鎌倉市議会議員 納所てるつぐブログ

日々の議員活動でのできごとや思ったことをつづっています。

かまくら100人展

2005年10月01日 | Weblog
昨日は、鎌倉文学館20周年記念「文学都市かまくら100人展」特別披露のオープニングセレモニーに参加してまいりました。

秋の鎌倉文学館は風情があり、鎌倉の中でもとくに贅沢な雰囲気を味わえる場所ですね。

その贅沢な風情の文学館で行われる今回の特別展は、館内の特別展示室や常設展示室、それに講座室などの全7部屋を会場に、かまくらゆかりの、それも100人もの作家の原稿や書状、歌幅や愛用の品々などに接することができる、さらに贅沢な展示です。

実際に、夏目漱石や芥川龍之介などの原稿を見ると、このようなものを簡単に見てしまっていいのだろうかなどと、こちらが恐縮してしまうようなものばかりでした。

その土地ゆかりの作家として取り上げたとしても、夏目漱石、芥川龍之介、高浜虚子、与謝野晶子、里見、大仏次郎、川端康成、三島由紀夫などの明治から昭和にかけて活躍した文学の巨星、そして永井路子、早乙女貢、三木卓、柳美里さんなど現代作家のものまで100人も並ぶのは鎌倉ならではと思いました。

感心しながら、展示を見学していたところ、なんと早乙女貢氏も着物姿でいらしていました。
私は一緒にいた他の市議さんたちと、失礼を省みず、ご挨拶をさせていただきました。
それもちょうど早乙女氏ご自身の展示の前でした。
早乙女氏はそんな私たちに対して、とても気さくに会話をしてくださいました。

早乙女氏によると、ご自身の展示の大きさに驚かれていましたが、ご自身の展示の表示にちょっぴりご不満がおありのようでした。
それは早乙女氏の紹介に「平成5年から現住所に在住」と表示されていたことについてでした。
これですと平成5年に始めて鎌倉に住んだように思われてしまう。
現住所は平成5年からでも、実はその前からも鎌倉市内に在住していたので、そのことがきちんと分かるような表示であればというものでした。
早乙女氏はそんな話をなさりながらも、楽しそうに多くの展示をごらんになっていました。

文豪の原稿用紙を見ていての感想ですが、男性作家は総じて丁寧な筆跡であるのに対し、女流作家の原稿は総じてとてもダイナミックで、ものすごい勢いのある筆致であるということです。

活字でよむのと、実際の原稿で読むのは、またずいぶん印象が違うものだと思いました。

大作家の原稿をじかに読める文学出版の編集者は、こんな贅沢を味わっていたのかと思うと、ちょっとうらやましくなりました。

また作家のかつての住居位置が示された地図の展示をみると、自分が子どものころ、あの大作家がごく近所にいたのかと、当時は知らなかった事実に驚いたりしました。

また展示されている扁額に「荘園」と掲げてあるのがあり、中世の封建時代の「荘園」と名づけるなんて、おかしな扁額だなとおもってよくみたら「園」ではなく「圓」でした、それも右から「圓荘」、つまり「まどかそう」と読むのでした。
自分のおっちょこちょいさに、ちょっと恥ずかしくなりました。

この「文学都市かまくら100人展」は、12月18日まで月曜日を除く毎日開館していますので、ぜひ多くの鎌倉市民のみなさんに足を運んで欲しいものです。

なぜなら「文学都市」とは、鎌倉の外に宣言することよりも、まず鎌倉市民が、地元鎌倉の高い文学性に親しむことが前提であるべきではないかと思うからです。