眼下に広がる雲海に、北アルプスの山々が描く稜線が見えたとき
思わず、「あっ!」と声を上げそうになった。
それまで不思議に思っていたことの
謎が解けたような気がしたからだ。
羽田から小松へと向かう飛行機は
松本上空から北アルプスを横断する。
ふだん空から眺める北アルプスは岩肌や雪原が広がるだけで
山に縁がない私にとって地形を思い浮かべることは難しい。
ところが、その日眺めた雲海に浮かぶ北アルプスの稜線は
地図さながらで、それがまた、まるで龍が天空を泳ぐようにも見えた。
そしてさらに...。
これが北陸を守る不思議な「盾」の正体だったか、と
窓に額を押し付け、食い入るように見続けたのである。
石川では白山、そして富山では立山。
ともに霊峰と呼ばれ、この地に住む人は霊峰に守られているという意識が強い。
現に、台風が日本列島を縦断するときなどは
警報ほどの強風が吹かないことが多い。
そして、台風が去った後、金沢人が安どの気持ちとともに
決まって口にする言葉が「やっぱり白山が守ってくれた」である。
そんな神がかり的な通説を思い返しつつ眺めた
3000メートル級の山々が織りなす稜線。
この盾のように立ちはだかる北アルプスこそが
「霊峰」そのものではなかったか、と
思わずにはいられなかったのである。
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