優雅で清楚な貴婦人のようなホワイトガーデンの庭の次は、バスでまた移動です。ボックス型の庭がいくつかある場所へとやって来ました。舗装されない道なのでバスには悪路です。バスを降りた場所が集合場所という事で、皆講師の先生の後について庭へと入って行きました。
入って行くと他の観光客も多くいて賑やかな雰囲気です。1個のボックス自体が4畳半ほどのこじんまりした区分けなので、別のボックスの庭を見ている人の歓声が間近に聞こえ、隙間から様子も見えました。ここなら美しいイングリッシュローズのバラ園も見られそうです。私はフイルムの残りが少なくなってきたので写真を撮るのを控えたように思います。この場所の写真は無く、バラの写真ももちろんありません。
色々な花や、野菜、苗を植える前の土作りされた区画を見学した覚えがあります。特に土だけの区画の記憶は鮮明です。足触りがとても柔らかく、歩くとふかふかと沈みました。こんなにいい土の所を歩くなんてと、気が引けて仕様がありませんでした。耕したり土作りした人に大変申し訳ないと痛切に感じたのです。この区画には庭師風の男の人が1人いて、終始にこやかに皆を見守っていました。私はそれが不思議で仕様がありませんでした。この男の人もパフォーマンスの人だったのでしょうか。皆の歩き回った後、土をならして又ふかふかにする、そういう役どころの人だったのかもしれません。当時の私にはそう言った仕組みが全然分かりませんでした。折角造られた土の上を歩いて来てしまったと気が引けて、先生がここからは別行動にしましょうと言われ、自由行動になった後、私は2、3の区画を見て直ぐに集合場所の出口まで戻って行きました。
土作りする大切さを知っていたので、私にはあの柔らかな苗床を踏み荒らした事が酷く胸につかえていました。それが気になり庭を見るどころの気分ではなくなってしまったのでした。
道に戻って来ると、太い材木が組まれたガードレールが西部劇の牧場風景を思わせてロマンチックでした。その風景が私に映画のシェーンの最後の一コマを思い出させました。「シェーン・カミング・バック」のあの場面です。映画のような遠景の高い山は見えませんでしたが、十分ウエスタンの世界に浸る事が出来ました。
暫くして皆が集合してくると、バスはロンドンに向かって出発しました。ロンドンに近付くにつれて草原や羊の群れは見えなくなりました。整備されたハイウェイ、高速道路にバスは入って行きます。