以上、重たいテーマの動機付けでした。
しかし、この紀行文は明るく楽しいものです。それは確かです。私は気晴らしをする事だけを考えて、終始この旅を心行くまで楽しもうと思っていましたからね。
この旅の目的は登山でした。私は高校生の遠足で山歩きをした時にその充実感というか達成感というか、心地よい疲労感の魅力を知りました。険しい山の本格的な登山では無く、山歩きとでもいうべき登山が、何だか自分の性にあっている事に気付いたのです。それで、その楽しさを味わって気分転換したいと考えました。
私が選んだ登山の山は、山ではなく岩でした。エアーズロックという1枚岩でした。現地の言葉で言うとウルルという岩です。時は冬の終わりの3月初旬、晩冬とでもいう頃でしょうか、時節柄、私は実家の家族に、南の方へ登山に行くと言ってリュックを背負うとズックを穿いて、朝の8時近くに静かに家を出て行ったと思います。