ちわきの俳句の部屋

メカ音痴おばさんの一念発起のブログです。
人生の後半を俳句にどっぷりと浸かって、…今がある。

〝時雨雲…〟の句は〝怪我の功名〟だよ!

2020年01月31日 | 俳句

 とうとう今日で1月が終わりますね。〝1月行く、2月逃げる、3月去る〟といわれる、私にとっては恐怖の時期なんですよ。

 今朝ラジオ体操へ行くと、雲が一面に…。そういえば天気予報は一日中曇りでしたもの。ところが、体操を始めて、イチ、ニッ、サン、シー…真上を見上げるとナント明るい青空が見えました。このところ宇部は曇っている日が多くて、ああ、また今日もと思い込んでいたんです。

 人というものは、遠くは見るのに自分の真上って余り見ませんよね。自分の真上にこんな綺麗な青空があったなんて…。でも、体操が終わる頃にはもう雲が湧いてきてその青空を隠してしまいました。まるで、身近にあるシアワセに気が付かない人には見せないかのように…

  時雨雲(しぐれぐも)一握(いちあく)の空持ち去りぬ

 平成10年の私の作です。思えばその頃、1月には娘の手術と甥の訃が重なり、10月には姉が…。次の年の8月に義父、10月には兄と、次々に亡くなり、まるで人生の負の時代がまとめて押し寄せて来たようでした。だからこの頃は法事が目白押しだったんです。(笑) 今だから笑って言えるんですけどね。

 これだけ次々と不幸が押し寄せると、何に対しても悲観的になり、自分の病気さえも悪い方にしか考えられなくなって、〝なんで私にこんな苦しみばかりを~もう神様、助けて~〟という気分だったと思います。〈一握の空〉とは、一握りの青空のこと、その残されたわずかな青い空をまたも無碍に時雨雲が持ち去ってしまったという、大袈裟にいうなら〝絶望感〟というものを詠んだんですね。

 私の第1句集『風聲』(ふうせい)に収めて、林翔先生に推薦句として採り上げていただいた句です。この時は自分の気持ちだけで精一杯で、それを詠んだんですが、今改めて見直してみると、この句は季語の「時雨雲」が良かったんですね。自分で言うのもおかしいのですが…

 「時雨雲」は冬の季語。そもそも「時雨」は、冬の初めに降る通り雨のこと。降る時間も短く、地域も限定されていますので、ある意味一瞬で終わることもあるんです。それが去った後は、まるで嘘のように青空になったりと…。ということは、どんなに辛く暗いときでも、それが通り過ぎればまた明るい世界がくるのだと…。気付かずに私は悟っていたのでしょうか。エヘッ、偉そうなことを…。ゴメンナサイ!

 ここでもう一つ言わせて貰うならば、この句は、〈一握の空〉もよかったから翔先生も誉めて下さったのでは?もしこれが〝一瞬の空〟だとしたらダメだし、ましてや〝一瞬に空〟なんて詠もうものなら、きっとボツになったでしょうね。この違い分かりますか? 

 まだ俳句を始めて10年余りの私が、それを自覚して詠んだとは思えません。これはきっと知らず知らずのうちに身についてきたものだったのでしょう。その時はなぜこの句を先生が…と分からなかったのですが、今にして思えば、ナルホドと。やっぱりベテランの先生方の選句眼は確かで素晴らしいと思いました。ああ、私も早くそうなりたあ~い! 

 この句は、この時の私の偽らざる心境をただ必死に五七五にしただけで、季語も深く考えずに即けて詠んだような…まさに〝怪我の功名〟の句なんですよ。だからみなさんも根を上げずに精進すれば、いつかどこかで報われます。それを信じて……さあ、また頑張りましょう。

 写真は、今朝の空と今現在の正午の空。…と、これ書き終えてUPした途端、またさあっと日が差してきました。ヘンな天気~!

 


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2 コメント

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こんにちは (ミルク)
2020-01-31 16:09:28
時雨が冬の季語だったんですねぇ。
ほんとに何も知りませんでした(^-^;
続けざまに色々な心の重荷があったんですね。
そんな時でもしっかり俳句と向き合って素晴らしい句を。
私は20数年まえに、突然夫の死を受け入れることが出来ずに
眠れない日々で、アルコールに逃げました(^-^;
子どもたちに、母さんまで病気のなったら、俺たち困ると言われて眼が覚めました。
ポツポツと詩、エッセイを書き始めました。書くという行為が良かったのですね。
いまでは、アルコールは一切飲みません。ノンアルビールをたまに飲むだけです。
俳句は難しくて書けませんが、言葉の勉強に。
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Unknown (ちわき)
2020-01-31 20:59:34
ミルクさんがご主人を亡くされて一人だということは分かっていましたが、20数年前だったなんて…もうビックリです!
まだお若かったでしょうに。私の兄も59歳でしたから、今の私から考えれば本当に若いですよね。そんな若さで逝くのは本人も悔しかったと思います…兄は癌で9年間も闘病しましたから。
ミルクさんもその苦しみを乗り越えて今があるのですね。それと比べると私なんかはまだまだです。でも書くという行為は自分を見つめるためにはとてもいいことですから大いに書いて下さい。そして人をも楽しませて下さい。
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