ゲッチョのコラム

カマキリ広報パートⅡからゲッチョのコラムにタイトル変更しました。再開します。よろしくお願いします。

宮崎講演より

2013-10-23 23:32:29 | 日記
10月4日、授業を終えると、その足で空港へ。日に一便しかない、宮崎行きのソラシドエアの飛行機に乗り込む。おりから、台風23号が接近中。宮崎につづいて、京都でのミッションがあるので、沖縄に戻ってこられるのかが心配だ。ところが、宮崎に降りたら、今度は宮崎自体の天気がかなり、怪しい。
翌日、コケで有名な猪八重溪谷での自然観察会の予定。ところが、朝から大雨である。観察会の前に、公民館で少し話をして……という予定ではあったのだけれど、公民館から外に出ることができない(後で聞いたら、大雨洪水警報が発令されていた)。それでも、親子連れの人たちが、三々五々と集まってくる。小さい子どもたちもいるけれど、なんとかおもしろがってくれる話をしなくては。
前半は、キノコと木の実の話。キノコの話は、ここのところ、はじめてちょっとだけ挑戦中のパワポを使ってみた。加えて、冬虫夏草やオニフスベの実物標本を投入。木の実のほうは、いつもながらの実物授業だ。これで1時間。ところが、雨は終息しない。そこで、幸い、USBに入れてあった虫のパワポを使って話を続ける。パワポはかさばらずに持ってあるけるので、こうした非常事態には助かる。虫の話といっても、まぁ、ゴキブリの話ではあるのだが、案外、子どもたちは喜んで聞いてくれた。
昼飯をはさんでも雨は無情に振り続けている。やむなく、今度はストラップづくり。沖縄からもってきた、動物のフンやペリット、ドングリなどで、ストラップを作ろう……という時間だ。せっかくオオコウモリのペリットの樹脂固めを持って行ったのだけれども、これはあんまり人気がなくて、普通にオキナワウラジロガシのドングリが人気だった。
2時をすぎたところで、若干だけ、雨が弱まる。そこで、がんばって、溪谷の入り口まで行くことに。傘をさして、道をうろうろ。それでも、キノコやらなにやらがぼちぼちは目にとまる。子どもたちはまだ青いドングリを夢中になって拾っていた。

解散の時間になって、雨がようやく収まった。観察会には、宮崎を中心に九州のカタツムリを長年研究されてきたニシ先生も参加されていた。そのニシ先生が、こんな雨の日に、せっかく猪八重溪谷まできたのだから、カタツムリ探しをして帰るという。こんな機会はめったにない。雨の日のカタツムリというより、雨の日のカタツムリ屋(ニシ先生自身は陸貝屋と自称されていた)の生態を観察する絶好の機会ではないか。
これが、大変におもしろかった。ニシ先生は、もともと学校の先生を勤められていた方で、少しお話をうかがっただけでも、人格者であることが伝わってきた。カタツムリ屋ということで、ものすごくマニアックな方ではないかと想像したのだが、そんなことはなかった。これが、なんだか新鮮。ただ、ニシ先生はもう、40年以上もカタツムリを追いかけている。いっぽうのぼくは、カタツムリは好きだけれども、自分の中ではなかなか、一線をこえることができないでいる(ナメクジのほうが、早くに一線を超えてしまったわけであるが)。いや、そもそも、あれこれと、いろんな対象を巡り歩き、一つのことに絞れない自分のことを、ニシ先生のような○○一筋という生き物屋に会うと、あらためて意識してしまう。
翌日は、きれいな秋晴れ。
「どこにいきたいですか?」
今回、ぼくを読んでくれたヤギさんがそう言う(ヤギさんのHP、南風通信もごらんあれ)。ヤギさんは、ピアノの先生で、虫の写真家で、漂着物にもはまっていて、海の貝を拾うのも大好きで、植物も結構詳しくて……と、ちょっとぼくのように、博物的な人である。ヤギさんのようなタイプは、どちらかと言えば、珍しいのではないだろうか。
ヤギさんとぼくに同行をしたのは、コケ屋のマツモトさん。彼女は服部植物研究所(コケのメッカだ)にアルバイト勤務したのをきっかけに、急速にコケ屋化した人だ。わずか7年ほどで、かなり本格的なコケ屋になっているわけだから。何より、コケを見ると、本当にハイテンションになれるのが、すごい。
コケ屋マツモトさんが、「この時期にしかないコケを見たいんです」とのたまう。稲刈り後の田んぼとかに一時的に発生する、ハタケゴケの仲間のことだ。この仲間は形態的によく似ており、その識別が難しい。マツモトさんは、この機会に、ハタケゴケ類の識別点をはっきりさせたいというのである。
「いた、いた」「かわいい!」
田んぼにしゃがみこみ、足元の泥を見て、さっそく叫び声をあげていた。
夜は夜で、キノコ屋のクロギさんも乱入し、夜の照葉樹林に光るキノコを求めて、ダイブする。
あちこち、さまよう。自然もさることながら、ぼくはその地に棲息している生き物屋に出会う。そしてまた、ぼくはぼくが何をしたいのかと自問しながら沖縄に戻る。
翌、月曜日の朝一の飛行機に乗るために、空港に向かう。今度は台風24号が沖縄に来襲中。すでに朝6時の時点で警報が出て、学校はすべて休校に。
やれやれ。無事、飛行機は飛んだ。


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