出版社の営業の方とお話しする機会があり、料理本の話題になった。
料理研究家がわんさか出てきているが、実際本が売れているのは実績を積んだ一部の人とのことだった。
私の大好きな「沢村貞子の献立日記」は料理本ではない。
名女優にして名文家だった沢村貞子の57歳から84歳までの27年間の、
一日も欠かさずに記した「献立日記」
贅沢な献立はない、熱いものは熱く、冷たいものは冷たく、
その日のお天気も記されていて、朝目を覚ますとその日の献立を考えたそうだ。
愛する家族の為に、心を込めて作る食事・・・、
その当たり前の事を、日々の丁寧な暮らしの中に記した27年間の大学ノート日記なのだ。
1988年刊行した「わたしの献立日記」は10万部を売り上げた。
新進の料理研究家には足元にも及ばない見事な「料理本」です。
昨今、お取り寄せで日本中の美味しいものが簡単に手に入る。
勿論便利で有難いことだが、私はほとんどお取り寄せというものをしない。
今食べたいものを、自分の目で見てちょうどいい量を求め調理する。
それができることが「贅沢」だと思っている。
それに、もう一つ贅沢をしたいことがある。
今年は長らく途絶えていた家庭菜園を復活させたい。
猫の額の庭は春を待っている。