goo blog サービス終了のお知らせ 

碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

セイコーエプソンCM 信州の誇り、りんと宣言

2023年03月01日 | 「日経MJ」連載中のCMコラム

 

 

信州の誇り、りんと宣言

セイコーエプソン

「Why Epson? 多くのなぜ」篇

 

セイコーエプソンの企業CM「Why Epson?多くのなぜ」篇に登場する、俳優の南沙良さん。

ドラマ「神の教室~リーガル青春白書~」(フジテレビ系)で、検事を目指す法科大学院生を演じているが、りんとしたたたずまいはCMでも生かされている。

清冽(せいれつ)な水の流れ。緑濃い森。信州の美しい自然の中で南さんが問いかける。

その会社はなぜこの地に生まれ、小さくすることにこだわり、これまでにないものを作ろうとするのかと。

同社は信州で誕生し、地域に根ざすもの作り企業として80年を過ごしてきた。

「より効率的に、より小さく、より精緻に」と技術を磨き、新たな使命としたのが「信州から、世界に彩りを。」だ

哲学者の和辻哲郎によれば、「風土」とは単なる自然環境ではない。ある地域の気候や景観を、その土地に住む人間との関係で捉えたものだ。

エプソンは企業アイデンティティの深い部分で、信州の自然と文化という風土を誇りにし、大切にしていく。このCMは静かな、そして力強い宣言だ。

(日経MJ「CM裏表」2023.02.27)