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碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

年末特別企画『2010年、テレビは何を映してきたか』1月編

2010年12月16日 | テレビは何を映してきたか 2010年~13年
(トトロ指人形コレクション・ねこバス)


週に1度、『日刊ゲンダイ』に、コラム「テレビとはナンだ!」を連載しております。

このテレビ時評コラムを読み直すことで、今年を振り返ってみようという、“年末総決算的特別企画”(笑)。

この1年、テレビは何を映してきたのか。

まずは、1月からです。


2010年、テレビは何を映してきたか(1月編)

今年の展望

 2009年、テレビ界の“流行語大賞”は「予算削減」だった。今年も引き続きこの路線が進むはずだ。
 何しろ好景気は望めないし、たとえ多少景気がよくなっても視聴者側での「テレビの優先順位落ち」は回復が難しい。スポンサー側もその辺りは承知していてテレビ広告を控える。するとまた予算削減→質の低下→視聴者のテレビ離れ→スポンサー離れと“負のスパイラル”が加速するのだ。
 一方、昨年元気だったNHK。不況でも受信料は入ってくるから今年は民放との差がより開く。「坂の上の雲」など超大作はもちろん、昨年の「ブラタモリ」や「ワンダー×ワンダー」のようなエッヂの効いた娯楽番組を繰り出してくるだろう。
 ならば民放はどうするか。まず、これまで以上に知恵をつかう。昨年のテレビ東京「空から日本を見てみよう」がいい例だ。さらに少ない予算を有効に生かすこと。自社の利益を減らしてでも、予算を制作会社に回し、番組の“中身”にお金をかけるのだ。それでこそ、“現場”も頑張れるはず。
 昨年11月、放送倫理・番組向上機構(BPO)がバラエティ番組に対する異例の意見書を出した。「バンキシャ!」など報道系の次は、バラエティで問題が起きそうだとの予感があったからだ。民放が「貧すれば鈍する」に陥らぬ1年であることを祈りたい。
(2010.01.04)


「就職の神様」フジテレビ

 厚労省と文科省が3月卒業予定の大学生の就職内定率を発表した。何と73.1%!4年生の4分の1以上は、就職先が決まらないまま社会人になろうとしているのだ。すでに就職活動の主役が3年生に移っていることを思うと、就職難民どころか就職棄民である。
 そうならないための老婆心なんだろうか。フジテレビが「就職の神様」という番組を放送した。登場したのは3つの大学の学生と企業の人事担当。実際の採用試験で行われるような課題に、学生たちが挑戦していくのだ。
 たとえば自己PRは、明大の「楽しませることを楽しむ」が高得点。自分を草食系など「○○系」にたとえると何?という質問では、やはり明治が「雑草系」と答えてまたポイント獲得。さらに「面接」を別な言葉で表現する課題が出て、桜美林大が「立体的なコミュニケーション」と答えて評価された。
 その上で、トップとなった大学のメンバーが丸紅の人事担当者による模擬面接へと進んだ。面接官が繰り出す質問の隠された意図に関する解説もあり、全体としては十分参考になる内容だった。この番組が年に一度の特番扱いではもったいないほどだ。
 若者のテレビ離れは年々激しくなっているが、同工異曲のバラエティばかりではなく、こうした“役に立つ番組”をもっと流してみたらいい。
(2010.01.18)


「宿命 1969-2010~ワンス・アポン・ア・タイム・イン・東京」テレビ朝日

 ドラマ「宿命 1969-2010~ワンス・アポン・ア・タイム・イン・東京」(テレビ朝日)。長いタイトルだ。69年の「東大安田講堂」以来、別々の道を歩いてきた男女が再会する。30年の歳月は一人を大病院の経営者に、もう一人を与党の大物政治家にしていた。しかも互いの息子と娘が政略結婚だ。
 というわけで、テレ朝版「華麗なる一族」である。しかし、TBSのそれとは雰囲気が違う。話の筋もさることながら、キャスティングが大きい。男は奥田瑛二で、妻が松坂慶子。女は真野響子で、息子が北村一輝。北村に捨てられる恋人は小池栄子である。全体に、華麗というより泥臭い。いや、その泥臭さがいいのだ。
 中でも北村一輝の“怪優”ぶりが際立っている。「政治家を目指すエリート官僚」には絶対見えないところが面白い。いつ豹変してくれるのか、目が離せないではないか。小池栄子もまた「敏腕トレーダー」とはびっくりだが、北村に裏切られて復讐を始めた途端、生き生きしてきた。映画「20世紀少年」で見せてくれた狂気に期待しよう。
 つまり、このドラマの第一の見どころは“意外な配役”にある。二番目がゴールデンタイムであることを忘れさせる“昼ドラ”的テイストだ。団塊世代の闘争体験も、その後の処世もヘンに美化したりせず、“どろどろ”感で押して頂きたい。
(2010.01.25)

*テレビ時評としての「記録性」保持のため、
 文章はすべて新聞掲載時のままにしてあります。

「テレビに関する質問」を拝受

2010年12月16日 | テレビ・ラジオ・メディア
(トトロ指人形コレクション・草壁家ひっこし三輪トラック)


この数日、連続して、いくつかの取材を受けました。


●NHK「セカンドバージン」について
今週火曜に最終回を迎えたドラマ「セカンドバージン」のスマッシュヒットの理由、そして鈴木京香の魅力とは?

●「テレビの大罪」について
和田秀樹さんの著書名だが、この本に関してではない。著書に書かれていたこと以外の“大罪”とは?

●テレビの「フライングスタート」について
かつて番組は正時(00分)に始まるものだった。ところが今は56分とか55分にスタートしてしまう。それはなぜか?

●「女子アナの2010年総括」について
評価された人、その逆の人、今年1年の仕事ぶりを振り返る。来年、もっと“来る”女子アナは?


・・・・等々、いろんなご質問がありました(笑)。

紙面や誌面に掲載された順に、回答を紹介していきます。