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碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

【気まぐれ写真館】 「代々木」界隈

2024年07月18日 | 気まぐれ写真館

2024.07.17


警察ドラマの珍品「ギークス~警察署の変人たち~」

2024年07月17日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

 

 

警察ドラマの珍品

松岡茉優主演

「ギークス~警察署の変人たち~」

 

異色の警察ドラマと言っていい。松岡茉優主演「ギークス~警察署の変人たち~」(フジテレビ系)である。

まず、刑事が活躍する話ではない。鑑識課の西条唯(松岡茉優)、医務室の吉良ます美(田中みな実)、そして交通課の基山伊織(滝沢カレン)の3人が雑談しながら、結果的に「事件解決をアシスト」するのだ。

ギークとは、突出した知識を持つ人や専門家を指す、アメリカの俗語。唯は記憶力、ます美は心理分析、伊織は地域情報と、それぞれが武器を持つギークという設定だ。

これまでに、有名スポーツ選手の結婚披露宴で起きた強盗・殺人事件や、石段からの転落傷害事件に関わってきた。

しかし、謎解き部分に大きな意外性や驚きがあるわけではない。それよりも3人のキャラクターショーを楽しむドラマになっている。

たとえば、ジグソーパズル好きな唯が、事件の真相に触れると「ハマっちゃった」とつぶやく。他人の心の隙に付け込んで支配する「マニピュレーター」や、仕草など他者から見える部分に向けた「公的自己意識」などを得意げに解説する、ます美。そんなシーンこそが最大の見せ場だ。

不思議なのは、定時に帰ることから「省エネ3人組」と呼ばれ、行きつけの居酒屋で管を巻く彼女たちが、少しも仲良しに見えないこと。警察ドラマの珍品として、逆に一見の価値がある。

(日刊ゲンダイ「TV見るべきものは!!」2024.07.16)


言葉の備忘録380 人間は・・・

2024年07月16日 | 言葉の備忘録

 

 

 

 

人間はこの世に生を得た以上、

「生きる」ことを至上の命題とする。

 

 

嵐山光三郎

『生きる!』

 

 

 


Nスペ「オンラインカジノ」の衝撃

2024年07月15日 | 「毎日新聞」連載中のテレビ評

 

 

<MediaNOW!>

Nスペ「オンラインカジノ」の衝撃 

「スマホの奥の闇」暴いた調査報道

 

衝撃的なドキュメンタリーを見た。6月29日放送のNHKスペシャル「調査報道 新世紀 File4 オンラインカジノ 底知れぬ闇」だ。

オンラインカジノ(略称オンカジ)は、インターネット上に開設された賭博場である。スマートフォンで簡単にアクセスできるが、刑法の賭博罪に当たる「違法ギャンブル」だ。

推計では日本の利用者は数百万人。ギャンブル依存症を発症して多額の借金を背負う人が後を絶たないという。

番組には1500万円もの負債を抱えた男性が登場した。妻と2人の子どもを持つ大手企業の正社員だったが、暇つぶしでアクセスしたオンカジにのめり込む。どうしてもやめられず、仕事中もスマホをいじって賭け続けた。

クレジットカードを使い切り、消費者金融からも借金。やがて仕事を失い、自宅を売却し、家族もバラバラになってしまった。番組はギャンブル依存症の当事者や家族を支援する専門家に密着しながら、「スマホの奥の闇」を探っていく。

オンカジの多くが海外で運営されている。取材班は、地中海にあるマルタ共和国で日本の若者たちがオンカジの仕事に就いていることを知り、現地へと飛ぶ。

日本では違法に当たるオンカジ。その深層に迫るため、弁護士と相談の上で、隠しカメラを使った「潜入取材」に踏み切った。

オンカジのディーラーである日本人女性によれば、約80人の日本人が24時間、交代制で日本の利用者と会話しながらギャンブルの相手をしている。

だが、この会社はカジノ自体を運営していない。ディーラーたちの映像を「依頼主」に提供しているに過ぎないという。

取材班はさらに、依頼主と思われる会社で働いていた日本人女性にたどり着く。

数字や結果をランダムに生成する「RNG(ランダム・ナンバー・ジェネレーター)」というシステムがある。彼女がいた会社は「公平なゲームをRNGが保障する」と喧伝(けんでん)するが、実際には「調節」が行われていると打ち明けた。

勝ち負けがコントロールされているなら、オンカジはもはやギャンブルですらない。それが人間を破滅させているのだ。

注目すべきテーマを設定し、その取材過程も含めて伝えていくのが「調査報道」なら、この番組は王道とも言える一本だ。

国境の壁を越えた大胆な潜入取材も効果的だった。見る側は通常では垣間見ることもできない世界に触れ、スマホの向こう側の実態を知ることができたのだ。

番組は取材の継続を宣言している。大きな関心を持って次の報告を待ちたい。

(毎日新聞 2024.07.13夕刊)

 


言葉の備忘録379 愛を・・・

2024年07月15日 | 言葉の備忘録

 

 

 

 

愛を学ぶために 

孤独があるなら

意味のないことなど

起こりはしない

 

 

平原綾香『Jupiter』

(作詞:吉元由美、作曲:G.Holst)

 

 

 

 


7月14日(日)『談談のりさん+(プラス)』に出演

2024年07月14日 | テレビ・ラジオ・メディア

 

 

7月14日(日)午前6時15分~

UHB北海道文化放送

『談談のりさん+(プラス)』に

出演します。

 

テーマは、

「少子化問題」

 

放送後、

下記の番組サイトで

「ノーカット完全版」を配信。

 

談談のりさん+(プラス) | 番組情報 | UHB 北海道文化放送

 

 

 


日刊ゲンダイで、有働由美子「有働タイムズ」について解説

2024年07月13日 | メディアでのコメント・論評

 

 

10月「有働タイムズ」スタート

有働由美子

テレビ人生の集大成は

“夜のあさイチ”

 

元NHKアナウンサーでフリーアナの有働由美子(55)の初冠番組「有働タイムズ」(日曜午後9時~)が10月からテレビ朝日系でスタートすることが話題となっている。

有働アナは2018年3月にNHK退局後、同年10月から「news zero」(日本テレビ系)のメインキャスターを務めていたが、今年3月に卒業。現在は今年4月にスタートした音楽番組「with MUSIC」(日テレ系)のMCを務めているが、再び、報道番組に復帰となった。

27年間在籍したNHK時代は、数々のニュース番組、そして「あさイチ」から「紅白歌合戦」の司会まで局を代表するアナウンサーだったが、フリー転身後、初めてとなる冠番組への意気込みは並々ならぬものがあるようで、こうコメントしている。

「究極のエンターテインメントを目指し新しい創造的なニュース・情報番組~というコンセプトでお誘いいただき大変共感してお受けしました。テレビの世界における私自身の歩みの集大成として『日曜夜にこんな番組欲しかった』と思っていただけるよう全力投球で臨みます。どうぞよろしくお願いします」

「重すぎない報道番組」

メディア文化評論家の碓井広義氏は「非常に楽しみですね」としてこう語る。

「音楽番組もいいのですが、彼女の持ち味から考えたら、もったいないなあと感じていました。彼女も広い意味での報道がやりたかったと考えたのかもしれません。とにかく自分の名前が入った冠番組ですから、有働さんも50代半ばとなって“勝負するならここだ”と決意したんだと思います。ただ、日曜夜9時という時間帯ですから、(視聴率や内容的には)難しさはあるかと思います。しかしそれを逆手にとって、“また明日からも頑張ろう”という気分にさせてくれる雰囲気が出るといいと思います」

碓井氏は、日曜の夜だけに、ニュース番組といえども、あまり肩肘が張ったものでは疲れてしまうので、そのあたりで有働アナの持ち味が生かせるのではないかとして、こう続けた。

「彼女のよさは、ヘンに奇をてらったりせず、いい意味でとにかく生真面目なところ。しかしそうでありながら、優等生すぎず、ふっと本音を言ってみたり、時にはぶっちゃけてみたり、真面目なのに人間味があるところです。それが不思議なユーモアを醸し出していて、視聴者にとって親しみやすさになっている。そのあたりがうまくはまれば、日曜の夜にちょうどいい“重すぎない報道番組”になると思います。世の中で起きていることに対して、ガチガチな解説や論評を加えるばかりではなく、その奥にあるものを考える“小さなヒント”を、有働さんの感じ方を通して伝えてくれるといいですね。『あさイチ』に出ていた頃の有働さんが“夜のあさイチ”といった感じで出てきてくれるといいと思います(笑)」

有働アナが、まさに生真面目な感じでコメントしている“テレビの世界における私自身の歩みの集大成”が楽しみだ。

(日刊ゲンダイ 2024.07.12)


【新刊書評2024】 内田 樹『勇気論』ほか

2024年07月12日 | 書評した本たち

 

 

「週刊新潮」に寄稿した書評です。

 

中村敏子『福沢諭吉 「一身の独立」から「天下の独立」まで

集英社新書 968円

過去の福沢研究は、西洋の影響と国家に関する議論が中心だった。著者は福沢が新時代の人間と社会をどう考えたのかを探っていく。注目するのが、儒学の思想を足場に西洋の思想を取り込んでいたことだ。個々が学ぶことで「一身の独立」を目指す『学問のすすめ』。また「一国の独立」を確保するために文明を求める『文明論之概略』。主要著作を改めて読み解くことで、新たな福沢像に迫る。

 

斎藤美奈子『あなたの代わりに読みました

 政治から文学まで意識高めの150冊

朝日新聞出版 1980円

昨年5月に休刊した「週刊朝日」。その読書欄の名物連載が「今週の名言奇言」だった。本書には著者が10年間に取り上げた全490冊から厳選した154冊が並ぶ。「現代社会」の章では柄谷行人『憲法の無意識』や石川優実『もう空気なんて読まない』など51冊。「文芸書」は高齢女性が主人公の永井みみ『ミシンと金魚』をはじめとする53冊。「昨日を省み、明日を生きる糧」としての読書案内だ。

 

内田 樹『勇気論』

光文社 1870円

ある雑誌で、今の日本人に足りないものを訊かれ、「勇気」と答えた著者。編集者と往復書簡の形で対話を重ねながら、このテーマを螺旋状に深化させていく。勇気とは「孤立に耐える」ための資質。現代社会では孤立することが極端に忌避されていると著者は言うが、それはなぜか。勇気と「正直」や「親切」との関係も含め、正解を得るより正しく問い続けることを志向する、画期的な勇気論だ。

(週刊新潮 2024.07.11号)

 


言葉の備忘録378 我に・・・

2024年07月11日 | 言葉の備忘録

 

 

 

 

我にすぎないものこそが、

我が身を生かしていくのだ。

 

 

J.L.ボルヘス「シェイクスピアの記憶」

 

 

 

 


「新宿野戦病院」クドカンが描く、愛あるサバイバル

2024年07月10日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

 

 

宮藤官九郎脚本

「新宿野戦病院」

クドカンが描く「愛あるサバイバル」

 

新たな「クドカンドラマ」の登場だ。宮藤官九郎脚本「新宿野戦病院」(フジテレビ系)である。

物語の舞台は新宿・歌舞伎町にある「聖まごころ病院」。

主人公は2人いる。ヨウコ・ニシ・フリーマン(小池栄子)は元軍医の日系アメリカ人だ。英語と日本語(岡山弁)のバイリンガル。外科医を探していたこの病院で働くことになった。

もう1人は院長(柄本明)の甥で美容皮膚科医の高峰亨(仲野太賀)だ。ポルシェを乗り回し、港区女子とのギャラ飲みに励んでいる。無邪気な「ゆとりモンスター」だ。

ヨウコの信条は「遅かれ早かれ死ぬのが人間。目の前にある命は平等に助ける」。確かに戦地では男も女も善人も悪人も命に区別はない。

一方、亨には貧乏人も金持ちも平等に助けるという発想がない。両者のギャップが笑いを生んでいく。

この2人を取り巻く人たちがまたクセが強い。

何が起きても動じない、ジェンダー不詳の看護師長・堀井しのぶ(塚地武雅)。ギャラ飲みとパパ活の区別にこだわる、内科医の横山勝幸(岡部たかし)。さらに地域の支援活動家、南舞(橋本愛)もかなりのワケアリだ。

そこに反社、ホスト、不法移民、トー横少女など歌舞伎町に生息する多様な人々がからんでくる。

すでに元暴力団の老人による発砲事件も起きた。やはりここは戦場なのだ。クドカンが描く「愛あるサバイバル」に注目だ。

(日刊ゲンダイ「TV見るべきものは!」2024.07.09)


【気まぐれ写真館】 風景

2024年07月09日 | 気まぐれ写真館

 


言葉の備忘録377 桜桃(おうとう)の・・・

2024年07月08日 | 言葉の備忘録

 

 

 

 

桜桃の茎をしをりに文庫本

 

 

丸谷才一

エッセイ「文庫本が好き」より

『別れの挨拶』所蔵

 

 

 

 

 

ヨシタケシンスケ×紀伊國屋書店「ブックポーチ」


【気まぐれ写真館】「七夕」のベランダ測候所、40℃!

2024年07月07日 | 気まぐれ写真館

2024.07.07


【新刊書評2024】 沢木耕太郎『心の窓』ほか

2024年07月07日 | 書評した本たち

 

 

「週刊新潮」に寄稿した書評です。

 

沢木耕太郎『心の窓』

幻冬舎 1100円

本を開くと、左ページに著者が旅先で撮った一枚の写真がある。ハワイの浜辺を歩く母と娘の遠景。スペインのコルドバの路地裏で見かけた男の後ろ姿などだ。右ページには短い文章が置かれている。それは写真の説明でも、いわゆる回想でもない。旅をしていた著者と現在の著者が交差する瞬間に立ち会う、不思議な味わいのエッセイだ。読み進めるうちに、旅の同行者になっていることに気づく。

 

瀬川裕司

『「カサブランカ」偶然が生んだ名画』

平凡社 3740円

映画『カサブランカ』が米国で公開されたのは1942年11月。真珠湾攻撃から約1年後だ。80余年を経た現在も「名画」として愛され続けているが、本書はその事由を探る一冊だ。原作となった戯曲『誰もがリックの店に来る』。映画ならではの構成と工夫の数々。俳優や製作者など関係者たちの動向。さらに、その後の映画界への影響についても言及する。そこには、どんな「偶然」があったのか。

 

米田彰男『イエスは四度笑った』

筑摩書房 1870円

神学者である著者は、前著『寅さんとイエス』で「ユーモアの塊だった」イエスを描き出した。しかし、キリスト教の正典である4つの福音書には、イエスの怒り・苦しみ・悲しみ・喜びは記されていても、ストレートな「笑い」は登場しないのだ。著者は正副福音書と併せて1970年代に発見された『ユダの福音書』を検証することで、実は「大いに笑った」という新たなイエス像に迫っていく。

(週刊新潮 2024.07.04号)

 


【気まぐれ写真館】 ベランダ測候所、38℃超え

2024年07月06日 | 気まぐれ写真館

2024.07.06