折にふれて

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エッセル堤という風景

2023-07-16 | オトナの遠足

一週間居座った梅雨前線が北上し、ようやく晴れ間が現れた週末の午後。

それでもまだ雲は多かったが、撮影に出かけることにした。

劇的な空を撮るならかえって好都合と思ったのだ。

目指したのは三国港。海と空が広く開けた夕陽の名所だ。

金沢からだと車で二時間近くかかるのだが、そんな距離など苦にはならない。

むしろ、今日はどんな夕空が現れるかと、ワクワクしながら車を走らせるのだ。

石川県にも夕陽が美しい海岸はいくつもあるのだが

隣県の海を訪れるのには理由がある。

三国港から大きく張り出す突堤。エッセル堤に魅せられているからだ。

いくら夕陽が美しくても海と空だけでは単調な風景でしかない。

そこに圧倒的な存在感で風景を特別なものとしてくれるのがエッセル堤で

海に伸びるアーチ状の突堤は他にはない海岸線の美しさを形作っているのだ。

さて、いつもなら渚からエッセル堤を主題にした風景を撮るのだが

日没まで少し間があったので堤を歩いてみることにした。

   

エッセル堤は三国港内の土砂堆積を防ぐため

明治18年(1882年)にオランダ人技師エッセルの設計により完成している。

渚からながめる堤は幾何学的な美しさを感じさせてくれるが

間近だと遠目の美しさとは裏腹な無骨さ、荒々しさを実感する。

けれども、そんな堅牢さが150年の長きにわたって三国港を守ってきたのだろう。

   

あらためてエッセル堤の全容。

その姿「天橋立の飛龍」のよう、などと表現すると少し度が過ぎるようだが

人が造ったものでこれほど美しいものはそう類を見ないのではと思っている。

現に土木技術史上の価値が認められ経済産業省の近代産業遺産に指定され

また文化的価値という点では国の重要文化財ともなっている。

 

この稿続く。

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