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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

夢遊病者の姪

2015-08-26 20:48:15 | 読んだ本
E・S・ガードナー/宇野利泰訳 1976年 ハヤカワ・ミステリ文庫版
持ってるのは1991年の8刷、あるだけ読み返してる推理小説、ペリイ・メイスンのシリーズ、発表は1936年の古典。
原題は「THE CASE OF THE SLEEPWALKER'S NIECE」。邦題を一見したとき私は、夢遊病になった姪の話(夢遊病者は姪にかかる形容)かと思ったんだが(表紙の画の印象もあるだろうけど)、ちがった。
夢遊病に悩む金持ちの伯父のことで、メイスンのとこに相談に来たのが24歳の姪。伯父は夢遊病の発作のさなかに、肉切りナイフを戸棚から取り出したってんだから、物騒だ。
その伯父は離婚の争いの最中だけど、妻もなかなかしたたかで、離婚して毎月定額の手当をもらうより、夫は精神錯乱だから全財産は差し押さえ・自分が管理するって具合に話をもってくほうが儲かると考えている。
で、その夢遊病の伯父の兄弟やら共同経営者やらが出てきて、いったいこのなかの誰が何の理由で殺されるんだろうと不思議に思うとこもあったんだが、ちゃんと事件は発生する。
メイスンは、依頼人を守るために、例によって危ない橋をわたるようなまねをするわけで、凶器のナイフの存在についてちょっとしたワザを仕掛けようとするんだが、失敗して自らの立場を窮地に追いやってしまったかのように見えたりするとこが、なかなかスリリング。
終盤は、ちゃんと法廷シーンがあって、私の好きな「異議があります。不適格にして関連性がなく、重要性を欠く質問として、異議を申し立てます」みたいなやりとりと反対尋問の応酬があったりして、このシリーズらしい戦いがみられる。

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