kaeruのつぶやき

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自衛官が語る戦死の恐怖 その4。

2015-06-17 14:06:07 | せいじの政治カフェ

   昨日に続き「しんぶん赤旗日曜版」の6月14日付に掲載された記事をお読み下さい。

    私は兵庫県姫路市の陸上自衛隊第3特科大隊で定年退職しました。特科は大砲を撃つ部隊。昔の砲兵です

     退職前は第一線部隊に武器、弾薬、燃料、糧食などを補給する管理小隊長でした。後方部隊ですね。

    「後方」というと付録みたいに思っている幹部もいるけど、ぼくらの隊がやられたら、前線の部隊は何もできません。軍事では国際的に兵たん(ロジスティクス)と呼ばれます。兵たんがあるから部隊全体が成り立っている。私たちは、後方部隊と前線部隊は一体のものとして訓練してきました。

    いま、安倍首相は米軍への「後方支援」といい、前線と切り離していかにも後ろだから “安全” というように宣伝しています。とんでもないまやかしですよ。

    そもそも燃料がなければ車両も動きません。いくら優秀な戦車や航空機も燃料がなければただの鉄くずですよ。兵士も飯を食えなかったら戦争なんてできません。補給がなければ全体が死ぬ。ぼくもやってみてその大事さがよくわかりました。目立たないけど補給こそもっとも大事です。大事だからこそ、敵に真っ先に狙われる、危険な活動なんです。

    国民に実態を偽り、自衛隊員にきわめて危険な任務を押し付けるのは許せません。自衛隊員も日本防衛ではなく、米国防衛で亡くなるのは悔しいでしょう。自衛隊はよそへ出て行って戦争する必要はありません。巨大地震などの訓練を一生懸命やったほうがいいですよ。

 

    私は、千葉県習志野の陸上自衛隊第1空挺団に所属していました。部隊は、輸送機で目的地まで運ばれパラシュート降下し、隠密に周辺の偵察から敵中枢を襲撃する機動訓練などをやってきました。

    降下場所で攻撃されれば当然、戦闘になります。敵を殺傷したり捕虜にしたり、逆にそうされる場合もありえます。いつ攻撃されるかわからない戦場だという前提の訓練です。

    今回の法案で、時の政権による判断で、自衛隊が海外の戦闘地域に派遣されることになります。しかし、自衛隊の最高指揮官である内閣総理大臣が直接現地に出向いて指揮することはあり得ません。戦場の変化に応じて、部隊をひきいる現場の判断が尊重されるでしょう。政府のコントロールが及ばない環境で、自衛隊が戦闘行為を行う危険性は極めて高くなると考えます。

    もし、自衛隊に戦死者が出るような戦闘行為が海外で行われたとすれば政府は何というか。「自衛隊を派遣(戦闘目的でない)したのであり、派兵(戦闘を目的)ではない。法的に違反していない」と言い切るでしょう。

    私は、厳しい訓練で心身ともに錬成してきました。それは、専守の国家防衛の遂行だと、誇りを持ってきました。自衛隊の存在は変化し、現場の隊員は飛躍的にプレッシャーを課せられるでしょう。

    武力によって世界平和を構築することは絶対に不可能です。自衛隊は、すべての人に向けて一発の弾も撃つことはしてはならないのです。絶対に!