11月28日公開の動くモリッシーインタビュー、日本語訳第2弾。第1弾はこちらより。
中盤では、ゴルフもやらねえ、馬に乗らねえ、24時間音楽のことだけ、という音楽愛と音楽業界への文句を中心に語っています。いつもの通りですが。
でも、それでも、音楽愛にはいつも感動します。何も足さない、何も引かない。混ぜ物なしの歌手。
写真は、揶揄されたりすることもない「空っぽのつまらない人たち」(つまり自分と反対の人たち)をディスった直後の表情で、ものすごく好きです。
Morrissey Interview 2022
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モリッシーインタビュー2022 日本語訳-2
-ニューアルバム”Bonfire of teenagers”の話に戻りますが、お気に入りの曲はありますか?
選ぶのは不可能だ。ある意味、どの曲も同じ、どの曲もすごく好きだし。だから、レコード会社がどの曲をシングル曲に選んでも問題じゃない。全部すごいし、私にとっては全部素晴らしい。
-とても幸せそうですね。
それは心配だな。心配だ。
-モリッシー、あなたはもうずいぶん長い間、音楽の世界にいます。ちょっとお聞きしたいのですが、あなたの経験上最大のフラストレーションは何だと思われますか?
フラストレーションはありがたいよ。音楽業界の外にいて、関係ない人は、まあ私は関係あったこともないからいいし、それはそれでいいんだ。でも時々、自分はラジオに出演する資格があるんじゃないかと思うんじゃないか。私は本当にどこかに入れてもらえるべきなんじゃないかと思ってる。でもそんなこと起きたことはない。音楽業界のヤツらは私を、どこであろうと入れてくれやしない。ただ我慢するためでも、ただ私を黙らせるためにでも、私をどこかに入れてくれない。とても奇妙だし、独特のことだ。
-ショッキングでもあります。彼らはあなたにはいまだファンがついていることを知っているに違いないのに。
ヤツらはそんなこと気にしない気にしない、全然気にしない。音楽業界のヤツらを追いかけて、「お願いです、私のためにこうしてください、お願いですお願いです」と言わないと、ダメダメってなだけだ。追いかけられて懇願されたがってるんだよね。そんなことできるわけないだろ。するわけがない。
-このことについてよく質問されていると思いますが、あなたは個人的には、マスコミによってよく自分がフィクション化され、キャラクター化されているのを見て、どのように向き合っていますか?それは難しいことなのでしょうか?それとも、慣れてしまっていますか?
慣れている。でも肯定的にではない。私が知る限り、いつもたいてい馬鹿げているからね。でも自分をさらけ出してみると、踏み出してみると、そういうことは本当に起きると心づもりしておかなくちゃならない。興味深い人間になら誰にでも、ある程度は起こることだ。あまり面白くない人間には起こらない。
-その通りですね。つまらないと思われている人たちとは多くの場合、自分の心の中にあることや信じていることを実際に口にすることに怯えている人たちですよね。
たいてい、空っぽだ。
(「ふーっ」と深いため息)
-これから新しいアルバムが出るのに、あまり先の話に飛びたくはないのですが、また作曲とレコーディングをしていると何かで読みました。
そうだ。次に出すアルバムを作っていて、すぐにレコーディングする。すぐにリリースするつもりはないよ。”Bonfire of teenagers”に息吹きの機会が必要だからね。でもすぐにレコーディングはするつもりだ。
-実はとても印象的なことなんですが、あなたのキャリアと同じくらいの長さのキャリアを持つ他のアーティストは、しばしば音楽活動のペースを落とすことがあります。けれどもどちらかというと、あなたはより規則正しくなって、「多作」になってきていますよね。
それはいい言葉だ。他の人は別の言い方をしそうだが。でも、私が考えていることは音楽作りのことだ。私は変わっていない。私が考えているのは歌のことばかりだ。一日中、一晩中、声、歌、それだけを考えている。私は捕われている、身を捧げている、どう言ってくれても構わない。でもこれが、私の人生だ。
-それがあなたの存在意義ということですね。
それが私の目的だ。本当にそうだ。ゴルフコースにいたりどこかで乗馬している私を見ることはないだろう。他のことは本当に何もしない。
-音楽がすべてですね。
私が走っている姿…パン屋にかな、を見るだけで、それ以外は本当に存在していない。それでいいんだ。それで大丈夫。
-ここ数年、個人的に見てきた音楽業界を鑑みてひとつ言えることは、実に当たり障りのないものになってしまっていることです。立ち上がり、何かの点で突出している人がほとんどいません。彼らはほとんど何もせず、何も表現していません。でも、あなたはそれとは正反対ですね。これは、あなたがあなた自身であるかということのからなのでしょうか?それとも、人々に挑戦してもらい、考えてもらいたいというような、何か精神的な決断があったからなのでしょうか。
選択の余地というものはなかった。でも(音楽をやっていくなら)、人々にとって興味深いものにしなければならない、ということだ。音楽を興味深くしなければならないし、自分の立場を面白くしなければならない。90年代後半、私は多くのインタビューを受け、イギリスのあらゆるところで起こっているダミング・ダウン(教育、文学、映画。ニュースなど文化の知的内容を意図的に過度に単純化すること)について常に話した。テレビ、コマーシャルなど、イギリス人の生活に関係するものすべて狙い撃ちされていた。そしてそれは絶対的に今も起きている。
イギリスのテレビコマーシャルを見ると、耐え難いものがある。雑音も内容もいつも同じ。600万ポンドのキッチンで踊る人々......イギリスの人々がすることは、ダンス、ダンス、ダンス、ピザを出前してダンシング、ダンシング、ダンシング。本当にバカだ。それがいたるところに流れている。多くの人はもう、音楽に信念を持っていないんじゃないか。
音楽業界では経済的な面で様々なことが変化しているから、すぐにプラチナアルバムになってヒットしなければそのアーティストを排除できるようになった。若いバンドでファーストアルバムで成功した例はたくさんある。でも、23位、22位、21位までチャートインして売れても、まだ足りない。彼らは捨てられる。だから、セカンドアルバムを作ることを許されないんだ。数年前までは、5枚のアルバムを作れば、レーベルは彼らを支持した。今や血も涙もない。ただ追い出されるだけ。レーベルの意にそぐわないことを言えば、すぐに追い出される。
-レーベルはもう、あなたの音楽作品ともつきあわないんですかね。
まったく、まったくだよ。興味がないんだ。