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☆映画の旅の途中☆

色んな映画をどんどん観る旅

『Vフォー・ヴェンデッタ』(2006)

2016年05月07日 | 西洋/中東/アジア/他(1990年以降)
『Vフォー・ヴェンデッタ』(2006)

監督:ジェームズ・マクティーグ
脚本:ウォシャウスキー兄弟
出演者:ナタリー・ポートマン
ヒューゴ・ウィーヴィング
スティーヴン・レイ

【作品概要】
アラン・ムーアがストーリーを担当し、デヴィッド・ロイドがアートを(ほぼ全て)担当したコミック作品。
第3次世界大戦後のイギリスを舞台に、孤高のテロリスト“V”が国家に立ち向かう近未来スリラー。『マトリックス』のウォシャウスキー兄弟が製作と脚本を手掛ける。『マトリックス』のエージェント・スミスことヒューゴ・ウィービングが仮面をつけた謎の男“V”を演じ、“V”に協力するヒロインを『クローサー』のナタリー・ポートマンが演じる。過激で政治色の強いストーリー展開が異色のアクションエンターテインメント。(Yahoo!映画、Wikipediaより)

【感想レビュー】
先日に続いてWOWOW放送で観賞。もうもう、すごく良かったです…‼‼
細部に最上級のこだわりが詰まっているけれど、決して押し付けがましくなく、高圧的でもなく、それらが見事に調和しているところに興奮しております

“V”とヒロインが出会う夜の石畳みのシーンなんて、とりとめもない雰囲気で妙にファンタジックです
この映画はどんなテイストなのか…?一筋縄では行かなそうな空気に思わず胸が踊りました

過去から未来へと時空を越える理念、ファシズム政権と民衆の衝突、テロリストや大規模テロを彷彿とさせる展開など、公開当時からこの10年間の世界情勢の変化を思うと…考えさせられるものがあります。。
チャイコフスキーの序曲“1812年”に乗って権威の象徴である体制側の建築物が爆破されていくシーンのカタルシスは相当なもので、次々と上がる花火は祝祭を存分に表し、ともするとテロリスト“V”の行動が肯定的に思えてしまう。
でも、彼は自分の身の処し方を解っている。あぁ、それもまた切ないではないか…。

“V”を演じているヒューゴ・ウィーヴィングが素晴らしくて、照明の陰影も素晴らしくて、ずっと仮面なのに喜怒哀楽が伝わってくるのです
すごいなぁ…

“V”の住む芸術的な部屋での、元々は自分のものだったので取り返したという台詞にはグッときました。歴史をみれば、権力者が圧政を強いている時は、芸術はいつだって弾圧の対象でした。うぅ…胸が締め付けられるぞ、“V”

…とまぁ、もう終始素晴らしくて、隙のない映画でした!ナタリー・ポートマンは素敵だったし

何度も見返す映画になりそうです





『四川のうた』(2008)

2016年04月16日 | 西洋/中東/アジア/他(1990年以降)
『四川のうた』(2008)

監督:ジャ・ジャンクー

【作品概要】
ヴェネチア国際映画祭金獅子賞を受賞した『長江哀歌(エレジー)』のジャ・ジャンクー監督によるセミ・ドキュメンタリー。大地震が起こる直前の中国四川省・成都で再開発のため閉鎖される巨大国営工場「420工場」を舞台に、そこで働いていた労働者たちが語るさまざまなエピソードを通し、中国がたどってきた激動の歴史を浮き彫りにする。文化大革命や自由化政策など、目まぐるしい政治的変動の中でたくましく生き抜いてきた人々の姿が深い感動を誘う。(Yahoo!映画より)

【感想レビュー】
じわりじわりと染み入っていくような映画でした。

「420工場」で生きてきた多くの人たちの想いが、観ているこちらに静かに降り積もっていくような…。

取材で得た素材からイメージを抽出して、数人のプロの役者に演じさせている部分があって、そのパートが印象的です。そこが浮き上がってみえるのものの、実際に工場に関わっていた人達のパートの印象は薄くなるどころか、生々しく迫ってきます。

プロの役者のパートは、俳優が雄弁に台詞を語り、実在の工場関係者達のパートは、動画だけど静止させて、ただカメラのフレームを見る、という数秒止まっているように感じるシーンが差し込まれます。
ただ、黙ってカメラを見る彼らを観ているうちに、彼らの前に、横に、背後に、内に、そこに息づく生身の人間が浮かび上がってくるようで、震えました。

集団主義から個人へ。一人一人の人間が自由に発想し人生を生きていく、その事こそが中国の真の近代化なのだとすれば、過渡期を捉えた素晴らしいドキュメンタリーだと思います。
朝鮮戦争やベトナム戦争の軍需で景気の良かった420工場の繁栄と衰退が象徴的に描かれています。工場の廃墟はコンクリートの塊と化し、取り壊しの音が虚しく響く。。
一方、新しくそこに建設される施設は、かつてそこで何事もなかったかのような、ハイセンスな建物が立ち並ぶのだろうな…。日本もかつてそうであったように。今もそうであるように。。

ドキュメンタリーの手法も興味深く
て、観ることができて良かったです




『柳と風』(1999)

2016年04月13日 | 西洋/中東/アジア/他(1990年以降)
『柳と風』(1999)

監督:モハマッド=アリ・タレビ
脚本:アッバス・キアロスタミ

【作品概要】
 学校のガラスを割ってしまった少年がお金もないのに弁償を迫られ、新しいガラスを取付けるために奮闘する姿を緊張感あふれるタッチで描いたイラン映画。脚本は「友だちのうちはどこ?」のアッバス・キアロスタミ。イラン北部の村。少年クーチェキは誤って学校の窓ガラスを割ってしまう。学校の先生からは窓ガラスを元に戻すまで授業を受けさせないと言われるが、父親にそんなお金の余裕はない。やがてなんとかお金を工面してガラスを買いに行くクーチェキだったが……。(Yahoo!映画より)

【感想レビュー】
観終えて今、心がポカポカしています。素晴らしい映画でした

いつもネタばれとかあまり気にしないでブログを書いておりますが、この映画は特に展開が大事なので注意いたします

始めは転校生の少年が主役なのかと観ていたらそれは違うし、ん?あれ?あれ?と思っているうちにどんどん展開されていく心地良さ。

学校から家までの道のり。発電所までの道のり。ガラス屋さんまでの道のり。そして再び‼学校までの道のり。
牧歌的な風景も見応えたっぷり。気の遠くなるであろう距離を、あっちへこっちへと駆け巡ります。

途中からはもう、手に汗を握りつつ少年の顛末を見守ることに…‼

一家の生計をたてるためには子どもだって立派な働き手である家庭にとって、学校へ通わせることがいかに大変なことなのか。
また、転校してきた少年の家庭の裕福さが伺える描写が秀逸でした。裕福であることで生まれる彼を包むゆったりとした空気と主人公の少年とのコントラストがとても印象的です。

子どもたちの世界から見る“大人たち”の描写も素晴らしくて、胸の奥がジンとしてきます

『友だちの家はどこ?』も素晴らしかったですが、『柳と風』にもグッときました




『プラスティック・シティ』(2008)

2016年03月09日 | 西洋/中東/アジア/他(1990年以降)
『プラスティック・シティ』(2008)

監督 ユー・リクウァイ(余力為)
キリン:オダギリジョー
ユダ:アンソニー・ウォン
オチョ:ホァン・イー

【作品概要】
日系ブラジル人青年にふんするオダギリジョー主演による、ブラジルの裏社会を舞台にしたアクション・スリラー。『インファナル・アフェア』などの香港映画界の重鎮・アンソニー・ウォン演じる義父と主人公が反目し合いながら、やがてマフィアの抗争にも巻き込まれていく。ジャ・ジャンクー監督作品の撮影監督として知られるユー・リクウァイがメガホンを取り、アジアとブラジルの多彩なスタッフ・キャストが集結。オールブラジルロケの映像にも注目。
キャッチフレーズは「この世界を、生き抜く。」

【感想レビュー】
まず、映像がいちいち、本当にいちいち格好良い…!!
うっすら既視感はするけども
そして、アンソニー・ウォンさんとオダギリジョーさんが格好良い…‼
ラストの字幕語りはインファナル・アフェアみたいで、そこもジワっときました。
内容は、まぁブラジルの裏社会で、マフィアものにはよくありそうな感じで、だからなのか逆に作り手側の、もう細かい状況説明はいいでしょ、分かるでしょ的な感じも散見します

あまり無駄がないので、観ていて心地良く、ウイスキーとかチビチビ舐めながら観たい感じです

キリン演じるオダギリジョーさんが良かったです。裏社会に慣れた感じとか、ごみごみして、わちゃわちゃしているあの界隈で育ってきた感が出ていて、そういうのが本当にしっくりくる俳優さんだなぁと思います

ラストに向けて、話しは哲学的になっていって、宇宙みたいな通りをフラフラ歩くところも良かったです


『世界』(2004)

2016年02月18日 | 西洋/中東/アジア/他(1990年以降)
『世界』(2004)

監督/脚本 :ジャ・ジャンクー
チャオ・タオ、チェン・タイシェン

【作品概要】
中国にあるテーマパーク「世界公園」を舞台に、一座の女性ダンサーのリアルな日常を描いたヒューマンドラマ。北京にあるテーマパーク「世界公園」で、ダンサーとして活躍しているタオ(チャオ・タオ)。日々華やかな舞台で賞賛を浴びているタオだが、実は先の見えない現状に焦りと不安を感じ始めていた……。(シネマトゥデイより抜粋)

【感想レビュー】
某ネットレンタルのリストに入れたまま、忘れかけた頃に届くパターンで観ました。いつもこれ…

さて映画はというと、設定や状況が、ほぼ映像で語られ、常に時が流れているという心地良さを味わいました台詞は必要最低限のような感さえありました。

造られた『世界』の閉塞感と人口過多の様は、観ているこちらまでが息苦しくなってくる。
出稼ぎのロシア女性。
上空を飛ぶ飛行機。香港行きの切符。
偽造パスポート…etc…。
外の『世界』を感じさせる幾つものエピソード。でも、彼女の『世界』はここだけ。。
2000年の始めの中国の様子が伺えます。

ジャ・ジャンクー監督作品は、フィルメックスで『罪の手ざわり』や『山河ノスタルジア』の二本しか観たことはないのですが、抑えたトーンの中で静かに降り積もっていく狂気と突如爆発する狂気とが同居する怖いイメージを持っていて、『世界』にもまた、同様の印象を持ちました。
目には見えない社会の空気感が、繊細な描写の連続で幾層にも降り積もっていき、気が付くと、とても深く身動きの取れない場所に連れていかれたような疲労感。。
ラストの展開も含め、しばらく無言になってしまった…。

それから、チャオ・タオさんが美しくてうっとりしました