「エルサレム賞」というものの存在を、今回の村上春樹さんの受賞で知った。
イスラエル最高の文学賞。対象となるのは「社会における個人の自由に貢献した文学者」である。
村上さんの受賞は「欧米言語以外の作家では初めて」であり、世界的な注目度も高い。
日本でも、反イスラエルの市民団体が、 村上さんは受賞を返上すべき、という声明を出したりした。
15日の受賞式で、村上さんが行った記念講演。共同電によれば、その要旨は次の通りだ。
一、イスラエルの(パレスチナ自治区)ガザ攻撃では多くの非武装市民を含む1000人以上が命を落とした。受賞に来ることで、圧倒的な軍事力を使う政策を支持する印象を与えかねないと思ったが、欠席して何も言わないより話すことを選んだ。
一、わたしが小説を書くとき常に心に留めているのは、高くて固い壁と、それにぶつかって壊れる卵のことだ。どちらが正しいか歴史が決めるにしても、わたしは常に卵の側に立つ。壁の側に立つ小説家に何の価値があるだろうか。
一、高い壁とは戦車だったりロケット弾、白リン弾だったりする。卵は非武装の民間人で、押しつぶされ、撃たれる。
一、さらに深い意味がある。わたしたち一人一人は卵であり、壊れやすい殻に入った独自の精神を持ち、壁に直面している。壁の名前は、制度である。制度はわたしたちを守るはずのものだが、時に自己増殖してわたしたちを殺し、わたしたちに他者を冷酷かつ効果的、組織的に殺させる。
一、壁はあまりに高く、強大に見えてわたしたちは希望を失いがちだ。しかし、わたしたち一人一人は、制度にはない、生きた精神を持っている。制度がわたしたちを利用し、増殖するのを許してはならない。制度がわたしたちをつくったのでなく、わたしたちが制度をつくったのだ。
ガザ攻撃に対する批判は、単にイスラエルに向けただけのものではないだろう。
世界に対しても、自己に対しても、厳しい言葉、内容だと思う。
イスラエル最高の文学賞。対象となるのは「社会における個人の自由に貢献した文学者」である。
村上さんの受賞は「欧米言語以外の作家では初めて」であり、世界的な注目度も高い。
日本でも、反イスラエルの市民団体が、 村上さんは受賞を返上すべき、という声明を出したりした。
15日の受賞式で、村上さんが行った記念講演。共同電によれば、その要旨は次の通りだ。
一、イスラエルの(パレスチナ自治区)ガザ攻撃では多くの非武装市民を含む1000人以上が命を落とした。受賞に来ることで、圧倒的な軍事力を使う政策を支持する印象を与えかねないと思ったが、欠席して何も言わないより話すことを選んだ。
一、わたしが小説を書くとき常に心に留めているのは、高くて固い壁と、それにぶつかって壊れる卵のことだ。どちらが正しいか歴史が決めるにしても、わたしは常に卵の側に立つ。壁の側に立つ小説家に何の価値があるだろうか。
一、高い壁とは戦車だったりロケット弾、白リン弾だったりする。卵は非武装の民間人で、押しつぶされ、撃たれる。
一、さらに深い意味がある。わたしたち一人一人は卵であり、壊れやすい殻に入った独自の精神を持ち、壁に直面している。壁の名前は、制度である。制度はわたしたちを守るはずのものだが、時に自己増殖してわたしたちを殺し、わたしたちに他者を冷酷かつ効果的、組織的に殺させる。
一、壁はあまりに高く、強大に見えてわたしたちは希望を失いがちだ。しかし、わたしたち一人一人は、制度にはない、生きた精神を持っている。制度がわたしたちを利用し、増殖するのを許してはならない。制度がわたしたちをつくったのでなく、わたしたちが制度をつくったのだ。
ガザ攻撃に対する批判は、単にイスラエルに向けただけのものではないだろう。
世界に対しても、自己に対しても、厳しい言葉、内容だと思う。