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☆映画の旅の途中☆

色んな映画をどんどん観る旅

『帰ってきたヒトラー』(2015)

2016年08月05日 | 西洋/中東/アジア/他(1990年以降)
『帰ってきたヒトラー』(2015)

監督:ダーヴィト・ヴネント
製作総指揮:オリヴァー・ベルビン、マルティン・モスコヴィッツ
原作:ティムール・ヴェルメシュ
脚本:ダーヴィト・ヴネント、ミッツィ・マイヤー
音楽:エニス・ロトホフ

【作品概要】
ティムール・ヴェルメシュのベストセラー小説を実写化したコメディードラマ。独裁者アドルフ・ヒトラーが突如として現代に出現し、奇想天外かつ恐ろしい騒動を引き起こす。ナチス・ドイツを率いて世界を震撼させた独裁者アドルフ・ヒトラー(オリヴァー・マスッチ)が、現代によみがえる。非常識なものまね芸人かコスプレ男だと人々に勘違いされる中、クビになった局への復帰をもくろむテレビマンにスカウトされてテレビに出演する。何かに取りつかれたような気迫に満ちた演説を繰り出す彼を、視聴者はヒトラー芸人としてもてはやす。戦争を体験した一人の老女が本物のヒトラーだと気付くが……。(Yahoo!映画より)

【感想レビュー】@theater
ドイツでこの映画を作るって…もうそれだけで凄いことに思うのですが…

移民問題や難民問題、急激な排外主義が進んでいるというニュースを耳にしてはいましたが、一体どんな内容だろうと思い観に行きました

前半はコメディータッチでけっこう笑えました。
皆、ヒトラーの“モノマネ芸人か非常識なコスプレ男”と勘違いして、憐れんだり、可笑しがったり。時には怒りを買いながら、時には共感(‼)されながら…!ヒトラーは堂々と現世を生きる。

ドイツジョーク?との相性はさて置き、でもやはり珍妙で笑える前半のトーンは徐々に、徐々に影を潜めていく。

誰が、本質を見抜いているのか?自分はどう反応するだろうか?この問い掛けを常に感じながら観ることに…。

彼の言説に少しでも共感してしまう部分があるとしたら…。
そしてそれを声高に肯定されら…。
人はどうなるだろう。

あ、やっぱりそうですよね!?この考え、間違ってないですよね!?

…と、なる人がいても不思議ではない。

観ながら、『私が結婚した男』(1940)という映画を思い出した。
アメリカ人の妻とドイツ人の夫が、1938年、ニューヨークからベルリンへ夫の実家の事業処理の為に行く話し。
夫の父親の、“間違っている事は分かっていても、もう誰も戦争突入を止められないだろう、行き着く所まで行かなければ…”という台詞があって、それがまた1940年の映画だから、こんな恐ろしいことはない。


ヒトラーはタブーな存在だろう。行き過ぎたナショナリズムは排外主義に繋がるし、排外主義はやがて行き過ぎたナショナリズムをもたらす。

現在も同じ空気なのではないか…?

ヒトラーはいつだって、どこだって、存在する概念なのだという痛烈なメッセージを感じました。


でも何か、映画自体にしっくりこないところもある。…ドイツジョークとかかな…


しかし、こんな映画が製作され公開されるとは…!
ドイツ、大丈夫か…!?
いやいや、日本も大丈夫か…!??

…な映画でした…