kaeruのつぶやき

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『がんから始まる生き方』

2022-07-31 03:13:40 | 「がん」を読む

 『がんから始まる生き方』というこの本は読み応えのある本ですが、

かなりの部分が未読のままになっていました。

一昨夜知人からのメールに身内が膀胱癌になり入院することになったが、其方は如何ですかとあり、「当方の膀胱癌は今年で4年目を迎えています、3年前・2019年の7月検査手術時抗がん剤の服用がありましたが、翌月の切除手術の結果〝今後は3ヶ月おきに膀胱鏡(カメラ)でチェック〟でいいことになり、今年に入ってチェックも半年ごとに、6月に無事済み次は年末です」と返しました。

こう「つぶやき」ながら3年前の「つぶやき」に目を通してみるとこの経過がどれほど有難いことであったか、その時期末期がんで逝った娘のことと重なり思いは深まります、その経過を通じて「がんから始まる生き方」の意味を見つめ直さねばと思いました。

この本の半分も読んでいないのに「読み応えのある」というのは、このなかの中川医師の書かれた部分がそう感じさせたのです。養老孟司、柏木博、中川恵一の諸氏によって成った本ですが、私の関心は中川さんに集中しました。年齢の若さもあります、養老さん1937年生まれ、柏木さん1946年、中川さんは1960年です。医師でそれも放射線治療専門医としてがん治療に当たっていた方です、その人が2人に呼びかけこの本の出版を図りました。そして執筆の途中で自らが膀胱癌に罹ったことを知ったのです。

この本の「はじめに」は中川さんが書かれていますが、その部分は、

〝さらに、原稿が出来上がろうとする頃、私自身が膀胱がんに罹患していることがわかりました。晴天の霹靂でした。こんどは私ががんの当事者になったわけです。このことは第2章に追加する形で詳しく述べてあります。なお第3章の鼎談の時点では、私は自分が抱えたがんに気づいていません。がん判明の前と後で、「がん専門医」の私の考えが変わったのか、変わっていないのかを見ていただく好機と考え、そのままにしてあります〟

「はじめに」は2019年6月と記されています。私がこの本を買ったのは2021年3月ですが、本屋でがん関連のものを探していて手にとり、この年と月を見て自分が「(膀胱癌に)やられた!」と感じた時期に出版された本だ、という思いもありました。

私は中川さんの執筆部分を読み終わってから全体に目を通そうと思っていた筈です。いまページをめくってみるとほぼ中川さん部分から全体へという頃他の本に紛れ込んだままになっていました。これを機に読み直しをしようと思います。執筆者の一人・柏木博さんが昨年12月に逝去されています、そして迎える八月は娘・直美の三周年忌でもあります。

娘が全身転移のがんを抱えながら我が家に身を委ねに来たのが、2018年12月中旬でした、

ちょうどその頃中川医師が、(本のp109)

「(この本の第2章の)原稿をまとめたあと、そろそろ見直そうかとしていた2018年12月9日のことでした。〜自分の肝臓を超音波(エコー)で定期チェックしていたところ––––。

 膀胱にがんを発見したのです。それだけではありません。告白しますが、私は自分の検査結果から、がんを見落としていたのです」

と書かれています。

 

娘の子たち、石垣島の孫の2人もそれぞれの夏休みでのひとときをジジババに会いに行くと言って来てます。ひと晩ふた晩でもゆっくりさせたいと部屋の片付けをしているなかで、この本が出てきました。

「生き方」などと正面から問いかけられるのも「がん患者」だからかも知れませんし、養老さんが「がんをタブーから外す、ほかの病気と同じ」と言っているし、何より85歳になっている身です。「生き方めいた」つぶやきを、孫にとも言わず誰彼を頭に置いてとも言わずに呟いていこうかと思います。