ぶんやさんち

ぶんやさんの記録

感想:毒トマト殺人事件

2010-07-02 11:27:02 | ときのまにまに
派手な前宣伝に惹かれて、眠たい目をこすり、目薬を差しながら、初めから終わりまで真面目に「観賞」した。
「作品」の中のことであるが、毎日のようにテレビで見かける女子アナウンサー大下容子さんが自宅で殺されたという設定も視聴者の目を惹く一つの要因であったのかも知れない。大下さんの「死顔」がよく似合う。しかも「毒トマト」による殺人というのも奇抜である。刑事役の平泉成さんがなかなかいい味を出している。何か、地そのものが刑事という感じである。スマップの5人もそれぞれに味を出している。一応、犯人は5人の内の誰かという設定で物語が進むが、どうも最後の部分でうやむやになる。
2時間も見て、結局、何が何やらわからないままで、終わったのか終わらないのかも、わからないまま、つき離された感じである。
結論として、「作品」としては決して「成功」とは言えないだろう。少なくとも、私は「見て損した」という印象である。ただ、よく考えてみると、朝から晩まで、テレビを通して流れてくる「現実」の事件やニュースも、放送する側の都合により、表や裏が境界線のないまま放映され、視聴者はそれをただ眺め、最後は何が何やらわからないまま終わっている。だとすると、この「作品」はそのような「現実」を映し出すということが狙いであったとしたら、「成功」しているとも言える。
私が前宣伝に惹かれた理由は、スマップの5人がそれぞれ別の企画に「出演」し、その番組の収録ということで「演技」し、その裏で全然別の「作品:毒トマト殺人事件」を収録するという点である。しかも、そのプロセスにおいて「出演者」に、「裏作品」のことが秘密にされているという「設定」である。この場合は「収録」という作業と「編集」という作業とが分離・統合されている。この点が非常に面白い。その意味では、相互にほとんど無関係な諸断片(資料)を「編集」し、統合して成立した福音書と共通するものがあるのではないか、という点であったが、それは私の「ないないねだり」にすぎなかったようである。

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