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碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

年内最後の札幌へ

2010年12月24日 | テレビ・ラジオ・メディア
(羽田空港から見た富士山)


月に一度、札幌での番組出演も、早いもので年内最後だ。

羽田空港のラウンジからは富士山がよく見えた。

新千歳空港の除雪待ちで20分遅れの出発となる。

東京は晴天だったが、札幌は小雨。

気温は零度だ。

今日24日は、午前9時54分からUHB「のりゆきのトークDE北海道」。

午後3時45分からはHTB「イチオシ!」。

それぞれ、生放送のコメンテーターです。

北海道エリアの皆さん、よろしくお願いします。


2010年 テレビは何を映してきたか(9月編)

2010年12月24日 | テレビは何を映してきたか 2010年~13年
(チョロQコレクション)


この1年、テレビは何を映してきたのか。

『日刊ゲンダイ』に連載している「テレビとはナンだ!」を読み直して、
2010年を振り返ってみよう、という“年末特別企画”を実施中。

今日は、9月です。


2010年 テレビは何を映してきたか(9月編)


「クイズ☆タレント名鑑」TBS

 日本人ほど“クイズ好き”な民族はいない。基本的に真面目。旺盛な知識欲。どんな問題にも、つい答えようとしてしまう律義さ。正解を知るとちょっと得した気分になるが、元々クイズに限らず、何かを知ることは喜びでもあるのだ。
 しかし、最近は出演タレントに合わせて問題のレベルが低下している。「ネプリーグ」(フジ)などがいい例で、普通の人なら「知っていて当たり前」なことばかりだ。そして、ついに問題自体がほとんど意味のない、答えを考える価値もないクイズが登場した。それがTBS「クイズ☆タレント名鑑」である。
 「タレント名鑑」とは業界御用達の出版物。俳優・タレントの所属事務所、生年月日、代表作の他、身長や靴のサイズなども載っている。彼らが使う衣装や小道具の準備に必要な数字だからだ。
 さて、「クイズ☆タレント名鑑」の出題である。猫ひろしは身長160㌢を超えているか。篠原涼子は「笑っていいとも」にレギュラー出演していたか。つぶやきシローの年齢は41歳から43歳の間か。さらに、品川ヒロシの著書「ドロップ」は百万部以上売れたか。
 はっきり言って、どーでもいい問題であり、視聴者が答えを知りたい内容だとも思えない。作り手にとっては手間と予算の節約かもしれないが、何でもクイズにすればいいってもんじゃない。
(2010.09.06)


「なんでも実況ショー3!衝撃!オンナの裏側SP」テレビ東京

 先週のテレビ東京「火曜エンタテイメント」は「なんでも実況ショー3!衝撃!オンナの裏側SP」。これに愕然とした。
 メイク編は沢田亜矢子などが化粧する姿、化けるプロセスを実況。またエステ編では熊田曜子のへそエステ、芦川よしみのラップエステが実況された。しかし、正直言って美しい光景ではない。むしろ、何か見てはならないものを見せられたような、イヤな気分だった。
 さらに今回の目玉は何と出産である。インリン・オブ・ジョイトイが自分の初産を撮影させたのだ。実況とはいえ、録画だからあくまでも編集された映像であり、また無痛分娩だったため静かな出産風景となった。
 しかし、夜7時半という夕食時の放送だ。分娩室で汗まみれになっている産婦や、取り上げられてまだ血のついたままの新生児を見せる必要があるのか。お目出度いはずの出産なのに、祝福したいと思わせないような不快感。もちろん「出産もM字開脚」などと笑えもしない。やはりショーとしての出産、見世物としての出産に無理があるのだ。
 生命の誕生という厳粛な“現場”に興味本位でカメラを入れ、実況という名の見世物にするなら、死もまたいずれ見世物にしそうで怖い。まさか死刑の実況はやらないだろうな、と心配させるに十分な実況ショーだった。本当に何が望みなんだ?テレビ東京。
(2010.09.13)


「新週刊フジテレビ批評」フジテレビ

 先日、フジテレビ「新週刊フジテレビ批評」が、精神科医・和田秀樹氏の近著「テレビの大罪」(新潮新書)を取り上げていた。
 この本はタイトル通り、徹頭徹尾テレビ批判で成り立っている。「細身女性を賛美するテレビが拒食症を増やす」「過度な医療過誤報道は医療を潰す」「自殺報道が自殺をつくる」等々、厳しい指摘が並ぶ。
 スタジオには和田氏が登場し、「テレビは若い人向けの番組ばかり編成する。大人向けの番組を流した方が良いのに、分かりやすさだけを求めて作っている」などと生批判。番組司会の局アナもコメンテーターも“御拝聴”といった様子だった。
 しかし、ちょっと待ってほしい。テレビが医療過誤を犯罪として報道することで、産婦人科など訴えられるリスクの大きな科の医療崩壊を招いていると和田氏は言うが、そんな単純な話だろうか。また、「いじめ自殺」報道が他の子どもの自殺を誘発するという理由で、事件を伝えないままにしていいのだろうか。
 和田氏の批判は真摯に受け止めるべき点も多いが、複雑な要素で構成されている社会問題を全てテレビ報道の責任に帰するかのような論調には違和感が残る。さらに、マスメディアとしてのテレビが高齢者向けだけにシフトできるものでもない。せっかくの著者生出演。スタジオでは、ぜひその辺りを聞くべきだった。
(2010.09.27)


*テレビ時評としての「記録性」保持のため、
 文章はすべて新聞掲載時のままにしてあります。