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碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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「義母と娘のブルース」いつか復活して欲しい名シリーズ

2024年01月10日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

 

 

「義母と娘のブルースFINAL

  2024年謹賀新年スペシャル」

いつか復活して欲しい名シリーズだった

 

正月2日に「義母と娘のブルースFINAL2024年謹賀新年スペシャル」(TBS系)が放送された。18年に連ドラとして登場し、20年と22年のスペシャルを経て、ついに完結である。

主人公は、かつて業界トップの金属会社の部長だった亜希子(綾瀬はるか)。ライバル会社の良一(竹野内豊)と結婚し、8歳の娘の義母となった。

病気で余命わずかだった良一と亜希子が到達した夫婦像は「二人三脚」ではなく「リレー」。娘というバトンを引き受けて走るリレーだった。

このドラマは成長した娘・みゆき(上白石萌歌)が語る、「義母」と「家族」をめぐる物語だ。

足掛け7年の放送だったが、亜希子のキャラクターが常に際立っていた。

家でも外でもビジネスウーマンの姿勢を崩さない。奇妙なほど事務的で丁寧な話し方。何事にも戦略的に取り組むバイタリティー。それでいて、どこか抜けているから目が離せない。

笑わせたり泣かせたりの展開を通じて、夫婦や親子について考えさせてくれた。

脚本は「大奥」(NHK)などの森下佳子。今回も印象的な場面と台詞が並んだ。

みゆきの結婚式で亜希子が言う。「13年間、あなたそのものが私の奇跡でした」。また、亜希子の健康を心配するみゆきは「子どもに死ぬ背中を見せるのは親のミッションだよ!」。

いつか復活して欲しい名シリーズだった。

(日刊ゲンダイ「TV見るべきものは!!」2024.01.09)