『感性創房』kansei-souboh

《修活》は脱TVによる読書を中心に、音楽・映画・SPEECH等動画、ラジオ、囲碁を少々:花雅美秀理 2020.4.7

新年会の教訓

2010年01月12日 08時06分57秒 | ■世事抄論

 


 仕事の関係で、或る「町」の「商工会」主催の『新年の集い』に参加した。商工会の事業計画や活動の一端を知る機会になればとの気持ちだった。

 「町」とはいえ人口は5万人に近く、「市」への昇格は時間の問題のようだ。それにしても、開始が「午後3時」という中途半端な時間が気になった。会費制の「会場」が、町で一番大きな「いけす料理店」ということから、アルコールが出ることは確実だったからだ。

 ステージのある宴会場には、140~150人分の椅子が用意されていた。一列目の椅子の背中に、「来賓者」の名前が書かれた紙が貼ってあり、民主党の衆議院議員(欠席)や県議会議員、市議会議員、それに町長(欠席)、商工会会長、同副会長といったお歴々の席があった。ステージ脇には墨蹟鮮やかな達筆の「式次第」が掲示され、開会の辞、会長挨拶、来賓の挨拶、来賓の紹介、祝辞の披露、講演、閉会の辞……と「式次第」のお手本ともいえる文言が並んでいた。

 会は定刻を10分過ぎて始まった。商工会の青年部長が型通りの司会挨拶を行い、同会の副会長が開会の辞を述べた。
 来賓挨拶は地元選出の県議と市議。いずれも用意した挨拶文を読み上げながらのものだった。多少のアレンジがあったとすれば、腰までの高さしかない演壇のため、挨拶文が置けないことを半ば本気でこぼしたことだろうか。

 無論、内容はこれまた判で押したようなものであり、マスコミ等でさんざん聞かされた。「リーマンショック」「百年に一度の不況」「消費の低迷」「政権交代」などの用語を並べたものにすぎなかった。

 やっと来賓挨拶が終わったと思ったら、来賓者の紹介が始まった。欠席した民主党議員の秘書に始まり、先ほど来賓挨拶を行った県議や市議、それに昨夏の総選挙で落選した自民党議員、鮮やかな真紅のスーツで身を固めた恰幅のいい女性市議、町役場の商工部長や教育委員会の委員長、関係外郭団体のトップ、さらには、なぜか自衛隊駐屯基地の幹部と、実に多彩な顔ぶれ。
 名前が呼びあげられるたびに、参加者は会場内に点在する来賓者の声の方向に顔を向けなければならなかった。その数、十五六人ほどだろうか。

 紹介が終わって、やっと商工会の会長挨拶が始まった。この日、五人目の“明けましておめでとうございます”の言葉を聞く。挨拶終了後、司会者より先ほどの紹介の際に漏れていた来賓の追加紹介が行われる。その後、やっと「閉会の辞」となり、いよいよ「講演」と思いきや、再び紹介漏れの来賓者の紹介があり、司会者が恭しく非礼を詫びた。そして、「講演」が始まった頃には、誰もがぐったりしたように見えた。

 1時間ほどの「講演」は、右脳左脳に関係する話だった。『新しい発想を生み出すためには、従来の習慣から脱しなければならない』ということを、参加者に掌を動かさせて進めた。参加者が唯一ほぐれた表情を見せ、また笑みが零れた。みんなが救われたような顔を見せたため、私はなぜか主催者の気持ちになってほっとした。

 この日、2時間の忍耐の中で学んだことがあった。

 それは商工会会長挨拶の『商工会の運営資金は、国と県からの補助金が6割、会員からの会費が4割』という一言だった。ついでにもう一つ付け加えるなら、これらの商工会活動が、確実に何処かの誰かの“地盤、看板、鞄”の後押しをしているということだ。 (続く)


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