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ジャン・アレチボルトの冒険

ジャンルを問わず、思いついたことを、書いてみます。

吉田所長の処分という茶番劇

2011-05-30 05:19:49 | 原発事故
1) 吉田所長が現場判断で注水継続と発表
2) 正しい判断だったが、報告に問題があったと指摘
3) 所長の処分検討を示唆
4) 所長の処分に反対する世論が形成
5) 処分はうやむやになり、真相解明の機運が後退
6) 誰も責任を問われず、騒動は終了

おそらく東京電力の誰かがシナリオを書いた出来の悪い三文芝居だが、菅首相が吉田所長の処分に反対するなど、筋書き通りに事が進んでいる。

しかし、この茶番劇は見苦しいだけでなく、極めて悪質である。一週間に渡って誤った情報を流し続けた東電の責任と真意を曖昧にしようとする意図が背後に見え隠れしている。

東電本店は、3月12日の午後に何があったかについて、その都度の政治状況を睨みながら情報を小出しにし、最後には「注水中断」そのものを否定して、事実関係すら変更してしまった。

自民党の安倍元首相が、官邸による1号機への注水中断を、5月20日に指摘したのが今回の騒動の発端と言われているが、東電幹部が真剣に調べれば、中断がなかったことをすぐに発表出来たはずである。

しかし、菅首相の責任問題にまで発展したにも関わらず、東電は情報を二転三転させて、本当のことを語ろうとしなかった。

まるで、自民党の動き、民主党の動き、政府の動き、そして内閣不信任案の動向を見極めながら、東電を守るための政治カードとして持っていたかのようだ。

そして、今語っていることが本当かどうかさえも怪しい。

安倍元首相に注水中断という情報を流したのは誰なのか?それは何のためなのか?そして、吉田所長はなぜ事実を隠していたのか。そもそも本店は所長に中断命令を出したのか。

明らかにすべきことは山ほどあるが、吉田所長の処分問題にすり替わってしまい、どうやら闇に葬り去られそうだ。

原発事故を起こし、巨額の賠償責任を背負う東電が、事故の詳細や処理の経緯についての情報をすべて握っている。しかも、政界、産業界、学界そしてマスメディアに、今でも太いパイプと大きな影響力を保持している。

今回の注水中断をめぐる茶番劇は、東電に対する事故責任追及が、いかに困難な道のりであるかを、あらためて浮き彫りにする結果となった。

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