鎌倉市議会議員 納所てるつぐブログ

日々の議員活動でのできごとや思ったことをつづっています。

プールの安全対策

2006年08月08日 | Weblog
 埼玉県ふじみ野市の市営プールで小学2年の女子児童が死亡した事故を受け、全国の公立学校のプール3万136カ所や教委所管の公営プール2886カ所を対象にした文部科学省の緊急調査によると、
「吸排水口のふたが固定されていないプール」が38都道府県で305カ所、
「吸排水管内に吸い込み防止金具が設置されていないプール」が37都道府県で1596カ所もあったそうです。

 見逃せないのはこの2点は、文部科学省がプールの安全対策として毎年通知で指導していたということ。
 それにもかかわらず、悲惨な事故が起き、真夏に多くの学校、公共施設でプール使用が中止される事態になったわけです。

 神奈川県内にある公立校や公営のプールのうち計10カ所が吸排水口のふたが固定されていなかったそうですし、文部科学省は吸排水口のふたを固定するだけでなく、「吸い込み防止金具」を取り付けるよう各県教委に通知しているのですが、その金具を設置していないプールは学校85カ所、公営25カ所の計110カ所あったことも分かりました。

 鎌倉市内でも1箇所、吸い込み防止金具が二重になっていない学校プールがあったということで、使用を中止しました。
 安全対策を施し、使用再開がいつになるのか、昼間、教育委員会に報告を求めました。

 いつもだったらこのような場合、教育委員会から文教常任委員に連絡があるものなのに、今回はこちらから聞くまで、連絡や報告がありませんでした。

 毎年水の事故が繰り返されている中、学校や公共のプールは安全対策に最も気を遣う場所なのに、全国的に対応が緩慢になっていたのはどういうことでしょう。

 高校のとき、社会科の授業で教師が偉そうにいったことばが思い出されました。
「日本の公務員は、人が死なないと動かないものだ。だからダメなんだ」と

当時、心の中で私はその教師に反発しました。
……そういうあんたも公務員だろうが!

 でも、本当に事故が起きないと動かないのだろうか。

対談集から

2006年08月06日 | Weblog
最近、立て続けに養老孟司氏の対談集を読みました。
1冊が作家でエッセイストである阿川佐和子さんとの「男女(オスメス)の怪」、
もう1冊が法政大学教授の王敏(ワン・ビン)さんとの「君子の交わり、小人の交わり」です。

対談集は読みやすく、どんどん読み進んでしまうのですが、養老先生の含蓄ある言葉に思わず、はっとしたり、そういうことだったのかと納得したりで、同じ箇所を読み返し読み返ししながら、割と慎重に読みました。

両方の書に共通しているのが、日本人は無思想・無宗教の社会であるという論。
つまり原理原則に縛られるのを意図的に避けてきた国民性があるということです。
ところが中国や欧米諸国は原理原則を持っているのが当たり前で、そこに相互理解の壁があることに気づかないと、問題解決にならないというものでした。

日本人が下手に原理原則を持とうとすると、失敗する。
その一番の失敗例が敗戦だというのです。

今日は、広島原爆投下61年目の朝でした。
今、思った以上に欧米化している日本。
バブル崩壊までは、資本主義でありながら最も成功した社会主義国家などと皮肉を言われていた日本ですが、長い不況を脱出すべく小泉改革というアンシャン・レジーム打破の5年が過ぎ、今、静かに自己責任と自立を求める欧米型社会への移行が行われようとしています。

そんな中で、今マスコミが騒いでいる靖国神社公式参拝やA級戦犯合祀の問題が、これからの改革の方向を誤らせることになりかねないのを心配します。

どう考えたって神社で宗教法人なんだから、公式参拝はありえないでしょ。
私は憲法上、総理の伊勢神宮参拝だって遠慮すべきだと思っているのですが、神道、仏教、キリスト教となんでもありの無宗教日本ではそれがまかり通る。
そうすると日本国の原理原則をあえて規定した日本国憲法との整合性がとれなくなる。
その辺が諸外国の理解しがたいところでもあると思う。

養老先生の対談を読みながら、そんなことを考えました。

「あつい」一日

2006年08月05日 | Weblog
横浜駅近くのかながわ県民センターに出かけてきました。
ここでは第13回AIDS文化フォーラムin横浜が行われています。
主催である組織委員会は横浜商工会議所、いのちの電話、横浜のJC、YMCA,などで構成され、神奈川県が共催しているものです。

今年は、エイズと宗教について、また社会問題では夜回り先生で有名な水谷修先生の講演などのほか、エイズや薬物、非行、人身売買などを取り上げた映画の上映などもあり、会場の会議室をフルに使い、数え切れないほどの講座が行われていました。
展示コーナーもあり、多くのNPOがブースを構えていましたが、高校生の参加も多く、たのもしい限りです。

私は映画上映とその中でのトークイベントを参観しました。
昨年のフォーラムで、エイズ検査を呼びかけたところ、会期中425名が検査に臨んだそうです。
その結果、B型肝炎が9名、梅毒が58名、そしてHIV感染者が9名だったそうです。
ここで、注意したいのはHIV感染者の増加も非常事態ですが、梅毒や淋病、クラミジアなどの性感染症にかかっている人も若者に急増しているという事実です。
そこには高校生などの青少年を惑わす大人の影が見え隠れします。
学校現場での性教育のあり方を論議する以前に、性の正しい知識を普及する社会教育の充実もなんとかしなければならないでしょう。
子どもよりも大人の知識、認識のお粗末さの方が問題を深刻化させているように思います。

エイズや薬物問題などには身近な地域の取り組みがもっと必要だと感じましたところ、会場で名古屋でエイズサポート活動をしている「ANJEL LIFE NAGOYA」方に、直接お話を聞くことができました。
彼はゲイ・ムーブメントでのエイズ防止キャンペーンを精力的に行っている人で、名古屋市の協賛まで勝ち取っています。
しかし行政の応援をもらったからといって、その運動に理解の輪が広がるわけでもなく、偏見からキャンペーン会場を直前に断られたりということもあり、苦労の連続だそうです。

男女共同参画を推進することだけでも、推進反対のバックラッシュがあるなかで、ゲイ・ムーブメントはさらに理解が得られず、ゲイでHIV感染、さらにエイズ発症となると、その理解者はかなり限られてくるそうです。

彼の「あつく」語る姿に、セクシャリティによる差別や無理解は、どこまで存在するのか、なまじ知った気でいた私は、ずいぶん考えさせられました。

夜は、地元での第3回ふかさわ夏まつりにでかけました。

地域のみなさんによる手作りのおまつりで、今年で3年目です。
石渡市長もかけつけ、ひとことご挨拶されていました。
恒例の灯籠流しでは灯籠を運ぶお手伝いさせてもらいました。
灯籠流しと深沢ズンドコおどり、そして地元の手作り御みこしも繰り出して、楽しみましたが、家族連れの楽しいおまつりの雰囲気と、昼間聞いたエイズや非行青少年の話が、対極にあるような気がしました。

昼も夜も「あつい」空気に触れました。

地方議会と市民参加

2006年08月03日 | Weblog
 今日は第1回全国市議会議長会研究フォーラムが行われました。
 全国の市議会議員、事務局職員、自治体職員が日比谷公会堂に集まり、「地方議会と市民参加」をテーマとした講演とパネルディスカッションに臨みました。
 鎌倉市からは自治基本問題調査特別委員会のメンバーを中心に議員、事務局職員合わせて14名が出席しました。

 基調講演はマニフェストの提言で有名な元三重県知事の北川正恭氏でした。
 「北京で一羽の蝶々が羽ばたくと、ニューヨークでハリケーンが生じる」というカオス(混沌)理論のたとえ話から、分権時代と二元代表制の地方自治体のあり方についての話がありました。

 言葉は丁寧ですが、結局は自慢話の羅列に、正直言って、眠かった。
 私は2階席で聞いていたのですが、たぶん1階席も眠そうな雰囲気だったのでしょう。
 北川氏は途中、わざと声を大きくしたりして、話していました。
 北川氏の話に出てきた、国から三重県に出向した県土部長についての話題をもっと知りたかった。どちらかというと、知事よりもこの部長さんの方が、住民参加において三重県の先進的な試みを推進した方ですから。

 パネルディスカッションは「地方議会と市民参加」をテーマに中央大教授の礒崎初仁氏をコーディネーターに4人のパネリストで行われました。

内 容としては、地方分権時代に行政が変わるのなら、議会も変わらなければならない。そこにどう市民が参加していくのかという視点から議論が展開されました。

 パネリストの1人、三重県四日市市議会議長が四日市市の議会改革と市民参加の取り組み、そして議員提案による市民自治基本条例制定についての経過を紹介してくれました。
 しかし、それについてパネリストの1人でNPO法制定に取り組んだ金沢大・大学院教授の女性が、的外れの批判を展開したため、会場の空気がスーっと引いていくのがわかりました。
 四日市の議長さんが上手に反論したところ、会場からは声援と拍手がおこりました。
 会場の議員さんたちは、この教授の「上からの物言い」にカチンと来ていたのでしょう。見ていて、ちょっと笑ってしまいました。
 この教授は論点が市民よりもNPO中心でなければダメといったものでしたので、会場全体の理解を得るのは難しいようでした。

 先日、札幌で行われた全国都市問題会議は市長会主催でしたので、行政側の視点でしたが、今日は、市議会議長会主催でしたので、議会側の視点で展開されておりました。
 おかげさまで両方の視点での考え方が比較できました。
 来年の研究フォーラムは10月に、熊本市で行われるそうです。