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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

短歌ください 君の抜け殻篇

2019-11-23 17:59:20 | 穂村弘

穂村弘 2016年 KADOKAWA
こないだ、このシリーズの「双子でも片方はなく夜もある篇」を読んだんだけど、それより前に刊行されてたこの第3弾を読んでなかったんで、先月買って、さっそく読んでみた。
「ダ・ヴィンチ」の連載(実を言うと私は読んだことないんだけどね)の第61回から90回までをまとめたものだとのこと、2013年5月から2015年10月だって。
毎回お題が決められてる募集テーマ投稿と、いつでも募集中の自由詠があって、テーマ決まってるほうが人それぞれでとりあげる角度のちがいとかあるんで私にはおもしろい。
それにしても、読んでて思ったんだけど、これやっぱ穂村さんの解説があるからいいんではないかと。
ひとつの作品につき、2,3行だけの短いものだけど穂村さんの評がついてて、もしそれ無くて歌だけがズラっと並んでたら、たぶん私は飽きる、っていうか読んでて意味わかんないと思う。
「触感的なオノマトペがいい」とか「サ行音の連鎖が意識されています」とかって音のテクニックのこともあれば。
「どきっとしますね」とか「妙なリアリティがある」とか「突き刺さる説得力」とかって斬新な表現への共感のようなもののこともある。
そんななかで私がひかれるのは、
>世界には見える法則と見えない法則があるみたいですね。自然科学が前者の担当で、詩歌は後者の担当。(p.205)
みたいに、さらっと語られる短歌論のようなもの。
ちなみに、これは「信号がかつてないほど連続の青でほどけたままの靴ひも」という歌、靴ひも直したいときに限って止まるタイミングがないってことを切り取ったことへの評。うーむ。
特に短歌のよしあしがわかるわけぢゃない私が、今回一読したなかで気に入った歌のいくつかを以下に引用。
(価値観が確立されてないので、こういうの何が自分のどこかにひっかかるのかは体調次第だったりする。)
「ウィンカー出さずにキミが曲がるたび世界に二人だけの気がした」(p.114自由題)
「七月に君が眼鏡をかけて以後好きです以前は覚えてません」(p.119眼鏡)
「鳴きまねににゃーと応えてくれたけど私は猫語でなんて言ったの」(p.194猫)


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