ちわきの俳句の部屋

メカ音痴おばさんの一念発起のブログです。
人生の後半を俳句にどっぷりと浸かって、…今がある。

花は咲くことのみ思ひ

2018年04月04日 | 俳句

 今年の桜はあっという間でした。三月末に満開だと喜んでいると、晴天続きで一週間も持ちませんでしたね。今度の8日に〝桜まつり〟をするようなところもまだあるとか…。私は今年も桜を堪能しました

 こればかりは人間の力でどうにかできるものではありませんし、…だから毎年人は桜を楽しみに待つのかも知れません。これが決まった日に咲いて、さらにいつまでも長く咲いているとしたら、と考えるとわかるでしょう。

  青空や花は咲くことのみ思ひ   桂 信子

 平成8年の作、第9句集『花影』所収。宇多喜代子さんの『この世佳しー桂信子の百句』に次のような解説がありましたので、ご紹介しますね。

 大きな青空一面に咲く桜。一年に一度、かならず咲く桜。今年は咲くのを控えようなど、花はこれっぽっちも思わない。咲かない春があるとすれば、天候だとか虫害だとかの外因のせいで、桜が「咲くこと」を怠ることはないのである。

 こう書いているとふと思いました。「咲かない春…」って…、考えても私の人生には今まで一度もなかったような…。しかし、先日行った広島の平和公園は? ここはかつての原爆投下の中心地ですから、当然昭和21年の桜は見られなかったと思うのです。今は桜の名所平和公園になっていますが、それらはきっと戦後の復興とともに植えられてきたものでしょう。今でも公園の中に被爆樹として残っている木が何本かありましたが、その中に桜はなかったですね。ああ、そういえば以前主人の実家があった市内の江波気象台近くに〝江波桜〟といって、被爆樹として保存されている桜が1本ありましたね。それだって戦後すぐに咲いたかどうか…。

 前掲の句、「花は…」と詠んでいますが、私は〝桜〟ばかりではないと思うんです。どんな木でも草でも…人間だって…〝咲くこと〟を願うから生きているのでしょう。ただどのように咲くかが違うということだけで。

 今日の帰り道、もうほとんど散って蘂ばかりになった桜を見ていると…なぜかあの〝同期の桜〟の文句がふいと…「…咲いた花なら散るのは覚悟みごと散りましょ国のため…」なんて!バカな…私には戦争のことをとやかく言う資格はありませんが、どう考えても〝命〟をもって国に尽くすという世の中は間違っていたでしょう?日本には昔から〝犠牲〟を美徳とする考えが強いですよね。だから利己主義を嫌い〝人のために〟生きることは素晴らしいと…もちろんそれに異論はありませんが、しかしそれらは全て生きていてこそ出来ることではありませんか。桂信子は、〝青空や花は散ることのみ思ひ〟とは絶対に詠まなかったでしょう。だって戦争を知っている人ですもの。

 日曜日に義母を連れて〝桜堤〟へ行きました。ほんとに最高の桜でした。〝おばあちゃん、記念撮影よ〟と言って今年も撮りました。

 

 

 

 

 


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