鎌倉市消防本部の救急車を見せたいただいたら側面に写真のようなシンボルマークが表示されていました。
救命救急士の方の話によると、このマークは救急医療のシンボルで「生命の星(The Star of Life)」といわれるものだそうです。
現在、世界の多くの国で救急のシンボルにこのマークを採用し、国際的な認識が深まっているそうですが、最近では、日本でも多くの消防本部が救急車に表示したり救急隊員の肩章などとして採用しはじめており、鎌倉市消防本部でも採用しているそうです。
でも、なぜ蛇と杖のマークなんだろう?
中央の杖と蛇は「医学」を象徴するもので、「杖」は旅行者の使う杖、「蛇」は知恵を表し、ギリシャ神話のアスクレピウスに由来しているそうです。
またマークの6つの先端は、それぞれ救急医療(EMS)の機能と順序を表わすそうで、
1.発見
2.通報
3.応対
4.現場処置(1次救命処置)
5.搬送措置(救急車内処置)
6.病院への移管
を意味するそうです。
このマークの由来であるギリシャ神話を調べてみましたら、いくつか異なったストーリーがありましたが、大要次のような話でした。
このアスクレピウスは、アポロンと王の娘である美女のコロニスとの間の子です。
アポロンは言葉を話し、その羽が純白の一羽のカラスを使いとしてコロニスとの連絡係にしていましたが、あるとき、そのカラスがコロニスが他の青年と浮気をしているとアポロンに告げたために、アポロンはたいそう腹を立て、美女コロニスを矢で射殺してしまいました。
ところがコロニスが浮気をしたというカラスの報告は道草を食っていた言い訳に付いた嘘だったのです。(カラスがうっかり者で早とちりをしたという説もありました。)
アポロンはカラスを罰して言葉を取り上げ、白い羽を真っ黒に変えてしまいました。このカラスの姿が現在のからす座だそうです。(といっても私にはどの星座かはわかりませんが・・・)
コロニスは身ごもっていることを告げて死んだため、アポロンは胎児を救い出し、ケンタウロスの賢者ケイロン(一説には山羊)に養育を託しました。
アスクレピウスは、いつも犬を連れ、蛇を巻き付けた杖を持ち歩いていましたが、森の中で木の実や草を食べて育ったため、その薬効に詳しくなったそうです。
その後、診断学・薬学・外科学などの医学を修得したアスクレピウスは死者までをも蘇らせるほどの腕となりました。
しかし、アスクレピウスがあまりにも死者を蘇らせるため、死者の国の王であるハーデスは、神々の王であるゼウスに訴え出たために、アスクレピウスは雷によって殺されてしまいました。
父のアポロンはゼウスに懇願したため、のちにアスクレピウスは天の星なったそうです。
南の空に輝く「蛇使い座」とは、蛇を従えたアスクレピウスの星座だそうです。
(そういえば、星占いの話で聞いたことのある星座です。)
そのアスクレピウスがいつも蛇が巻きついた杖を持っていたことから、この杖を「アスクレピウスの杖」と呼び、それが医学のシンボルとなったということです。
アメリカでは1910年にアメリカ医学会が救急のロゴとして使用するようになったそうです。
救命救急の崇高な志を理解し、適正な救命救急のあり方を考えてもらうためにも多くの市民にこのマークの意味を知ってもらいたいものだと思いました。