長崎県、島原半島の突端にある、口之津小学校で骨の話しをする機会がある。
小学校の校舎は斬新だった。こんな校舎もあるもんだと感心してしまう。校長先生に話を
聞くと、校舎は船をモチーフにしたものなのだそう。というもの、今は昔、ポルトガルとの交易
が盛んだった頃、口之津は貿易港として栄えた土地であったからだ。さらに近年まで、船乗り
になる人も多かったとか。
骨の話をし終えて、雲仙普賢岳のふもとにある温泉旅館に向かった。途中、海に面した
「原城跡」を遠望した。
そうなのである。
ここは、かの島原の乱の土地なのだ。
ここの名産は、そうめんなんですよ…と、僕を招いてくれた先生が言う。なぜだと思います?と。
島原の乱で、この一帯の農民は皆死んでしまって、代わりにそうめんの産地の小豆島から人々
が入植したからですよ…と。
あっ……と思った。
沖縄に戻り、飯嶋和一の『出星前夜』をよ見返す。
飯嶋和一は、僕のもっとも好きな作家だ。しかし、その作品は読み返すのが重く、つらいときも
ある。『出星前夜』も最初からは読み返せず、ところどころ、拾い読みをした。その本の中に
口之津という地名が確かに出ている。『出星前夜』は、まさに島原の乱を題材にしている。文中、
口之津も含めた一帯の住民が一人残らず住居を捨て、原城に立てこもる……と言う場面が出て
きた。つまり、一帯の住民は、すべて死んでしまったということだ。以前読んだ時も目にした文章
ではあった。しかし、その土地に足を踏み入れたのち読みなおすと、迫りくるものが、また違って
いる。
『出星前夜』の主人公は、天草四郎ではない。一介の医者の見習いの若者だ。飯嶋作品は、
いつも、市井の民が主人公となり、時代に立ち向かう。だから、今、何度も手に取りたいと思う。
小学校の校舎は斬新だった。こんな校舎もあるもんだと感心してしまう。校長先生に話を
聞くと、校舎は船をモチーフにしたものなのだそう。というもの、今は昔、ポルトガルとの交易
が盛んだった頃、口之津は貿易港として栄えた土地であったからだ。さらに近年まで、船乗り
になる人も多かったとか。
骨の話をし終えて、雲仙普賢岳のふもとにある温泉旅館に向かった。途中、海に面した
「原城跡」を遠望した。
そうなのである。
ここは、かの島原の乱の土地なのだ。
ここの名産は、そうめんなんですよ…と、僕を招いてくれた先生が言う。なぜだと思います?と。
島原の乱で、この一帯の農民は皆死んでしまって、代わりにそうめんの産地の小豆島から人々
が入植したからですよ…と。
あっ……と思った。
沖縄に戻り、飯嶋和一の『出星前夜』をよ見返す。
飯嶋和一は、僕のもっとも好きな作家だ。しかし、その作品は読み返すのが重く、つらいときも
ある。『出星前夜』も最初からは読み返せず、ところどころ、拾い読みをした。その本の中に
口之津という地名が確かに出ている。『出星前夜』は、まさに島原の乱を題材にしている。文中、
口之津も含めた一帯の住民が一人残らず住居を捨て、原城に立てこもる……と言う場面が出て
きた。つまり、一帯の住民は、すべて死んでしまったということだ。以前読んだ時も目にした文章
ではあった。しかし、その土地に足を踏み入れたのち読みなおすと、迫りくるものが、また違って
いる。
『出星前夜』の主人公は、天草四郎ではない。一介の医者の見習いの若者だ。飯嶋作品は、
いつも、市井の民が主人公となり、時代に立ち向かう。だから、今、何度も手に取りたいと思う。