kaeruのつぶやき

日々のつぶやきにお付き合い下さい

平成の最後の日に……。

2019-04-30 21:38:26 | つづきの海を はろば...

昨日の「つぶやき」の続きです。

黒田康子さんの書かれたものに関心を持たれたということで、お会いした方は60歳代前半、建築士で逗子市をはじめ町づくり運動に携わっておれらます。

こういう方と黒田先生の思いを共有しつつ、郷土史に限らず町づくりを共にすすめられたら嬉しいことだと思い、平成から令和へ、時の区切りを記憶に残せる出会いでした。

先生の書かれたものをまとめた何冊のうちの一冊

から先生の短歌を、

「社会残酷」は昭和の終わる日を詠まれたものでしょう。

 

元号「令和」に対するこの解説を先生が詠まれたら同感!疑いなしです。

 

https://galapgs.com/economics/politics/domestic/meaning-of-reiwa/


黒田康子さんの「手形」

2019-04-29 21:21:38 | つづきの海を はろば...

黒田康子(しずこ)さんの足跡というべきでしょうが、足より手の方が繋がりという意味では適切だと思います。実は明日、黒田先生の遺された郷土史を中心にしたものについての活用を話し合うため、逗子の方とお会いすることになりました。

「つづきの海を」は黒田先生に関する「つぶやき」のためのカテゴリーとして設定したのでしたが、この2年半ほどつぶやいていませんでした。黒田先生が残された「逗子古文書の会」に属してきましたが、先生の取り組まれたことについて直接的に関わることは少なかったと思います。

 手元にある郷土誌「手帳」の最終号を広げてみました。

 

 

「編集後記」は黒田先生の弁ではなく、編集を担当されていた方が書かれたものです。これが記されたのは2008年の末でちょうど10年余前、2015年には先生が亡くなりこの後記を書かれた方もすでに「霊明を別ち」ています。

明日の話のなかでここに言われる「後継の人」たろう、という思いになるのか、楽しみな予感もありますがそれはアシタ……。

「国の歴史を忘れゝば国の未来を描けない如く、町の歴史を探求しなければ町づくりは出来ない」の思いは共有していると考えています。


「がん」ー60ー 細胞老化と個体老化をつなぐもの

2019-04-28 20:54:12 | 「がん」を読む

このように「細胞老化」「個体老化」「がん」との相互の関係は複雑で、未解明な点が多いのです。

太字部分はこのブログのー54ーに引用したものですが、「未解明な点」を解明する手がかりがこの図のSASPです。

SASPとは、図の次に、

  近年の注目を集めているのがSASP (Senescence-associated secretory phenotype) と呼ばれる現象です。これは、簡単にいうと、細胞老化を起こした細胞から、外部に液性因子が分泌され、近傍の細胞や、血液に乗って運ばれることで遠隔臓器に影響を及ぽすという現象です。液性因子とは聞き慣れない用語ですが、内分泌器官から分泌されるホルモンのようなものを、老化細胞が分泌していると考えてください。

と本からの引用です、さらに引用しておきます。

    細胞老化を起こした細胞は、分裂はしないけれど長期にわたり体内に存在し続けます。年をとるにつれて老化細胞は体内にどんどん蓄積されていきます。実際、老齢のサルやヒトにおいて、加齢にともない細胞老化を起こした細胞が増加することが確認されています。細胞老化状態にある細胞(以下、老化細胞とします)を特異的に染色すると考えられているSA-β−ga1ステイニングを用いた実験では、若い人の組織に比べて高齢の人の組織のほうが、染色される細胞が多くみられることが報告されています。
   生体内に蓄積した老化細胞はただおとなしく存在しているわけではなくさまざまな液性因子を細胞外に分泌しています。近年の研究で、老化細胞から分泌される液性因子は炎症を引き起こしたり、がん化を促進することがわかってきました。こうした老化細胞の分泌現象をSASPと呼びます(図4-6)。

以上は、SASPが高齢者のがん罹患を高める原因になっている事情です。

ここまでは第4章の9節までの説明でした、第10節はすでにこちらで「つぶやき」済みです、

https://blog.goo.ne.jp/kaeru-23/e/ec46aa2f1ddcd7bcb1ba5da20f3caedb

百寿者という言葉とともに、思い返していただければと思います。

次からは第5章「再発と転移」に入ります。


「がん」ー59ー 「がん治療革命」の追求

2019-04-27 21:15:23 | 「がん」を読む

なぜがん細胞は分裂を無限に続けられるのか、という問いは昨日の

「細胞分裂のたびにテロメアの長さが短くなり、一定の長さになると分裂が停止される仕組み」 

のことから言えば、

がん細胞では、テロメアを長くする、あるいはテロメアを短くしないような酵素が働いている」

と考えられます。

 そこでその未知なる酵素探しが始められたのです。そして、

1985年、テロメアを復元する酵素「テロメラーゼ」が発見されたのです。「テロメラーゼ」を最初に発見したブラックバーン等は2009年にノーベル賞を受賞しています。

ヒトのテロメラーゼの活性を抑えられれば、がん細胞の増殖を食い止められるかもしれない、という期待が大きく広がります。

ヒトテロメラーゼ複合体のなかでとりわけ重要と考えられたのが、触媒サブユニットと呼ばれるタンパク質でした。(略)1997年2つのグループがほぼ同時にこの重要タンパク質の発見に成功し、テロメラーゼの活性化には、テロメラーゼの触媒サブユニットであるテロメア逆転写酵素TERT が重要な働きをしていることを発表しました。細胞の不死化にかかわる重要なプレイヤーがついに明らかになったのです。

世界中の研究者たちが「がん治療の革命」が起こると色めき立ちました。

しかし、「がん治療の革命」は起こっていません本では

しかし、残念ながら、期待とは裏腹に、今日まで実用化にいたるような効果のあるテロメラーゼ阻害剤の開発にはだれも成功はしていません。その後の研究で、テロメラーゼは、テロメアを維持するだけのものではないという報告が相次いでいます。研究者たちは、テロメアとがん化の関係を単純化して捉えすぎているのかもしれません。

と書かれています。

それはこの図に関連しています。

この図に「未知の因子」とか「別の機能」とあります。

そこで、本では

新たに発見されたTERTの別の機能を抑えれば、がん幹細胞を狙い撃ちできるかもしれません。こうした見通しのもと、国立がん研究センターでは、TERTの別の機能を阻害する新たな抗がん剤の開発を進めています。


「がん」ー58ー テロメアは「細胞分裂時計」

2019-04-26 11:23:59 | 「がん」を読む

    細胞の分裂回数には限界があることが発見されたのは1960年代です。アメリカの2人の学者がヒト胎児のある細胞が50〜80回分裂をした後、急に分裂が停止することを発見しました。この現象はのちにすべての正常な体細胞であらかじめ分裂できる回数が決められていることが判明することに繋がりました。こうして、細胞老化は正常細胞に普遍的に存在する現象だと認識されるようになりました。

では、その仕組みはどうなっているのか、何が細胞分裂の回数を決めているのか。それが明らかになるのは細胞老化の発見から30年ほど経ってからでした。

それは「テロメアの長さ」でした。

テロメアとは、こういうものです、

(図は本のp152)

テロメアとは、染色体の末端構造のことをいいます。どうしてテロメアの長さが細胞分裂の回数を決めることになるか、詳しいことは本の該当部分を読んでください。(ということはこの本を手元においてくださいということです。)

要は細胞分裂のたびにテロメアの長さが短くなり、一定の長さになると分裂が停止される仕組みなのです。

ですから、テロメアのことを「細胞分裂時計」というのだそうです。

では、がん細胞が分裂をやめないのはなぜか?

それは次の節で語られる

「テロメア長を維持するテロメラーゼの発見」

で……。


「がん」ー56ー 個体から解放された細胞は不死化する?

2019-04-25 17:21:06 | 「がん」を読む

個体から解放された細胞は不死化する?

というタイトルは「個体内の細胞は必ず分裂を終える」という意味を含みます。そして「個体から取り出した細胞の分裂には終わりがないのか?」と疑問符がつくのです。

ではこう書かれています。

  この説【個体から解放された細胞は不死化する】は、1891年にドイツのオーグスト・ワイスマンが最初に提唱しました。これを受け、多くの研究者がシャーレの上で細胞を培養する実験を始めたのですが、細胞培養実験の技術がまだ確立していなかったため、検証しようがありませんでした。当時の技術では、実験中に異物混入などが起き、培養細胞は死滅してしまったからです。

   実験技術が改善されて、個体から分離した細胞を体外で長期間培養できるようになったのは1910年頃のことです。1940年代から50年代にかけて、培養細胞として樹立された細胞株が次々と誕生しました。継代培養できるヒト由来の細胞株として有名なのがヒーラ(HeLa)細胞です。1951年、子宮頸がんで亡くなったヘンリエッタ・ラックスにちなんでヒーラ細胞と呼ばれています。ヒーラ細胞は、継代を重ねて試験管で培養され、いまでも世界中の研究室で実験に用いられています。この発見により、培養細胞は無限に増殖するというワイスマンの主張が裏付けられたかに見えましたが、しばらく経ってからヒーラ細胞ががん細胞であることがわかました。無限に増殖できたのは、ヒーラ細胞が不死化したがん細胞だったからでした。

 

ということは、

「個体から解放された細胞は必ず死ぬ、がん細胞を除いては」ということです。ですからなぜがん細胞は終りなき増殖を続けられるのか? という問いかけになります。その前に細胞の分裂回数には限界があること、その限界を決めるのは何かという問いかけへの答えが必要です。引き続き本を読み続けますが、それは明日からでここに今日の「しんぶん赤旗」の記事をアップしておきます。

 

本文を書き写します。

   がんを増殖させる遺伝子に取り付き、働きを抑える核酸医薬をがん細胞に送り込むため、血液中で結合して保護するY字形の高分子化合物(ポリマー) を開発したと、東京大学と名古屋大学、川崎市産業振興財団の研究チームが24日発表しました。マウス実験では脳腫瘍や膵臓(すいぞう)がんを治療できたといいます。

   核酸医薬の実体は短いリボ核酸(RNA)かDNAで、血液中では酵素により分解されてしまうため、保護する必要があります。近い将来、治療が難しいタイプの乳がんで臨床試験が行われる見込み。論文は科学誌『ネイチャー・コミュニケーションズ』に掲載されました。

   このY字形ポリマーは核酸医薬に2個結合し、直径が約20ナノメートル(ナノは10億分の1)の小ささ。従来の技術では、核酸医薬を多数の脂質分子で包んで球状粒子にしていましたが、直径約100ナノメートルと大きく、血液中から脳血管の狭い隙間や膵臓がんの線維性組織を通ってがん細胞に到達させるのが困難でした。

   東大の宮田完ニ郎准教授らは、核酸医薬と結合しやすい人体に無害なポリマーの長さや形を工夫し、Y字形ポリマーを2個結合させれば、血液中で十分保護できることを発見しました。一時的に外れることがあっても、すぐ別のポリマーが結合するといいます。

 同財団の片岡一則ナノ医療イノベーションセンター長(東大特任教授)は「このポリマーは核酸医薬と混ぜるだけで結合するので、製剤化の必要がなく、実用化しやすい」と話しています。


「がん」ー55ー 身体の細胞総数は?

2019-04-23 21:08:20 | 「がん」を読む

がんに関心を持ったおかげで、細胞についてもかなり知識欲がわいてきました。特にがんを理解するキーワードとして細胞分裂が重要だと感じています。

このブログでも1つの受精卵から分裂がはじまって60兆という細胞の集合体がヒトの身体です、というようなことを「つぶやき」もしました。ところがこういう話があります、

ヒトの身体の細胞総数が60兆ではない、37兆だというのです。どうやらこちらの方が正確のようです。

60兆については、

37兆は、

ということで、今日から私の身体の細胞総数は37兆になりました、一気に23兆の減です。


そしてこういうニュースも、

https://wired.jp/2018/10/22/the-human-cell-atlas/



「がん」ー54ー 「ローカを走るな!」

2019-04-21 20:36:42 | 「がん」を読む

タイトルのローカは廊下のことなんです、

第4章1節はこの老化です。

小学生の何年生だったか、授業が終わりたまたま2、3人で廊下を走ったら教室の窓が開いてタイトルの通りです。

さて、人生の老化は最終期です、この時期の行き着く先は「シィーッ・死」ですから出来るだけユックリ行くことです。ところがこの時期に走る仕掛けが「がん」です。

それだけに老化とがんの関係を良く知っておくことがユックリ老いる知恵だろうと思います。そのキーワードが

 「細胞老化」と「個体老化」 です。

この部分はキーワードの説明ですので、そのまま引用。

老化」というと、顔のしわが増えたり筋肉が衰えたり、臓器の機能が低下して病気にかかりやすくなったりすることをイメージする人が多いのではないでしょうか。生物学ではこのような加齢に伴う現象を「個体老化」と呼んでいます。
   一方、私たちの体を構成する細胞は、いくらでも分裂、増殖できるわけではなく、分裂回数には限界がありす。分裂回数の限界に向かって進む細胞の変化の過程を「細胞老化」といいます。
「細胞老化」が進行した結果、「個体老化」が進むという考えは非常にわかりやすいのですが現時点では、具体的なメカニズムが解明されているわけではありません。
   日本語では同じ「老化」という言葉を使うため紛らわしいですが、英語では、個体老化を
“ chronological aging ”、細胞老化を “ cellular senesc ”と用語を使い分けています。個体老化と細胞老化の研究は、研究で扱う対象が違うなどの理由から、それぞれ異なる研究分野として発展してきました。こうした歴史的な経緯もあり「細胞老化」と「個体老化」の間をつなぐ部分が未解決のまま取り残されてしまったのです。
   がんと老化の関係についても、実はよくわかっていません。がん細胞は際限なく分裂を繰り返す「不死化した細胞」で、いわば「老化しない細胞」です。前述したとおり年齢が上がるほど発がんリスクは高くなります。「個体老化」が進めば進むほど「老化しない細胞」が増える可能性が高まるという一見不思議なことが起こるわけです。このように「細胞老化」「個体老化」「がん」との相互の関係は複雑で、未解明な点が多いのです。


「がん」ー53ー 人生100歳時代とがん予防

2019-04-18 15:23:46 | 「がん」を読む

「第4章」は次のような節の順で説明されています。

第4章    がんと老化の複雑な関係

●1 細胞老化と個体老化

●2 個体から解放された細胞は不死化する?

●3 細胞の分裂回数には限界がある

●4 テロメアは「細胞分裂時計」

●5 テロメア長を維持するテロメラーゼの発見

●6 テロメラーゼを標的としたがん治療

●7 TERTの別の機能を標的とする新たな戦略

●8 細胞老化の原因はテロメア短少化だけではない

●9 あらためて、なぜ年をとると発がんリスクが上がるのか

●10 そして「がん予防」の時代へ

今日のタイトルの100歳というのは、最後の節10で語られることですが、その節のはじめにこう書かれています。

最後に、本章で解説してきたいくつかのキーワードを結びつけるかもしれない最近の研究成果を紹介しましょう。

キーワード、例えば細胞老化、個体老化、テロメアなどなどこの章で語られる「老化とがんの関係」を理解する「基本的な言葉」について節を追って説明されています。

それを踏まえて最後に多くの100歳の人がもたらす「がん予防時代への展望」が語られます。

それは一般的に「男性高齢期はがん罹患期」である私にとって嬉しい「展望」です。ましてやがん患者と日常生活を共にしつつこの病が患者とその家族に深刻な陰を落とすことを実感している者として大きな期待を持って関心を寄せるものです。また、このブログを目にされた方々にとっても、喜んでるもらえるものと思います。

のp168〜170を写しておきます。

    最後に、本章で解説してきたいくつかのキーワードを結びつけるかもしれない最近の研究成果を紹介しましょう。慶應義塾大学広瀬信義教授のグループの研究成果です。

   百寿者という言葉をご存じでしょうか? 文字通り、100歳を超える長寿者のことで、105歳以上は超百寿者、110歳以上のスーパーセンチナリアンといいます。同グループは、

  100歳以上の百寿高齢者とその家族を対象に長年にわたり追跡調査してきました。おそらく世界的にみても、これだけ多人数の〝超高齢者〟が参加した疫学研究は例がありません。この極めて貴重な疫学研究から非常に興味深いことがわかってきました。

   100歳以上の高齢者やその子孫に共通する現象として、

① 同じ年齢の人と比較してテロメアが長い

② 炎症反応が低く抑えられている

ことがわかったのです。

   調査対象となった方々は、100歳以上の長寿の方ですから、「100歳以上までがんで亡くなっていない」ことを意味します。必然的に、がんの発症リスクも少なく長生きしてこられたということが推測されます。

   疫学調査では分子機序の解明はできないので、テロメアが長いことが原因なのか結果なのかはわかりません。同様に炎症が低く抑えられていることも原因なのか結果なのかはわかりませんが、大変興味深い結果です。

   この研究では「細胞老化」「個体老化」「がん化」3つのパーツが見事に揃いました。

   これまで、「細胞老化の原因と考えられてきたテロメアの長さ」がどうやら、「個体老化を紐解くひとつの指標として」の意味ももちそうですし、前述した、細胞老化による全身の炎症(SASP)が個体老化につながり、同時に発がんを助長する因子になり得るというモデルにもつながりそうな観察結果といえます。

   そのモデルの複雑性から、長らく、別個の研究領域として捉えられてきた細胞老化と個体老化が、「慢性炎症」という分子メカニズムで統合される可能性が出てきました。

「慢性炎症」と発がんのプロセスの解明も相まって「ヒトはなぜ年を重ねるとがんが増えるのか?」という素朴な疑問に対しても、合理的な説明ができるようになってきました。単に「遺伝子変異の積み重ね」というだけではなく「生体内の環境を含めた後天的要因」が関与しているのは明らかです。

   このようにみてみると、今後の発がんメカニズムを解明する研究は、古典的な「がん遺伝子、がん抑制遺伝子」の研究から、遺伝子産物による「生体内環境への影響」の研究に移行しつつあるといえるでしょう。今後は、発生したがんを治療するアプローチにとどまらず、「がん予防」への応用が期待される時代になりました。

   今後、「ストレス老化」に対する科学的知見が積み重なれば、「生体内環境」をコントロールすることによって「がん予防」ができる時代がくるかもしれません。