

 そして、横断幕と旗の掲出禁止と強化された警備態勢の中で開催された今日のアウェー広島戦で勝利を上げました。その中でデイリースポーツによると、淵田社長はサポーターと対話するタウンミーティングの実施を明言したとか。「タウンミーティングもやっていこうと思う。新しい形をつくっていかないといけないと思う」とし、今後の応援態勢を話し合って模索するそうです。
 当ブログで一昨日の記事で、「Jリーグ側とサポーター側で「対話するシステム」ができていて、定期的に意見交換ができていたら、ひょっとしたらサポーターのここまでの暴走もなかったのかもしれません」と書いています。以前の「2ステージ制騒動」の記事で、Jリーグ側が全国各地でサポーターと対話する「ホームタウンミーティング」を提案しています。今回の淵田社長のコメントはクラブとの対話ですが、本当に必要なのは、「本当の当事者」Jリーグ側とサポーター側の対話だと思っています。まあ、対話の機会を設けていくのはいい事だと思います。某黄色いチームもつい最近まで、毎月「イエローハウス」という対話を毎月されていて、「ファミリー化」できました。これを機会に、Jリーグ側も恐がらずに全国各地のサポーター側と対話を始めてはいかがでしょうか。
デイリースポーツWEB該当ページ:http://www.daily.co.jp/newsflash/soccer/2014/03/15/0006782257.shtml
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コメント (2)
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