碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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「新宿野戦病院」クドカンが描く、愛あるサバイバル

2024年07月10日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

 

 

宮藤官九郎脚本

「新宿野戦病院」

クドカンが描く「愛あるサバイバル」

 

新たな「クドカンドラマ」の登場だ。宮藤官九郎脚本「新宿野戦病院」(フジテレビ系)である。

物語の舞台は新宿・歌舞伎町にある「聖まごころ病院」。

主人公は2人いる。ヨウコ・ニシ・フリーマン(小池栄子)は元軍医の日系アメリカ人だ。英語と日本語(岡山弁)のバイリンガル。外科医を探していたこの病院で働くことになった。

もう1人は院長(柄本明)の甥で美容皮膚科医の高峰亨(仲野太賀)だ。ポルシェを乗り回し、港区女子とのギャラ飲みに励んでいる。無邪気な「ゆとりモンスター」だ。

ヨウコの信条は「遅かれ早かれ死ぬのが人間。目の前にある命は平等に助ける」。確かに戦地では男も女も善人も悪人も命に区別はない。

一方、亨には貧乏人も金持ちも平等に助けるという発想がない。両者のギャップが笑いを生んでいく。

この2人を取り巻く人たちがまたクセが強い。

何が起きても動じない、ジェンダー不詳の看護師長・堀井しのぶ(塚地武雅)。ギャラ飲みとパパ活の区別にこだわる、内科医の横山勝幸(岡部たかし)。さらに地域の支援活動家、南舞(橋本愛)もかなりのワケアリだ。

そこに反社、ホスト、不法移民、トー横少女など歌舞伎町に生息する多様な人々がからんでくる。

すでに元暴力団の老人による発砲事件も起きた。やはりここは戦場なのだ。クドカンが描く「愛あるサバイバル」に注目だ。

(日刊ゲンダイ「TV見るべきものは!」2024.07.09)


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