KADOMIUMTANK ソフビブログ

ヘミングウェイの詩にこんなのがある。
「人生は素晴らしい 戦う価値がある」
後の方は賛成だ byモーガン・フリーマン

偽アギラ×角ゴジラ

2010年03月18日 | 当時物ソフビ


昭和の混沌が生み出したヘンテコソフビを紹介する
「昭和の奇獣」シリーズ13回目です。
先日載せたポリ製のパチバラゴン、
バゴランに続いて今回もパチ怪獣ソフビ。

どうしてもレアなソフビとかよりは、今でも現存数が
多い=当時の業者が無版権で流通させ、怪獣ブームにうまく
乗っかろうとして結局ダラダラゆるゆると玩具店の軒先に
長期にわたり放置されたあげく自爆したようなアイテムの
紹介が多かったりするんですが、それはタコの物好きさから
来てイマス。

なのでコレクション的にこれは素晴らしい~、みたいな推奨感は
ゼロです(笑)。実際そういう箸にも棒にもかからないような
モノのほうが、自分はよどみなくおもしろいと思っているんですが。
そこはシャレということでよろしく(まあ~そんな思い違いする
奇特なヒトもおらんかー)。

今回はアギラもどきと角ゴジラ。
上は、そう、ソフビをある程度集めてるヒトなら
おそらくは見たことがあるであろうアギラもどき。
遠目で見るとアギラのようだけどトリケラトプス、
トリケラトプスなのに2本足、
2本足だけどアギラじゃない…。
彼を見ると思考がループしてきます。



時々ポイッ!って投売りコーナーのかごに
この困ったような顔で入っててて
ゾッキソフビの行き場所のなさ加減に
ヨノナカの切実さすら感じちゃう
いわゆるワゴンの常連さんです(…のはずだったんだけど
最近はお店のショーケースなんかに収まって
それなりの値段で売ってるのも見るんだよなあ)

困ったような顔がミリキの二本立ちトリケラトプス風というか
きっとブルマァクのアギラを見ながら
ゾッキソフビ会社の社長さんが、
「これを見た感じ、恐竜みたいにうまくデッチUPして
版権元が目を留めないうちにさっさと裏ルートで流して
売り抜けるんじゃ」といいながら
出入りする原型師氏にハッパかけてる声が
時空を超えて聞こえてきそうな姿をしています(幻聴)。

精悍な表情でセブンのいい助っ人になりそうな
ブルマァクのアギラくんとボディカラーが似ているので
少なからずそれを見て作ったような気配もあります。



偽アギラくんは「スーパー怪獣シリーズ」なる
社名無記名のパチ怪獣シリーズのヘッダーがついた
袋詰め品のデッドストックが確認されているので、
以前旧ブログで紹介したプリーカと同じシリーズで
あることがわかります。この「スーパー怪獣シリーズ」には
ほかにもペギャオスがあり、どれもそこそこ造形には
見るべきものがあるのですが、そこはしょせんというかパチはパチ。

プリーカもこの偽アギラくんも、足裏は無記名で
そこには砂漠の上に風が吹いてできる波状の斑紋のような
変なディティール(足型?)がモールドされています。
おそらくは怪獣名もないし会社名なんか明記もできないので
苦し紛れに波模様を入れたんでしょうけど、

すべては強風にあおられるごとに変わりゆく
砂上の足跡を辿るかのような空疎さ。。。
怪しいゾッキソフビメーカーも
いつのまにか昭和の遠い過去に消えていったのだ!と
はぐらかされているみたいで
足裏の波紋を見るたびにやるせない諸行無常感を感じます。



ミウラのアボラスもどき「オレがパチ怪獣としてオリジナリティが
ないソフビだと、聞きづてならねえな!
ハンパなおまえと違って版権品そっくりで
流通してるオレこそパチソフビのパンクスターだ!
マゴのためにとおばあちゃんにつれられてレジを通過するまでに、
パチとバレるかバレないかの瀬戸際ギリギリ感
こそクール!あれこそパチソフビでなきゃ味わえないエクスタシーだぜ!

それに比べおまえなんか、何の人気怪獣にも見えないじゃんか!
体表ディティールの適当さ加減なんかどうなんだYOー」

プリーカ「なんだともんくあっかー!オレの
背中の華麗なスプレーワークを見ろ!!勝負してやる」

偽アギラ「まあまあ!おたがいパチ怪獣なんだから
ここは喧嘩両成敗さ、2人ともちょっと頭をひやせよ」

偽アギラは目じりが下がっていて、世渡りで苦労が絶えなく
いつしか自己流の処世術と調停術を身に着けてしまった
中間管理職のオジサンみたいなえもいえぬ味がかもし出されています。
基本、事を荒立てない。無難なストッパー系なキャラで
揉めてもこいつはまあ~きっと止めてくれるだろう、と
仲間内でそれとなく重宝されそうな顔立ちですね。



そしてこちらは角ゴジラ。80年代に入って直後の
キングザウルス頃に作られたという説があります。
「世紀の大怪獣シリーズ」という強気な表記の
イラストヘッダーでとめられて袋入りで売られていました。
ヘッダーにもこの角ゴジラそっくりな怪獣が描かれているので、
当初からこの原型が出来ていて、その後ヘッダーを作ったという
証左となっております。

角ゴジラは本当にゾッキソフビらしく、カンチャクを廻す時に
独特のシュコッという擦過音がするけど
肝心の周動がさっぱり追いつかないでギリギリ、ミシミシと
カンチャクに無理がかかっているのがわかる。
おまけに胴体もベコベコした感じで、金型の都合か胴体の巾も
ぺっちゃんこで不恰好。

現代に生きていながら、現行品のソフビでは
こんな感触は味わえない。いかにもゾッキソフビの作りだと
いう拙速さからくる触感が存分に味わえるソフビです。
(そんな偏向をきたした触感を味わってどうするんだ!)

角ゴジラは口を突き出してて
しゃべりだすと停まらない近所の主婦の人とかに
いそうな顔立ちです。(当時もののパチ怪獣って何か近所に
似たような人がいそうな妙な身近さがありますね)



角ゴジラ「ちょっとちょっと!!聞いてよ!
困ったわねえ~。またごみの収集日を
守らない人がいるのよ。きっとあの怪獣荘の学生だわ!
からすが来るって誰か行って文句言ってやってよ~」

ミウラのアボラスもどき「オレがひとつ
ガッンと一発言っといてやるよ!」

プリーカ「しょう~がないなあ~。来年3月には
卒業してアパートも引き払うんだろうけど、
アイツだって一応は町内の回覧板廻ってんだろ?
じゃ町内会に所属してるカウントになるよな。
一応アイツにもごみ当番もしてもらったらいいジャン?」

ミウラのアボラスもどき「片付けるのは
自分がいいかげんに出したごみか、笑えるな」

角ゴジラ「そんなの言えないわよ~困ったわね~

飲み会やってもテーブルクロスに載ってた飲み物の
ペットボトルも、残った食べ物も分別しないで
そのまま風呂敷包みみたいに結わえてごみに出してんのよ~
今までどんな育ち方してきたのカシラ。まあ~信じられないワヨ~。

そうだ!思い切って、ここは大学に通報しようカシラ」

…みたいな、この角ゴジラのそこそこ付き合い上手なんだけど
行き過ぎた几帳面さがトラブルに巻き込まれがちな
表情(どんな表情だよ)にはそんなパチ怪獣同士の
物憂げな会話が聞かれそうです。



旧ブログのプリーカや大協の恐竜ソフビの記事にも書いたんですが、
パチ怪獣は作っている現場のゾッキソフビの製造・販売という
スーパーニッチな業務に従事するおじさんたちの
アフター5に赤提灯をくぐって一杯やらずにはいられないような
アイロニーが生み出した。それはプロダクツの表情や佇まいにも
それとなく刻印されている。
ある意味、作り手のライブ感が横溢する
アイテムであるといえるでしょう。

そんなメーカーサイドのおそらくは青息吐息であったであろう
日常の空気がソフビのつくりや雰囲気に漂ってなどいても
当時の子供たち……、華やかな円谷や東宝・大映怪獣のスターたちに
思いこがれる彼らにとってはまったくどうでもいい
どころか迷惑な付加価値だったことでしょう。
「コレジャナイ!もっとTVに出てる怪獣みたいな
カッコいいの作れないの?」と。

しかし、奇特な好事家にとってはそのカッコわるさは
時を超えれば目線の違う意味での
娯楽供給、大人目線の付加価値創出となります。

そう、せちがらい一日をすごした夜半、眠れない夜に
怪獣ブーム下にひっそりと路地裏で流通され
いつの間にか忘れさられた無名のパチ怪獣たちの
アイロニーあふれる表情を眺めながら
当時あったかもしれないパチ怪獣の現場
メイキングやサイドストーリーを
タイムスリップ・インタラクティブに夢想しつつ
いっぱいひっかけるってのも、
またオツかもしれませんね。




偽アギラ「まあまあ、そこはおさえておさえて
ねっ?反省してるんだから、
そんなにおこらないであげてよ」
プリーカ「なんだ君は マアマア主義なのか」

ああー(笑)。
やっぱり彼はどう置いてみても止め役だー!

(後記…うわー、バックに置いてある緑のほうのスフラン、
撮影してから2日半くらい経って
現場に置き忘れてたのをハッと思い出して
飛んでったけど、まだあった~。
人通りが多い場所なのに世間的にはナンジャコリャなんだろうな。)


つ【ここにいるよ/72(なつ)】
この冬場はよく聴いてた曲。
ドラマ「アンタッチャブル」(仲間由紀恵主演)の主題歌。
街や荒野を漂う、自由だけど主のない
孤独な犬のプロモ映像が歌詞とシンクロしてて好み。

http://www.youtube.com/watch?v=9qTml5pMBhU&feature=PlayList&p=CBDC36C6E070CE91&playnext=1&playnext_from=PL&index=9


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2 コメント

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Unknown (タコペッティ)
2011-11-27 12:58:54
>タマロさん
こんにちわ!
うーん、たまろさんはニュータイプなのかなあ、
今日は珍しく土曜日休みがとれて
このトリケラもどきの色に似せて
ある現行品のソフビを塗装していたんですよ。
ぬりえみたいでけっこうタノシイ。。。
すごい偶然、このトリケラン、自分はすごく
好きなんですよね、当時、量が出回ってるので特に
レアでもなんでもないですが
造形がしっかりしてて一回の記事で
語りつくせないミリキがあります。
しかしこんなに前の記事をお読みになって。。。
あんたもすきねえ(突然カトちゃんモード)

このトリケラもどきは最近もビーチバッグの
怪獣の記事のコメント欄でインサイターさまと
やりとりをさせていただいたんですが、
スーパー怪獣シリーズがらみでまた記事として
取り扱いと思うので、
よかったら見てほしいのココロです。
そういえば自分もゆうべは
なかなか寝つけなかったなー。
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Unknown (タマロ)
2011-11-27 02:11:20
こんばんは!
これ大協のトリケラトプスに色、形似てますよね。
足の裏の印も大協みたいです。
もしかしたら大協をパチったか大協の裏流通ラインだったらとか勝手に妄想してしまいました。
今日朝すごく早いというのに土曜の夜はなぜか眠れなくて妄想ばかりしてしまいます。
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