KADOMIUMTANK ソフビブログ

ヘミングウェイの詩にこんなのがある。
「人生は素晴らしい 戦う価値がある」
後の方は賛成だ byモーガン・フリーマン

Morbius Bootleg Kaiju

2010年03月09日 | モンド・トラッシュ


●Morbius Bootleg Kaijuのヘッダー。
奇匠・LAMOUR SUPREMEとTWERPSによるもの。
例によって市街地でひたすらハードコアに
デストロイとジェノサイドに荒れ狂う怪物たちの
跋扈する姿が描かれており製品としての神秘性と
アンダーグラウンド性を倍加させている。
そして、ヘッダーがつき袋に入って完成する「ソフビ」という
商材が独特に放つ魔力に向けた篤い信仰心さえも感じとれる。

しかしなんともグラインドコアなイラストだ。
暴れているあやしい怪物たちはどいつもこいつも
中華イナズマン「インフラマン」の
敵みたいな、一生見慣れそうにないおぞましい姿をしている。
その中に見覚えのある
和製インディーズソフビ怪獣がさりげなく居たりするが
ソフビの現物もどの辺りのラインを登頂しようと
作られたか、類推させられるサブリミナルな主張となっている。



●同じくバックシート。
パンキッシュな絵柄はNICHOLAS GAZIN
によるもの。なんとなく逆柱いみり氏の大陸的バッタモン
サンプリングアート的な空気をかもし出す
販売支援ツール一昔前のキャラクターソフビの
パッケージアートを意識しつつ、パンクや
グラインドコアなCDジャケット風でもある。



●類似したコンセプトの
商材の中にあってはよりそこから突出しようと
標榜する者は時に「極北」を目指す。
一般と相容れない暴力的な造形であったり、
幼児性の強い強度を放っていたりして
お客の中のさいはて感の高い嗜好を狙ってくる。
そしてデザインや造形のみならず供給方法も時に
アンダーグラウンドな形式の頒布であったり。
そして今はそんな極北がひしめいて
極北山脈が連なっているのが
インディーズソフビのセカイといえよう。




●先に日本でもショップがオープンし
国内展開に勢いを増しそうなMISHKAが
香港のトイメーカーadFuntureとのコラボレーションで
生み出したキャラクター、 "Morbius" Bootleg Kaiju .
LAMOUR SUPREMEによるその造形はアシッドなエネルギーを
放っており、混沌の昭和の頃にあった
IKBなどパチ怪獣ソフビにも通じる、イリーガルに生み出された
者特有の不穏なミリキの悪夢再生的要素も併せ持つ。

2個ある頭部の接合は首に小さく開いている穴で行い
かん着ではない。
粘土力丸出しとなっているユルユル系怪人だ。
ただ、その生々しさは
海外市場からこういう方向の製品が出てきたということで
海を越えた作り手のソフビへの興味と実際に製品化されたアイテムで
彼らからSOFT VINYL KAIJUがどう見えているか
できたプロダクツにその目線が確認できて面白い。

海外のスカム&脱力系怪獣ソフビというと
MONSTAR WORTHIPのクソゴンなど、日本の
パチ怪獣を新訳しなかなかいいところを
突いてくるものが増えており、ネット上の画像でその姿を
確認できるにとどまらず、今後も海を渡ってきてほしい感じ。

そこに敬意を表し、タコ的には彼のお迎え記念で
上のヘッダーイラストに近いジェノサイドな光景を
実景にしてみたいという欲望に突き動かされて
押入れのマクファレン系ヤラレ役おじさんフギアーを
総動員してきました。(なぜか主役ヒーローや怪物本体とかは
ヒトにあげちゃって、犠牲者のおじさんやびっくり顔の探検隊員のほうとか
ばっかりとっとく自分てやっぱどっかイカれてる気が…)



●2つついてる頭部(ヘルメットをかぶったホラーボール
みたいな顔、角ガイコツ顔の2種)。タコは角ガイコツ顔が
スカムでオキニです。角ガイコツ顔の後頭部には
顔や胴体の造形とは異なる、ディティールがリアル志向の
ネズミがモールドされており、頭部に齧り付いて穴を開けている。



●こちらがメインフェイスなのだろうか?(もしかして
ボディが同じ2匹の怪物なのか?)ヘルメット
ホラーボール風のヘッド。
顔にはウジ虫がわいているようなディティーリングがあったり、
アイパッチをしていたり
凶悪度では角ガイコツより上。



●同じくリアビュー。ヘルメットが割れて脳みそがはみ出しているという
ピーター・ジャクソンの「ブレインデッド」の隊員みたいな
ディティールが入っている。



●まあこのラフなつくりに新鮮味があって
自分的に気に入ったというところです。
ちょっとデムパゴンにも似てるような。。。
後で並べて見てみよう。

●どちらかというと怪獣ソフビやストリートソフビの文脈という
よりは過剰さで見せるアメリカンキャラクターフィギュアの
セカイをソフビという日本的なトイの図式に移植したような
印象があるのだが。

ソフビの質は硬度が高く、どこか粗末な感じがするのも
味といえば味。アジアあたりで日本趣味とアメリカントイの
双方を曲解して作られたゾッキトイ的な面白さもあるかと。
ゆえに「ブートレッグ」と銘打っている所以だろうか。



ヒーローカラー~英雄色~

2010年03月09日 | モンド・トラッシュ


●LETS VINYL!

…つーことでちょっとだけ仕事の時間が空いたので
ビニール塗ってました。
タコフェバリッツなヒーローカラーで
自分だけのオリジナルがほしい!と思い
旧ブログの頃から不器用なりに
ちょこちょこ作ってきたんですが

今回のネタその1は
流星忍者一番星の頭部にリアルヘッドさんの
ホネボーグの胴体を使った発狂魔人カラー。
このディティールだと元ネタにドンピシャリです(微笑)

発狂魔人ははじめてみた時トラウマだったなあ。
レインボーさんからリリースされて
ソフビムーブメントとして盛り上がった人体系魔人たちは
お化け屋敷の出し物みたいなファンキーさがあって
どこか陽性なんだけど、初期話数の魔人は
視聴する子供たちもまだ番組のノリが
理解できなかったのでひたすら怖かった記憶があります。



●前にソフビクルーザー・コスモナイトαさんで魔人モチーフのデムパゴン、
本家リアルヘッドさんでもカオスがリリース
されていてどちらも気に入っているのですが
もう一体魔人カラーがあったらいかにも悪の組織のアジトみたいで
楽しいカナと思い製作。
そういえば~一番星さんが建物を移転されたんでしたね。
これは移転記念カスタムつーことで(とかなんとか)



●ドー◎ゲー!!
細菌魔人デムパゴンの裏側は大ボスになっている。
いわばボスと下僕が多重人格でひとり監禁プレーみたいに
組織の乗員を演じているんだろう。久々に出してきて
見ているが、この魔人のカラー指定はマッドネスでイイなあ(笑)。

デムパゴンはあいかわらずタコのお気に入りソフビです。
なかなか狙ってこういう昭和の粘土感や
ゆがんだ感じは出ない。それでいて佇まいがピュアというか
昭和へのタイムスリップ感もある。
スキルの緻密な追求では醸し出せない、
直感と純度の高い妄想のみで生み出された
造形的迫力のあるソフビです。

釘を刺しとくと、こういうスカム&アウトサイダーアート系は
標榜したところで「わざと下手に作る」でも
逆に「ちまちまマーケティング的に計算して作る」でも駄目。
わざと下手の真逆である、的確なスキルに支えられた
精密さで馬鹿に作られても、その精緻は正気の証で
所詮邪魔なキョウザツブツを入れて作られたような気がする。
そこそこ話題にはなっても
本当のき◎が…ソフビジャンキーはそこは見抜き、
「ああ~狙ってんだな~」としらけるから面白いものだ。

それこそ海原雄山が「ガラッ」て厨房の戸をあけて
なんだこれはあああっ(口の中にカブラペンで描いた斜線入り)
作った奴でてこい!!お前か!発狂したふりをして作っても
お見通しだ!とクレームつけるだろうから。
完全に幼稚な頭になって無自覚な状態で寸分の狂いもなく発狂しつつ
「今、セカイの全部のヒトが自分にうしろ指を差してて、気持ちいい~
(アクエリオンの合体時のヒロインの感想風)」

「出て来い、くろまく!!おれは武士だ!
弱いものに、くれてやるんだ!(大地康雄サマの名演風)」

くらいに自分を「SAW」のジグソーに試されているヒトみたいな
ソリッドシチュエーションに追い込んで作らないとならない。
(おい、シンナーでラリってるのか
むちゃくちゃいうなよ!っていわれそう)



●続いてCRONICアイテム。
へんしん忍者カラーのジュライアスと
合成怪人(ムカデ+虎)カラーの獣狂バクラス。

きーらーめーく稲妻~とどろく雷鳴~♪
ちゃんと背中にも刀を差しております。
テレビのへんしん忍者は製作サイドの上のほうが
刀で斬るのは残酷すぎるとかなんとか言い出して
放映途中の話で刀を持たなくなっちゃったんだけど
やっぱり忍者は刀差してるほうが決まります。

元ネタキャラの顔の脇に生えている赤髪もスプレーワークで
アクセントしようカナ?と思ったんですが
あまりそこだけ顔の中で目立たないほうが
すっきり見えるかと思い
ピンクでささっと筆塗り程度にとどめておきました。



●前から思ってたんだけどジュライアスってへんしん
忍者に似ていて、いや似せてるのかなと
思ったけどそういう指摘をしている人とか
ネットの話もなかった。

そういうカスタムの塗装演出もなかったので
実際にブラシワークしてみたら。。。
ほとんど塗り絵みたいな感じ。
特撮系の友人に見せたら「この嵐みたいなのは
もともと嵐を模してデフォルメしたストリートフィギュア
なのか?」といわれたんで、ネタとしては気がつけてるな
と安心しました。
しかし黒目入れたら、ジュラとしては違和感あるっしょ。



合成怪人カラーバクラスのほうは
手を改造したのみ。これもなんとなく
左右ツートンで百足と虎の色に塗り分けてったら
それらしくハマった感じ。
ファイター系モンスターソフビのようで、
実はパチ怪人ソフビとしても
結構造形的ポイントをしっかりおさえていた
ジュライアス君、バクラス君。



ヒーローカラー作業は
元のキャラの色を、一見らしからぬソフビに
アテていくとだんだん色が載るにつれて
それに見えてくる瞬間がとても心地よい。
それと、元キャラが存在する
明確な「到達点」があるから
塗装する側としては完成ポイントが当事者として客観視
できるのも塗装の練習としては良いっかなあ、と。
てなわけで今後も精進。

●最近ガーガメルさんがソフビの塗装講座
の記事をGHKに掲載してますね。
例のワンフェスで販売した「魔界村」や
マリオのソフビが未塗装での販売だったので
塗装してみたいというお客さんの質問が
多かったのに応えた、ということだったのだけど、

ガーガメル池田氏がこないだの個展でお客さんたちと
お話して盛り上がっていた時に
塗装講座の話になって「ちょっと間を飛ばしてるみたいで
わかりにくいヒトもいるんじゃないかなあ」と
つぶやいておられたのだけど、不親切な感じは
なかったと思うデス。塗装ってそれぞれにやり方が
できていくようなトコロありますしな。カスタムを
手がけるメーカーサイド発信により、あのような
記事が時々載るのは、やってみようというヒトには
ひらめくキッカケになるかもしれない。。。と
ふと思いました。