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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

彼らの奇蹟

2016-11-18 07:40:12 | 読んだ本
玉木正之編 平成27年 新潮文庫
こないだ読んだ「棋士という人生」ってアンソロジーの文庫がなかなかおもしろかったので、その巻末広告なんかをたよりに、おなじ新潮文庫オリジナルのアンソロジーを買ってみた、これの副題は「傑作スポーツアンソロジー」。
短いものが並んでいる文庫は、いつでも好きなだけ読めて便利。
一読したなかで、抜群におもしろかったのは、石原慎太郎の「死のヨット・レース脱出記」かな。
私はヨットの用語のこととかひとつも知らないんだけど、スリリングでぐいぐい引き込まれる、現場ルポなのかもしれないけど、短編小説として読まされた感がある。
それから、神戸製鋼のラグビーを書いた「彼らの楕円球」。これ、もともと「彼らの奇蹟」ってタイトルだったらしいけど、編者がそのタイトルは書名にすることにしたんで、タイトルだけ変えたらしい。
神戸製鋼が強くなったときには、私はそれ以前にくらべて、もう熱心にラグビーを観なくなってたんで、三洋電機との決勝のロスタイムで起きた奇蹟的なことについてはまったく記憶ないけど。
「彼らは、ラグビーを遊んでるんですよ。遊びだから、必死にやる。」って、登場人物のセリフがいい。
もうひとつ、「普通の天才」もおもしろい。
私は、佐藤信人ってプロゴルファーのことはなんにも知らなかったけど、イップスと格闘するさまがこうまで書かれてるものは初めて読んだし、興味をひかれた。
さらに、「今だからわかるんですけど腰痛もイップスと同じなんです。ある医者は、腰痛の九割はウツと一緒だと言っていました。」ってのにも、軽く驚かされた。
あと、どうでもいいけど、
>父上様、母上様、三日とろゝ美味しうございました。干し柿、もちも美味しうございました。
で始まる一連のフレーズ、私はシティボーイズのとある舞台のDVDで聞いたことがあったんだけど、円谷幸吉の遺書だったとは「長距離ランナーの遺書」を読んで今回初めて知った。
競馬 吉田兼好「五月五日賀茂のくらべ馬」(一三三〇年ころ?)
蹴鞠 澁澤竜彦「空飛ぶ大納言」(1979年)
弓道 E・ヘリゲル「日本の弓術(抄)」(1936年)
スポーツ 小林秀雄「スポーツ」(1959年)
スポーツ 三島由紀夫「実感的スポーツ論」(1964年)
ヨット 石原慎太郎「死のヨット・レース脱出記」(1963年)
女性スポーツ 虫明亜呂無「大理石の碑」(1973年)
オリンピック 大江健三郎「七万三千人の《子供の時間》」(1964年)
オリンピック 杉本苑子「あすへの祈念」(1964年)
五輪バレー 有吉佐和子「魔女は勝った」(1964年)
登山 佐瀬稔「グランド・ジョラス北壁の生と死―森田勝」(1980年)
マラソン 沢木耕太郎「長距離ランナーの遺書」(1976年)
釣り 開高健「死はわが職業」(1978年)
ボート 山際淳司「たった一人のオリンピック」(1980年)
マラソン 村上春樹「僕は小説を書く方法の多くを、道路を毎朝走ることから学んできた」(2007年)
ラグビー 玉木正之「彼らの楕円球」(1993年)
サッカー 後藤健生「電脳社会とサッカーの未来―二十一世紀に、サッカーはどうなる?」(1995年)
サッカー 宇都宮徹壱「死者を巡る物語」(1999年)
ゴルフ 中村計「普通の天才」(2010年)

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