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碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

【気まぐれ写真館】 2024年1月2日の夕景

2024年01月02日 | 気まぐれ写真館


【新刊書評2024】 『星空をつくる機械』ほか

2024年01月02日 | 書評した本たち

 

 

「週刊新潮」に寄稿した書評です。

 

井上 毅『星空をつくる機械~プラネタリウム100年史』

KADOKAWA 2640円

1923年、ドイツで誕生した近代プラネタリウム。明石市立天文科学館の館長である著者が、「星空をつくる」ことを夢見た人たちの百年を辿ったのが本書だ。前史としての天球儀や天体運行儀。世界初の試みに挑んだツァイス社。やがて日本でもコニカミノルタなどが動き出す。プラネタリウムは宇宙を見るだけでなく、「自分自身を眺める場所である」と著者。久しぶりに足を運んでみたくなる。(2023.10.24発行)

 

毛利眞人『幻のレコード~検閲と発禁の「昭和」』

講談社 2310円

日本のレコード検閲は昭和9年から20年の敗戦まで続いた。また戦後の占領期にもGHQによる検閲があった。しかし、流布されている検閲伝説や発禁(発売禁止)伝説には、事実と異なるものが多いとレコード史研究家の著者は言う。当局や軍部は何をして、何をなかったのか。業界の自主規制の実態はどうだったのか。それらは現代とどう繋がっているのか。見えない検閲の深層に迫っていく。(2023.10.30発行)

 

井出 新

『シェイクスピア、それが問題だ!~シェイクスピアを楽しみ尽くすための百問百答』

大修館書店 1870円

来年はシェイクスピアの生誕460年にあたる。本書は稀代の劇作家を知る、良質な入門書だ。どんな人だったのかという人物像。劇場や演劇などシェイクスピア時代の文化的背景。芝居とは「現実世界の状況をありのままにみせる」ものだと言ったシェイクスピアの作品解説。さらに台本や原文の読み方指南もある。著者はシェイクスピア研究の第一人者。今も世界中で上演される理由が分かってくる。(2023.11.01発行)

【週刊新潮 2023年12月14日号】