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碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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NHK「水族館ガール」は、女優・松岡茉優の試金石

2016年06月23日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評



日刊ゲンダイに連載しているコラム「TV見るべきものは!!」。

今週は、NHKドラマ10「水族館ガール」について書きました。


NHKドラマ10「水族館ガール」
「居場所」を確立するための試金石

“お仕事ドラマ”の秀作「重版出来!」(TBS系)が終わったら、「水族館ガール」(NHK)が始まった。主人公の由香(松岡茉優)は商社3年目のOL。上司(木下ほうか)から「使えないヤツ」の烙印を押され、水族館へと出向となる。

水族館といえば、「生きもの好きにはたまらない職場なんだろうなあ」くらいに思っていた由香。しかしどっこい、24時間全力で命を守る、大変な仕事だとわかってくる。担当することになったイルカとのコミュニケーションも難しい。厳しいチーフ(桐谷健太)や先輩(西田尚美)などから叱られ続ける毎日だ。

商社を追われ、水族館にも簡単に溶け込めないヒロイン。このドラマ、いわば自分の「居場所」探しの物語だろう。それは単に生活の糧を得る職場という意味ではなく、自分が自分であることを実感できる「場」だ。

もしかしたら女優・松岡茉優(21)にとっても、今回は自分の「居場所」を確立するための試金石となるのではないか。松岡は、民放の深夜ドラマでは経験済みだが、NHKの連ドラ(しかもプライムタイム)では初主演。どんなドラマでも存在感を放つ貴重な女優から、ドラマ全体を引っ張る主演女優への本格的トライだ。

初回冒頭、「龍宮城ホテル三日月」、じゃなくて「ホテル龍宮城」なるラブホテルの場面から始まったのが笑えた。しかもスマホのCMで浦島太郎を演じている桐谷健太まで出てくるではないか。NHKもやるもんだ。

(日刊ゲンダイ 2016.06.22)