ちわきの俳句の部屋

メカ音痴おばさんの一念発起のブログです。
人生の後半を俳句にどっぷりと浸かって、…今がある。

落ちこぼれ

2017年06月12日 | 俳句

 昨日の「俳句甲子園」県大会のつづきの話で~す。

 今回初めてでしたので、どのように審査するのかが一番不安だったのですが、「俳句甲子園」における審査基準なるものがあるんですよ。参考までに簡単に書いておきますね。

  • 1点…兼題が全く詠み込まれていない。
  • 2点…兼題は詠み込まれているが、季重なりなどの基礎的知識が著しく欠けている。
  • 3点…兼題は詠み込まれているが、基礎的知識に不足がある。
  • 4点…兼題を説明しただけで終わっている。
  • 5点…強い類想感がある。または句意が判然としない。
  • 6点…類想が懸念されたり、句意が読み取り難いが、ひとまず句として成立している。
  • 7点…作品として強い魅力はないが、技術的には可も不可もない。また、荒削りで難はあるが、発想にみるべき点がある。
  • 8点…芸術的にも技術的にも、積極的評価ができる。
  • 9点…8点の要素に加えて、強い芸術的魅力がある。
  • 10点…歴代の最優秀句に匹敵する秀句。

 以上、いかがですか?もし自分の作品だったら何点貰えるか、考えてみるのも面白いかも…

 5人の審査員がそれぞれに点を付けるのですが、ほとんど6点か7点、時には8点を付ける句も出ましたが、なかなか9点、10点は付けられませんね。でも、5点以下を付けた句もありませんでした。

 1試合終わると、審査員がそれぞれの句についてのコメントをします。時間の関係で順番に1人が発表すれば、次の対戦にいくんですが、一度だけ成り行きで全員がコメントした句があるんですよ。それは兼題「立夏」の次の句。

   夏立つや自由ノートの世界地図

 「これはノートに世界地図が書いてあったのですか?それとも作者が書いたんですか?」という相手校の質問に、「これは作者が書くんですよ。」と作者側。「どうして立夏に書かないといけないんですか?他の季語でもいいのでは…」「立夏というのは、今から夏に向かって行くという開放感というか自由さがある季語だと思うんですよ。だからこの季語でないとダメなんです。」と、激しい論戦がこんな風に続くのですが…、制限時間がありますので殆ど時間切れになるか、言い負かされて反論できなくなることなどもありました。

 では、掲句について審査員が問題にしたのは何かというと、助詞の「の」なんです。「ここはやはり『に』にすべきでは…」「そうすると説明臭くなるでしょう。」「今頃のノートには世界地図が表紙に印刷してあるの?」「これは今から作者が書こうとしている景でしょう。」など、など…私は、ここはやはり今から書こうとしている景でないと面白くないと思いますねと、コメントしました。更に言うなら、「に」より「へ」の方が、今から書くということがよく分ると思うよと言うと、生徒たちはウンウンと頷いていました。要するに、この句を単純な世界地図と決めつけないで、作者の頭の中にある世界地図…いわばそれはこれからの大きな夢に繋がるものなんだと考えると、とても面白い句だと思いましたね。だって、まだ高校生ですもの!

 でも、高校生がこの「の」を指摘して、問題にしたのはさすが。みなさん、負けずに頑張りましょうね。

 この写真は、我家の柿の実。もうこんなに大きくなったのに…ぽろぽろ落ちています。蜂などが来てくれなかったので、受粉しなかったんでしょうね。こうやって今から梅雨の間にダメな実はどんどん落ちていきます。だから〝落ちこぼれ〟?(笑)

 どこの世界でも厳しいですね。〝柿は大きくなっても人や鳥に食べられる…〟なんて、金子みすゞの詩に似たようなのがあったような? でもカワイソウ!

 

   

 


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