鎌倉市議会議員 納所てるつぐブログ

日々の議員活動でのできごとや思ったことをつづっています。

生命の星(The Star of Life)

2008年05月31日 | Weblog


 鎌倉市消防本部の救急車を見せたいただいたら側面に写真のようなシンボルマークが表示されていました。

 救命救急士の方の話によると、このマークは救急医療のシンボルで「生命の星(The Star of Life)」といわれるものだそうです。

 現在、世界の多くの国で救急のシンボルにこのマークを採用し、国際的な認識が深まっているそうですが、最近では、日本でも多くの消防本部が救急車に表示したり救急隊員の肩章などとして採用しはじめており、鎌倉市消防本部でも採用しているそうです。

 でも、なぜ蛇と杖のマークなんだろう?

 中央の杖と蛇は「医学」を象徴するもので、「杖」は旅行者の使う杖、「蛇」は知恵を表し、ギリシャ神話のアスクレピウスに由来しているそうです。

 またマークの6つの先端は、それぞれ救急医療(EMS)の機能と順序を表わすそうで、
1.発見
2.通報
3.応対
4.現場処置(1次救命処置)
5.搬送措置(救急車内処置)
6.病院への移管
を意味するそうです。

 このマークの由来であるギリシャ神話を調べてみましたら、いくつか異なったストーリーがありましたが、大要次のような話でした。

 このアスクレピウスは、アポロンと王の娘である美女のコロニスとの間の子です。

 アポロンは言葉を話し、その羽が純白の一羽のカラスを使いとしてコロニスとの連絡係にしていましたが、あるとき、そのカラスがコロニスが他の青年と浮気をしているとアポロンに告げたために、アポロンはたいそう腹を立て、美女コロニスを矢で射殺してしまいました。

 ところがコロニスが浮気をしたというカラスの報告は道草を食っていた言い訳に付いた嘘だったのです。(カラスがうっかり者で早とちりをしたという説もありました。)

 アポロンはカラスを罰して言葉を取り上げ、白い羽を真っ黒に変えてしまいました。このカラスの姿が現在のからす座だそうです。(といっても私にはどの星座かはわかりませんが・・・)

 コロニスは身ごもっていることを告げて死んだため、アポロンは胎児を救い出し、ケンタウロスの賢者ケイロン(一説には山羊)に養育を託しました。

 アスクレピウスは、いつも犬を連れ、蛇を巻き付けた杖を持ち歩いていましたが、森の中で木の実や草を食べて育ったため、その薬効に詳しくなったそうです。

 その後、診断学・薬学・外科学などの医学を修得したアスクレピウスは死者までをも蘇らせるほどの腕となりました。

 しかし、アスクレピウスがあまりにも死者を蘇らせるため、死者の国の王であるハーデスは、神々の王であるゼウスに訴え出たために、アスクレピウスは雷によって殺されてしまいました。

 父のアポロンはゼウスに懇願したため、のちにアスクレピウスは天の星なったそうです。

 南の空に輝く「蛇使い座」とは、蛇を従えたアスクレピウスの星座だそうです。
(そういえば、星占いの話で聞いたことのある星座です。)

 そのアスクレピウスがいつも蛇が巻きついた杖を持っていたことから、この杖を「アスクレピウスの杖」と呼び、それが医学のシンボルとなったということです。

 アメリカでは1910年にアメリカ医学会が救急のロゴとして使用するようになったそうです。
 
 救命救急の崇高な志を理解し、適正な救命救急のあり方を考えてもらうためにも多くの市民にこのマークの意味を知ってもらいたいものだと思いました。



新型インフルエンザ対策

2008年05月29日 | Weblog
※注意※・・・あらかじめお断りしておきますが、今日も恐ろしく長いので、お読みになる際は、目の疲れ、気力の減退等に十分ご注意ください。

 最近、国内複数の場所で白鳥の死骸から鳥インフルエンザウイルスが検出されたという恐ろしいニュースが流れました。

 現在東南アジアを中心に鳥から人への感染があり心配です。

 WHO(世界保健機関)によれば、今年に入って確定症例があったのがバングラデシュ、中国、エジプト、インドネシア、ベトナムで症例数合計32人、死亡例数が24人となっています。

 とくにインドネシアでは16人が発症し13人がなくなっています。

 このWHOの報告では、4月30日現在、今までに鳥インフルエンザの鳥から人への感染の合計数は382人、死者は241人とのことで、中には人から人への感染例があったことも報告されています。

 新型ウイルスに対しては免疫がないため、ひとたび発生すると爆発的な流行がおこる恐れがあります。

 過去の新型インフルエンザの流行で、大きな被害が出たのは1918年(大正7年)の「スペイン風邪」の流行と、1968年(昭和43年)の「香港風邪」の流行だそうです。

 スペイン風邪は世界で死者約4000万人、日本でも39万人が亡くなり、「香港風邪」では世界中で100万人もの死者があったそうです。

 香港風邪が流行したときは、私は小学校5年生でしたので、話題になったことはかすかに記憶にあります。

 当時は今と違ってインフルエンザが「流行性感冒」で、風邪の一種と思われていたようで、今と危機感の持ち方が違っていたような気がします。

 しかしインフルエンザは風邪ではなく流行性疾患だということですし、新型インフルエンザは通常のインフルエンザよりもさらにおそろしい流行性疾患だということです。

 普通のかぜの症状は、のどの痛み、鼻汁、くしゃみや咳(せき)などが中心で、発熱もインフルエンザほど高くなく、重症化することはほとんどありません。

 一方、通常のインフルエンザの場合は38度以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛など全身の症状が強く、あわせて普通のかぜと同様の、のどの痛み、鼻汁などの症状も見られます。さらに、気管支炎、肺炎、小児では中耳炎、熱性けいれんなどを併発し、重症化することもあるのが特徴です。

 インフルエンザが流行した年には、高齢者の冬季の死亡率が普段の年より高くなるという点からも、普通のかぜとは異なります。

 通常のインフルエンザには型に応じたワクチンがありますので予防が可能ですが、新型インフルエンザは新型であるがゆえにワクチンがありません。

 現在発症している新型インフルエンザウイルスの型をもとに予測したワクチンの開発と備蓄が求められています。

 このようなときこそ政治が早急に手を打つべきです。

 昨年1月、公明党は新型インフルエンザ対策本部を設置し、新型インフルエンザが発生した際の行動計画の着実な実施、新型ワクチンの生産体制の確保や新薬の開発促進などを政府に申し入れています。

 一方政府は今年4月9日、新型インフルエンザが海外で発生した場合の水際対策などについての方針をまとめました。

 方針のポイントは、ウイルスの侵入防止の徹底と、国内のまん延を可能な限り防ぐこと、帰国を希望する在外邦人を速やかに帰国させることです。

 もし発生国からの定期便が運航停止となった場合、政府は航空会社に対し、臨時便の運行を呼びかけたり、政府専用機・自衛隊機の使用などにより帰国手段の確保に努めます。

 その際、検疫のため、航空機や船舶の受入れ地は成田、関西、中部、福岡の4つの空港と、横浜、神戸、関門の3つの港に限定し、発生国からの外国人の入国を制限します。

 また4月25日には国会で新型インフルエンザ対策を盛り込んだ改正感染症予防法と、改正検疫法が成立しました。

 法律で新型インフルエンザを「感染症」として定め、患者の入院、検疫などの措置をとれるようにしたもので、ワクチンや抗ウイルス剤の備蓄強化や研究開発も盛り込まれています。

 国内では、感染の恐れのある人に対して知事が外出自粛を要請したり、海外から帰国した人で感染の可能性が高い場合には、空港近くに一定期間留まってもらったうえで検査を実施するよう定められました。

 厚生労働省では新型ウイルスの病原性が重度の場合、最悪の想定として国内では4人に1人が感染し、死者も64万人に上ると試算しています。

 新型インフルエンザが発生すると「パンデミック」といわれる感染爆発も予測されます。

 「パンデミック(Pandemic)」という言葉のもともとの意味は、地理的に広い範囲の世界的流行および、非常に多くの数の感染者や患者を発生する流行を意味するもので、AIDSなどにも使用されてきたそうです。

 インフルエンザ・パンデミックは、「新型インフルエンザウイルスがヒトの世界で広範かつ急速に、ヒトからヒトへと感染して広がり、世界的に大流行している状態」だそうです。

 最近では「パンデミック」と言う言葉がそのまま「インフルエンザ・パンデミック」を指すように使われることが増えたそうです。

 実際には、WHOフェーズの「6」をもって、パンデミックとするそうです。

 先日NHKで、もし日本に新型インフルエンザが発生したらどうなるかを予想したドラマが放送されましたが、私はそのとき初めて「フェーズ6」という言葉を認識しました。

 これらの自体には当然、自治体の取り組みも重要になります。

 今月21日には川崎市消防局が新型インフルエンザ対策総合訓練を実施しました。

 これは全国で初めて消防機関が中心となって実施した訓練だそうで、訓練では市や医療機関などとの連携を確認しました。

 この日は、「新型インフルエンザの発生地に渡航していた男性が、帰国後に体調の異変を訴える」という想定で訓練が行われたそうです。

 119番通報→指令センター→市や神奈川県、医療機関など関係機関へ連絡。
 一報を受けた救急隊員は、感染防護衣やゴーグルなどを着用し、患者を市立川崎病院へ搬送。

 その後「この男性と同じ職場に勤務する女性、また男性と同じ通勤経路の女性にも新型インフルエンザとみられる症状が発症した」との設定でも同様の訓練が行われたそうです。

 鎌倉市でもこのような訓練の実施が必要であることはいうまでもありませんが、私はできれば近隣各自治体と広域で行い、対応の方法を共有するべきではないかと思っています。

鎌倉幕府の成立はいつ?

2008年05月28日 | Weblog
 歴史のテストで鎌倉幕府の成立年を「イイクニ(1192)作ろう鎌倉幕府」と覚えた年号で1192年と答えを書くと今では不正解になります。

 1192年は源頼朝が征夷大将軍になった年ですが、頼朝の権力・統治機構はそれ以前から存在していましたので、1192年を幕府成立年とするには無理があるということだそうです。

 では、いつが幕府成立の年なのでしょう?

 私はてっきり1185年だと思っていました。

 この年は頼朝が義経追捕を名目に全国に守護・地頭の設置を認めさせた年(文治の勅許)であり、全国の軍事権・警察権を掌握した年ですので、それをもって実質支配権が確立されたものと考えていたからです。

 しかし世界遺産登録を目指す鎌倉市は1180年説をとっています。(大倉幕府の成立)

 1180年(治承4年)は鎌倉の大倉に御所が置かれ、幕府の統治機構の原型ともいうべき侍所(さむらいどころ)も設置され、武家政権が形成された年ですので、この年を幕府の成立年としているようです。

 源頼朝は、1180年8月に流罪地の伊豆で挙兵しました。

 石橋山の戦いで敗走しましたが、敗走先の安房から上総国・下総国へと軍を進めるうちに、当時の平氏政権に不満をもつ関東の武士団(坂東平氏)らの支持を獲得し、短期間で大勢力となりました。

 頼朝は、同年10月、先祖ゆかりの地である鎌倉へ入り本拠地とし、関東武士団を統率するために侍所を置き、頼朝は関東武士団の代表として「鎌倉殿」と称されるようになりました。

 たしかに「鎌倉殿」と呼ばれるようになるということは鎌倉幕府成立の実態を表していますね。

 さらには頼朝が朝廷から権大納言兼右近衛大将に叙任され、公卿に列したうえで、荘園領主の家政機関たる政所(まんどころ)開設の権利を得たことで、合法的な統治機構としての存在が認められたことにもなります。

 調べてみたら幕府成立を1183年とする説もありました。

 1183年、平氏を京都から追放した源義仲が北陸宮の天皇即位を迫り、京で乱暴な行動を重ねたことに困惑した後白河上皇が、頼朝に助けを求めたのですが、頼朝は逆に東海道・東山道・北陸道の荘園・公領を元のように国司・本所に返還させる内容の宣旨(寿永二年十月宣旨)を発するよう要求しました。

 朝廷側は、義仲に配慮して北陸道は除いたものの、頼朝の要求をほぼ認めました。

 これにより頼朝は東海道・東山道の支配権を獲得しましたので、この年を鎌倉幕府成立とする説です。

 おどろいたのは1221年(承久3年)の承久の乱での勝利をもって幕府の成立とする見解もあることです。

 たしかに鎌倉幕府は承久の乱で全国的な支配権を確立するに至りました。

 承久の乱は、実朝暗殺をきっかけに後鳥羽上皇が鎌倉幕府に対して討幕の兵を挙げましたが、あえなく幕府側に敗れた兵乱です。

 武家政権である鎌倉幕府の成立後、京都の公家政権(治天の君)との二頭政治が続いていましたが、乱の結果、幕府が優勢となり、朝廷の権力が制限され、幕府が皇位継承などに影響力を持つようになりました。

 そして1232年、御成敗式目が制定されるなど政治の中心が徐々に武家へと移っていくきっかけの事件ですのでこの承久の乱をもって鎌倉幕府の成立とするというのです。

いったい鎌倉幕府の成立は何年なのでしょうか。

自治基本問題調査特別委員会

2008年05月27日 | Weblog
 昨日、自治基本問題調査特別委員会の審査が終了しました。

 この自治基本問題調査特別委員会は地方分権の流れの中で自治体をどう運営をしていくのかという命題について鎌倉市議会としても調査研究する必要から2年前に設置されたものです。

 地方分権とは国と地方自治体がそれまでの上下・主従の関係から対等の関係へと変化することでもあります。

 その流れの中で自治体がいわゆる「地方政府」としてのあり方を模索するにはそれまでの住民自治のありかたを根本からもう一度考えなければなりません。

 そのひとつが自治体の憲法ともいわれる「自治基本条例」の策定です。
 これについては現在市民の策定委員会のみなさんが現在真剣に取り組んでいます。

 議会は議会としてこれからの自治体のあり方を議論しておかなければならないというのがこの委員会に課された役目でした。

 2年間29回もの委員会の中でこのほど委員会としての報告書が完成しました。
 こののち議長および6月定例会で議会に報告する運びです。

 ふつうの委員会と違ってなにもないところから委員自らが議論すべきことを模索し組み立てるという作業は始めてのことで本当に勉強させられました。

 各委員の白熱する議論をまとめた正副委員長も大変だったと思いますし議会事務局にも調査やまとめで大変な作業をお願いしました。

 みなさん本当にお疲れ様でした。

 私自身も回数を重ねるごとに持ち込む資料が増え最後は分厚い自治六法を持ち込んでの悪戦苦闘になりました。

 でも本番はこれからです。

 これまでの議論をもとに策定市民会議の結論をまち行政も加わり、そして市民の皆さんの判断を仰いでからが本当の自治体経営のスタートになります。

 実はそれからの方が大変な道のりなのかもしれません。

ラスパイレス指数

2008年05月27日 | Weblog
 橋下徹・大阪府知事が、知事部局や府教委の職員に平均12%の給与カットの人件費削減案を打ち出し、危機的な状況にある大阪府の財政再建にとりかかっています。

 それだけ大阪府は府職員の給料が高いのでしょうか?

 調べてみましたら、大阪府のラスパイレス指数は97.0でした。

 ラスパイレス指数とは19世紀後半にドイツの統計学者ラスパイレスの提唱した指数で、物価指数にも使いますが、ここでは国家公務員の給料月額を100とした場合の地方公務員の給与水準を指数で示すものをいいます。

 つまり国家公務員の給料を100とした場合、大阪府職員の給料は97です。

 橋下知事も「大阪府の公務員の給料が高いと思っているわけではありません」と断ったうえで職員に対し理解を求めています。

 しかしこの指数には「地域手当」が含まれていません。

 要するに基本給の比較です。

 平成18年度から国の給与構造改革に伴い、給料表の引き下げとともに、客観的な支給基準に基づく「地域手当」が導入されました。

 つまり基本給の一部を地域手当に振り替えて支給するもので、毎年順次補正をおこない平成22年度までに完成させるものです。

 そこで地域手当を加味した地域における国家公務員と地方公務員の給与水準を比較するため、地域手当の支給率を用いて補正したラスパイレス指数(地域手当補正後ラスパイレス指数)を参考として算出する「地域手当補正後ラスパイレス指数」も参考にされるようなりました。

 つまり給料+地域手当で比較しようとするものです。

 この地域補正で比較した場合、大阪府は96.7になりさらに低くなります。

 では鎌倉市はどうでしょう。

 かつて全国一給料の高い市といわれた鎌倉市のラスパイレス指数は、104.4(H13年)→103.3(H14年)→103.0(H15年)→97.0(H16年)→96.6(H17年)→96.4(H18年)と下げられてきました。
ちなみに 地域手当補正後ラスパイレス指数は95.5(H18)と最低水準になりました。

 ところが昨年4月1日現在の鎌倉市のラスパイレス指数は102となり、県内5位でした。(政令市をのぞく31市町村の中で)

 これは給与の独自抑制措置が終了したことによるものです。

 実はこれは鎌倉市だけのことではなく県内市町村の平均ラスパイレス指数は減少傾向で推移してきましたが、平成19年は前年より1.2高い101.8になりました。

 これは給与の独自抑制措置が終了したことや、給与構造改革の導入時期が国と異なる団体があったことによるものです。

 平成19年の県内ラスパイレス指数の最高は藤沢市の104.4、最低は真鶴町の89.7です。

 でもこれは補正前の基本給のラスパイレス指数のことです。

 地域補正後の鎌倉市のラスパイレス指数はどうなるのかと思ったら、補正しても102で変わりませんでした。

 なぜかというと国も鎌倉市も補正率が12%で同じだったからでした。

 しかし鎌倉市の102という補正後の指数は、補正前県内5位から24位に下がっています。

 そしてこのままでいくと平成22年の制度完成時の補正後ラスパイレス指数は99.3となります。これは他の県内各市町村の補正率が高いためです。

 それよりも気になったのは職員の平均年齢です。

 鎌倉市の平均年齢は46.3歳と県内3位の高さです。

 平均年齢の高さ1位は伊勢原市の46.7歳、一番低いのは二宮町の38.9歳でした。

 職員の平均年齢が高いこと、給与水準が抑えられていること。
 これが職員の働く意欲、そしてこれから鎌倉市の職員になろうとする人にどう影響をするのか。

 すこし心配になります。

食糧危機問題

2008年05月25日 | Weblog
 今年に入って、食糧の値上がりが目立ち始めています。

 原材料の小麦などの値上がりは食糧自給率39%の日本にとってかなり厳しいものがあります。

 世界銀行によると、コメ、小麦、トウモロコシなど穀物の価格は、3年前に比べて平均で83%も上昇しているとか。

 その原因は、テレビなどで放映されているバイオ燃料への転用かと思ったら、それだけではなく、近年新たに経済の発展を遂げた国々の需要増大や、天候不順による穀物の生産減少などさまざまにあるそうです。

 インド、エジプト、中国、ベトナム、カンボジアなどのコメの輸出国では自国の食糧を確保するために輸出規制を始めたそうで、周辺のコメ輸入国に影響が出ているそうです。

 とくにコメの消費量の約20%を輸入に頼るフィリピンでは、コメの輸入元であるベトナムの輸出規制の影響で深刻なコメ不足に陥っているそうで、このままだと政権にも影響を及ぼしかねないとか。

 日本ではアメリカから輸入し在庫が余っているコメ5万トンをフィリピンに緊急輸出するという報道がありましたが、こういう背景があったのですね。

 小麦の主要輸出国であるオーストラリアでは干ばつの影響で小麦の生産量が例年の半分に激減したとか。

 その影響が遠くエジプトに波及し、主食のパンの原料である小麦価格が高騰し、エジプト国内では暴動にまで発展したと知り、驚きました。

 オーストラリアの減産分はアメリカからの輸出によりなんとか対応できたそうですが、この影響でアメリカの小麦在庫率は8年前の約40%に比べ、10%と最低水準まで落ち込んでしまったとのことです。

 この状況が国際投資グループの動きを誘い、市場に投機的なマネーが流入することになり、穀物の相場がさらに高騰することになったとか。

 穀物がマネーゲームのターゲットになるのはどうかと思います。
 昔から「小豆相場」や「コメ相場」と聞くと、あまりいい印象を持ちませんでしたから。

 これが世界的な「米騒動」ならぬ「穀物騒動」にならなければよいがと心配します。

 世界の人口は約62億人ですが、世界の穀物の総生産量は年間約20億トンあるそうで、単純に一人当たりで割れば300キロ以上もの量になり、穀物を世界中に公平に分配すれば世界中から飢餓がなくなる計算です。

 しかし、ご承知のように穀物の多くは牛など家畜の飼育に回されます。

 肉牛は牧草で育てる牛よりも、穀物を食べて育った牛の肉のほうが脂肪が入っておいしく価格も高いのだそうですが、飼料の消費量を計算すると肉牛が育つには肉1キロについて8キロのトウモロコシが必要だそうです。

 つまり肉を1キロ食べるということは、8キロの穀物を消費しているということになります。

 またバイオ燃料の原料として小麦やトウモロコシなどを使うことは、世界の食糧危機を加速させることになるという人もおり、石油製品需要の増加分20%をバイオ燃料で代替すると、食用に回す穀物はなくなってしまうと警告しています。

 バイオ燃料はこれからとても大切な燃料になるものだけに、複雑な思いがします。

 世界的な食糧価格の高騰については、7月に北海道で開催される洞爺湖サミットでも、この問題を取り上げることが決まるなど、複雑な食糧危機問題は国際的にも深刻に受け止められています。

 日本としても食料の自給率をあげることや、穀物に頼らないバイオ燃料の開発など、温暖化防止のみならず、真剣に取り組まねばならない課題が山積しているのですね。

平泉ショック

2008年05月24日 | Weblog
 朝一番のニュースで、日本が世界文化遺産への登録を推薦していた「平泉-浄土思想を基調とする文化的景観」(岩手県平泉町、奥州市、一関市)について「国際記念物遺跡会議」(イコモス、本部・パリ)が「登録延期」を国連教育科学文化機関(ユネスコ)に勧告したことを知り驚きました。

 7月にユネスコの世界遺産委員会で審議されるそうですが、勧告通りだと推薦書の書き直しが必要だそうで、結論は10年以降に持ち越されるとのこと。

 同じように「登録延期」が勧告された石見銀山遺跡(島根県大田市)は、世界遺産委員会の開催前に政府が行った懸命なロビー活動などの結果、逆転登録となりましたが、昨年と同じように逆転登録となるでしょうか。

 昨年は、委員会の委員に日本の代表がいたこともありましたが、今回はいないということも不安材料です。

 今回の勧告では「平泉の景観が『人類の歴史上の重要な段階を物語る見本』であることを十分に証明しきれていない」「同種の遺産との比較研究が十分でない」など指摘されたそうです。

 平泉を構成する要素に中尊寺や毛越寺、無量光院跡など9資産を挙げ、周辺の自然などと一体となった「文化的景観」は、鎌倉よりもコアなイメージがあっただけに意外でしたし、そのことが同じく世界遺産登録を目指す「武家の古都・鎌倉」をどのように評価するのか、いささか心配になります。

 平泉は奥州藤原氏が京都の朝廷に対して、地方政権としての存在を認めさせたものであり、のちに奥州藤原氏を滅ぼした源頼朝が平泉と同じ手法で朝廷に対峙するものとして鎌倉に関東の武家政権を樹立したという背景があります。

 つまり平泉は鎌倉幕府成立のお手本ともなった存在だけに、それが評価されなかったことが気になります。

 とくに「景観」のありかたや「同種の遺産との比較研究」など、鎌倉と大いに共通する部分があります。

 「武家の古都」が「軍事政権の単なる中心地」と受け取られはしないか、鎌倉幕府が日本の「中世」「封建制度」の始まりを象徴する「都」であったことが景観から受け取ってくれるだろうかと、あれこれ心配になります。

 今回の平泉の登録延期を他山の石として、よく研究して取り組まねばならないと思います。

はしゃぎすぎの政治家

2008年05月22日 | Weblog
 毎日新聞によると中央社会保険医療協議会(中医協)で制度の細部を決めた専門委員らが後期高齢者医療制度の廃止・見直し論で騒いでいる政治家たちを批判したとの報道がありました。

 21日に行われた中医協の会合では
 「政治家は制度を政争の具にし、不信をあおっている。当事者意識を持ってほしい」
 「現象面だけの批判だ。全体の評価がない」
 「議員ははしゃぎすぎだ」
などと政治家への苦言が続出したそうです。

 中医協は08年度の診療報酬改定で、75歳以上の医療費の一部定額制や延命治療の減少も意図した後期高齢者終末期相談支援料を導入しました。

 昭和48年に始まった老人保健制度もすぐに手直しが必要となり以来11回も改定が加えられ抜本的な制度改革の必要から2年前に後期高齢者医療制度を組み立てて今年から始まった制度です。

 それまでの議論を根本から覆すような廃止論はどこから出てくるのか。

 年金問題追及で味を占めた政治家が次のターゲットとして取り上げたのがこの制度なのではないでしょうか。

 そこに「当事者意識」つまり「国民」の側からの発想はないといいたい。

 周知の不徹底など現象面の批判ならどの角度からもいえます。
 それはマスコミの得意とするところで政治家ならばさらにその先の視点をもって論ずるべきでしょう。

 しかし廃止論者からはこの制度の目指す高齢者医療の全体像に対する評価は皆無です。

 本当に国民の側に立つならば将来にわたって持続可能な制度のあり方を財源の確保も含めて議論すべきです。



自動心臓マッサージ器

2008年05月21日 | Weblog
 毎日新聞によると今週大阪大学でフットサルサークルの男子学生が練習中ボールが胸に当たり一時心停止になるという事故があったそうです。

 救急隊の指示を受けたサークル仲間の応急処置とキャンパスに設置された自動体外式除細動器(AED)が命を救い男子学生は後遺症もなく退院する予定だとか。

 豊中市消防本部によると「一般的に心停止時間が3分を超えると救命が難しくなる。一緒にいた学生が連係プレーで応急処置をやったこととAEDが備え付けになっていたことが救命につながった」ということです。

 各地でAED(自動体外式除細動器)が救命に役立っています。

 一方横須賀市では今年度全救急隊で「自動心臓マッサージ器」の運用を開始しました。

 救急車が入れない高台の多い横須賀市では救急車が患者の自宅前まで入り込めないケースが多く階段や細い坂道を担架で救急車まで運びます。

 またエレベーターのないマンションなどでも階段を使って担架で患者を搬送します。

 横須賀市では昨年度のこのような場所への出動は約1000件でうち約40件が心肺停止患者だったそうです。

 05年に発表された国際的なガイドラインでは「心臓マッサージは絶え間なく行うことが有効」とされています。

 しかし担架で運ぶと不安定で人の手による心臓マッサージは中断せざるを得ません。

 このため自動でマッサージを続けることができる機器を導入することにしたそうです。

 この心臓マッサージ器は昨年11月に発売された米国製で患者の体に巻き付けてコンピューターで体格などを検知し胸骨全体を圧迫してマッサージするものですが一台約300万円もするそうです。

 昨年度は全11救急隊に配備し訓練を経て今年4月7日から使用を開始、さらに今年度中に8消防隊と4特別救助隊にも配備するそうです。

 マジックテープ式の胸部圧迫帯(ベルト)を装着しボタンを押すだけの機械で患者さんの胸囲に応じて胸部圧迫深度(胸の高さや厚さから測定)は自動で設定されるため時間のロスがないそうです。

 連続使用は30分可能だそうで横須賀市ではこれまでにマッサージ器を使用したのは21件(19日現在)でこのうち6件はその場で命をとりとめたそうです。

 横須賀市でこのようなことができるのは「再編交付金」があるからだそうです。

 「再編交付金」とは新しい訓練や施設建設等、在日米軍の再編計画に関係する自治体に対し国から交付される交付金で、「駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法」で定められました(平成19年8月29日施行。10年間の時限立法)。

 横須賀市はこの交付金対象自治体に指定され平成19年度より交付を受けることとなりました。

 平成19年度、20年度においては「安全・安心」と「子どもたち」のためにこの交付金を使うそうで、平成19年度では自動心臓マッサージ器の整備に三千五百万円が計上されました。

 鎌倉市も細道や坂道が多く、またエレベータのないマンションも少なからず存在しますので、救命効果向上のため全救急車に自動心臓マッサージ器を配備されるべきものであると思いますが1台300万円もの機械をいっぺんにそろえるのはなかなか難しいものがあります。

 横須賀市では一時的な予算措置で購入できましたが、そのような交付金のない鎌倉市は現在のAEDのようにリースでそろえるしかないでしょう。

 しかし元の価格が高いうちはリース料もかさむことになります。

 なんとか安くならないものでしょうかね。



1270万人の後期高齢者

2008年05月20日 | Weblog
平成20年版高齢社会白書によると75歳以上の「後期高齢者」は19年10月1日現在で1270万人と、前年より54万人増加しており、総人口に占める割合は9・9%と0・4ポイント上昇したとのことです。現実に国民の10人に1人が後期高齢者となり「本格的な高齢社会」に突入しています。

鎌倉市の統計によると、75歳以上の「後期高齢者」は平成19年1月1日現在2万172人で、総人口(17万2876人)に占める割合は11.7%となっており、国の統計より2%近く高くなっています。

総務省による高齢化の現状では65歳以上の高齢者人口は2746万人で、前年より86万人増え、総人口に占める割合(高齢化率)も21・5%と0・7ポイント上昇したそうです。

鎌倉市の65歳以上の高齢者人口は4万3763人で総人口に占める割合(高齢化率)は25.3%となっており、国の統計より4%近く高くなっています。

後期高齢者医療制度(長寿医療制度)の「高齢者の医療費を国民全体で支える仕組み」については、本当に深い理解と、行政府による徹底的な説明が必要です。

今、以前の老人保健制度に戻したらどうなるのか、後期高齢者医療制度の廃止を主張するなら、およそ10人に1人が後期高齢者であるという現状を踏まえた上での議論であるべきなのに、廃止論者からはそれが聞こえてきません。

地方分権といいつつ、道路にしろ医療にしろ地方自治体の現状を省みずに、政局のみに終始する野党の姿勢に大いに疑問を持ちます。