ぶんやさんち

ぶんやさんの記録

「わたしの死」

2008-09-12 19:09:04 | ときのまにまに
厚生労働省は9月12日、全国で100歳以上の人口が同月末時点で前年より3981人増えて3万6276人になると発表した。38年連続で過去最多を更新し、10年前に比べ3倍強になる。長寿は文句なしに喜ばしいことである。現在、世界一の男性最長寿者は日本人で、田鍋さんとのこと、宮崎県の風土、人情を考えるとうなずける感じがする。
先日読んだ本(木田元『反哲学入門』15頁)の受け売りであるが、ハイデガーは人間を定義して「死に臨む存在」と言ったとのこと、自分の死を意識できることこそ、人間が他の動物と異なっている点だ、というわけであろう。自分のことを振り返っても、この歳になれば、確かに「自分の死」を意識する。しかし、意識するということは、必ずしも納得して受け入れるということではない。まだ、「死」はわたしにとって「他人事」である。
ハイデガーに対して、サルトルは真っ向から反対して、死は「わたしの可能性」ではない、という。むしろ、死はわたしのすべての可能性を無にし、わたしの人生からすべての意味を除き去る「不条理な偶発事」である、という。どちらかと言うと、わたしはサルトルの考えに同調する。その時になってみないとわからないが、今現在、どんなに考えても、「わたしの死」を理解することはできない。と言って、不思議なことに「死」を回避したいとか、「死にたくない」という気持ちは一つもない。その時になれば「しょうがない」と思うだけであるが、それはまさに「不条理な偶発事」である。

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