ボーナスディスク、4曲目の“Forgive Someone”を
訳します。
実は…私、このディスク2の中で1番、このアルバム デラックス盤
全体の中でも1、2を争うほど好きな曲です。
そして、Youtubeで、先日もご紹介したモリッシーファン
TheAmbitiousOutsiderさん作成のあまりにテーマに
ふさわしい映像を見て、ますます好き心がアップ。
これ、毎日毎日、何度見たかわかりません。
Forgive Someone
こちらのPVには、2005年のアン・リー監督のアメリカ映画
『ブロークバック・マウンテン』
の映像が使われています。
この映画は1963年夏、ワイオミング州のブロークバック・マウンテンの山中で羊の放牧のために
雇われたイニスとジャックの、20年間に渡る男同士の友情~愛情を描いたラブ・ストーリーです。
秘密の愛を貫く二人が、様々な葛藤と孤独を経て、性別を超越した永遠の結びつきに至るまで
の過程を描いています。
この後夭折したヒース・レジャー、そしてジェイク・ギレンホールの、淡々と
静謐な空気感の中つづられていく痛々しいまでに美しい関係は、性別とか
巷に蔓延?する安っぽくて気休めな「愛みたいなもの」を超越しています。
ネタバレになるのでこれ以上のストーリー説明はさし控えますが、
最後のヒースのこのシーンを思い出すと
私の頭の中にモリッシーの
Our truth will die with me
Our truth will die with me
Our truth will die with me
という歌詞が鳴り響きわたりました…
歌詞と一緒にPVをご覧になってください。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
Forgive Someone
Or a fight with your fists
But can you forgive someone?
Stand your ground and persist
And be the last one to blink
But can you forgive someone?
And if you do I'll run to you
Betray you with a word
I would slit my own throat first of all I will
The black peat of the hills
When I was still ill
See this mess and forgive someone
And then recall if you can
How all this even began
Forgive someone
And if you do I'll run to you
Betray you with a word
I would slit my own throat first of all I will
Our truth will die with me
Our truth will die with me
Shorts and supports and faulty shower heads
At track and field we dreamt of our beds
In the bleachers you sit with your legs spread, smiling
"Here's one thing you'll never have"
Our truth will die with me
Our truth will die with me
Our truth will die with me
優しい歌だと書かれていましたが、果たしてそうでしょうか。
人々に対する懇願でしょうか?
But can you forgive someone?
…それは、モリッシーの自問に聞こえます。
過去に何人もの人に失望し、決裂し、最近ではせっかく結んだレコード会社
との契約も色々な経緯はあったでしょうが終了…たったひとりで戦うことも
多々あったモリッシー、人や物事を許せたらもっともっと人生、楽だったでしょう。
個人的なことですが…私も数カ月前にある人から、自分が想定できないような
対応をされて、大きな怒りを覚えました。実はいまだに思い出すと
「なんで!?」「信じられない…なんなの?」といらだちを覚えます。
それって結局、負の形での「執着」なんでしょうね。。。
「許せない」というのは、自分が勝とうとしていること。
そろそろ「勝ち負け」の呪縛からは抜けなくては、と思いました。
『ブロークバック・マウンテン』のような、真実の愛による執着なら美しい。
墓場まで持っていく大事な、シャツを抱きしめて泣くほどの「僕らの真実」
を内包していますが。
この歌を聞いて、ふっと肩の張りつめがとれて「許さなきゃいけないな、許せなくても」
と思いました。大切なことは、「言葉を武器にしたり力にものを言わせてみる」
ことではないよなあ、とこの歌を聞いてしみじみ思いました。墓場にまで持っていく
にしろ、「真実」は逃げも隠れもできないのですから。自分の心にあればいいので
あって人を糾弾する怒りの覆いはいらないのだと思いました。
えっと、よく「言葉を武器にしている」モリッシーもよくわかっているのだと思います。
本当はもうすべてを許しているのかもしれないからこんな歌を歌うのかもしれません。