ぶんやさんち

ぶんやさんの記録

啓翁桜

2009-12-31 21:57:39 | ときのまにまに
今年も蔵王の麓、山形の奥地、雪深い荒砥から啓翁桜の花束が贈られて来ました。箱の中から取りだした時には未だ蕾みだった枝も、明くる日にはもう2~3本花を咲かせていました。咲こうとする桜の勢いには凄みがあります。クリスマスと正月に向けての弟からの貴重なプレゼントです。

        


正月に咲く啓翁桜を作り出すのは大変難しいことだと思います。春の雪解けを待って4月に1メートルほどの苗木を畑に植え、4年目にようやく花が咲きます。それが先ず第1段階。そして夏、秋とすごし、初冬の寒さに逢うのを待って、12月に花芽の着いた枝を切り出し、順にハウスに入れて12度から18度ほどの温室の中で育て、ハウスの外が雪に埋まり本格的な冬の到来と共に、今度は8度以下の冷蔵庫に移し、休眠状態にします。

        

        


普通ならこのまま春を迎える訳ですが、タイミングを見ながら、今度は暖かい部屋に移したり、お湯の中に入れたりして、急激に「春」を知らせます。すると桜は本当に春が来たと「勘違い」をして、目を醒まし、枝には蕾が出てきます。それから箱詰めにされ全国に配達されます。各家庭に配達されるのがちょうど年末で、お正月が満開ということになります。要するに人間が桜を騙して、自然状態なら4月に咲くべきところを正月に咲かせる訳です。かくして、雪の舞う山形から温暖な九州の福岡に「正月花」として送られて来るという「奇跡に近い」出来事が起こります。これを人間の知恵の勝利と見るか、自然に対する冒涜と見るか、人にはいろいろな意見があるでしょう。わたし自身はそういうことには「目をつぶり」、ただひたすらに健気に、無心に咲く桜の花を見ながら、春を待ち望みます。

        

啓翁桜の写真を撮るのは非常に難しいことです。ただ桜を写しただけでは「季節感」がでてきません。それを見たら見る人はそれは4月に写した写真だと思うでしょう。そこでいろいろな工夫が必要です。今年は千両と一緒に写してみました。そのうちに今度は千両を4月に咲かせる人が出てきたらどうしましょう。
以上が今年最後のブログです。良いお年をお迎えください。来年もよろしく・・・・・

最新の画像もっと見る