ぶんやさんち

ぶんやさんの記録

東野圭吾『時生』

2009-04-25 15:23:48 | ときのまにまに
歳を取ると、その日の体調は気分に現れる。というよりも気分のいい時は体調もいいし、体調のいい時は気分もいい。どちらが先なのかはっきりしない。咳と痰がなかなか直らないので医者で薬をもらってきて飲んでいるが、そのせいか、どうも調子がよくない。一寸難しい本を読むと睡魔に襲われて先に進まない。そのためにブログも2日ほど休んでしまった。ここしばらく松村先生の日記も書けない。先生の日記は古い文体で、しかも字が小さく、達筆なので読むのにとても骨が折れる。そのため体調がよくないとなかなか作業がはかどらない。時には一つの字を解読するため、何度も読み返し、もいろいろと可能性を考え、結論を下さなければならない時もある。
というよう訳で、気分転換のために、久し振りに東野圭吾の小説を読んだ。今度はNHK連続ドラマ化された2002年の作品『時生』を読んだ。文庫版で533頁だからかなり長編である。一応ミステリーとなっているが、実は通常のミステリーというよりも「時」という哲学的テーマを正面から取り上げている。従って、問題提起はあるが、いわゆる「謎解き」はない。序章で「グレゴリウス症候群」という仮想の病気のために死を直前にした状況設定がなされるが、とくにその病気そのものを扱った作品ではない。一口で言うと、非常に不思議な作品で、読み始めると食事の時間も惜しいほど読者の心を奪ってしまうものがある。

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