話は前後しますが、この日の昼食は郊外の道沿いのレストランでとりました。壁面に沢山のベゴニアのハンギングバスケットが飾られた可愛いお家のレストランでした。皆一様に可愛い、綺麗だと目を細めてレストランに入って行きました。
そして、テーブルに出された料理はと言うと、お皿に赤魚のような魚で、頭を落としたゴロっとした魚の身のフライと、フライドポテトが載っていました。
「これは何という料理ですか?」
「フイッシュ&チップスです。」
『これが!』私は内心吃驚してしまいました。出されたお皿を見て、もしかしたらと何だか嫌な予感がしていましたが、私のリクエストがこんな形で出て来るとは予想だにしませんでした。
私のイメージでは、小魚のフライにフライドポテトの付け合わせ、紙などに包まれたお八つ風のファーストフードのつもりでした。屋台で買ってお八つに食べるのだと思っていたのです。フライドポテトは予想通りでしたが、小魚のフライの方はカワサギぐらいの大きさの小魚のフライで、数匹の盛り合わせかと思っていました。この様にゴロっと赤魚のフライが目の前に横たわって出て来るとは、心底以外で開いた口が塞がらないと言った感じでした。
私が魚について聞いたところ、現地ガイドさんがウエィトレスさんに聞いてくだいました。この付近の川か湖で取れる魚だという事でした。が、私にすると、どう見ても赤魚その物の色、形、大きさでした。しかも、この魚のフライ、無味というものでした。塩コショウも何もされていなくて味が無いのです。味付けしてないわこの魚と私が言うと、ビネガーの瓶が出されてきました。
「ああ、モルトビネガーと言うものね。」
イギリスのモルトビネガーは有名なので私も知っていました。早速興味を持って魚のフライにかけてみます。とても美味しくなり、美味しい美味しいと言って私はフライをぱくつきました。が、表面を食べるとまた味がしなくなってしまいました。そこでビネガーをたっぷり掛けます。また美味しくなりました。2、3口食べるとまた魚の味は無くなってしまいます。そこでビネガーを再度たっぷりと掛けます。と、こんな事を3回ほど繰り返す内に、ウエィトレスさんがビネガーを持って行ってしまいました。
それ以上味のしなくなった魚を食べる気がしなくなり、私はそこで食事を止めてしまいました。ポテトも塩気が無く食べる気になれない物でした。私はこのようにあまり食慾が満たされない内に食べるのを止める事になりました。腹5分という感じでした。
このレストランは家の壁面のハンギング飾りが有名なレストラン(喫茶店風です)との事で、皆は同行ガイドさんから、この店の外観を撮った写真の絵葉書を1枚ずついただきました。奇麗な絵ハガキでしたから、私は日本に帰ってから直ぐに知人宛に使ってしまいました。残して置けば写真をアップ出来たのにと残念に思います。葉書を出した相手も忘れてしまったので書きようもありません。お店の名前は更に覚えていません。
さて、高速道路を下りて、風景はどうやらロンドンらしくなってきました。現地ガイドさんがもうロンドンですよと言われたのかもしれません。目を開けると車窓が一変していたので、私は目を輝かせて写真を撮りました。
(現地ガイドさんの話では、ロンドンには川が多いという事でした。日付は相変わらず直していないので、19日の午前中、又は昼直ぐにロンドンに入ったのですね。)