茂原市ことぶき堂鍼灸院

茂原市で鍼灸治療院を営んでおります。
東洋医学や日常生活のあれこれを日々綴っています。

壽堂日記27年8月15日「腎虚証は老けて見える?」

2015-08-15 06:35:08 | 日記

お盆休みで久しぶりに同級生に会いました。

近況を報告し合うと同級生から『50代なのに70代に間違われます。』と相談されました。

大人になってからの肉体年齢は食生活や仕事の内容や病気の有無で大きく変化しますので50代でも40代に見える人や70代に見える人がいても不思議ではありません。

友人は『白髪・薄毛・顔色が煤けた様に黒く・耳が遠く・目が良く見えない。』などの症状があるそうです。

治療道具を携え久しぶりに友人宅へ行きましたが、脈診・腹診をし「腎虚」であると判断し「腎虚証」で治療をしました。

東洋医学の「腎」と西洋医学の「腎臓」は同じ物ではありません。、

東洋医学では「腎は精を貯蔵する『作強の官』(生命エネルギーの強さを作り出すもの)と呼ばれ、人体の生命活動を維持する基本的な栄養物資である精を貯蔵し、五臓六腑の要求に応じて随時その精を供給し、それらの健全な働きを維持しているといわれています。

そして「腎」は全身に精力を与え、粘り強さや根気を生み出すとされています。

東洋医学では「腎」は「先天の精」を貯蔵するところで、「先天の精」は生まれた時に両親から受け継ぎ増えることはありません。

人間は食物から「後天の精」を生成し「先天の精」を補いながら生き「腎の精」が少なくなると老化が始まります。

『白髪・薄毛・顔色が煤けた様に黒く・耳が遠く・目が良く見えない。』いずれも「腎」の病症です。

『50代なのに70代に間違われます。』ということは、現代では早老化と言えます。

「腎虚症」の場合でも鍼灸治療を継続して行い、「腎の気」を補い「精気の虚」を補い、生活習慣を改めれば「年齢相応の体年齢」が取り戻せると考えます。


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壽堂日記27年8月8日「不妊症の治療・瘀(お)血とは?」

2015-08-08 06:03:27 | 日記

当院では鍼灸による不妊症の治療をしていますが、不妊症の原因の多くは「冷え」と「瘀(お)血」と「ストレス」と考えます。

先週「生理不順」と言う事で治療にみえられた方も左下腹部が硬く冷たく「冷え」と「瘀(お)血」が強く感じられ典型的な「瘀(お)血」の証でした。

今週再度お見えになられ『先週治療を受けてから程無く生理が来ました。』と報告を頂きました。

先週の治療は「腎虚証」で全体治療を行い、標治法で四満・腰陽関・血海などを使用しました。


今日は「瘀(お)血」について説明してみたいと思います。

「瘀(お)血」は悪血・古血とも呼ばれています。


当院では腹診で証を立てそれに従い鍼灸治療をしていますが、肩こり・のぼせ・冷え性・生理不順・不妊症等の症状で来院される方の中には左下腹部に圧痛や硬血や冷感域があることが多く「瘀(お)血」の症状が見られることがあります。

東洋医学では流れが悪く滞りがちな血液を「瘀(お)血」と呼び、血液が正常な状態に比べて粘度が強く流れが悪く、よどんだ状態の事を言います。

また東洋医学では左下腹部の圧痛や硬結や冷感域を特に「瘀(お)血の証」と呼んでいます。


不妊症の治療では「肝・腎・脾」の3臓を調えることが重要となります。

「瘀(お)血」の関係が深い臓も「肝・腎・脾」となりますが、肝は血を蔵し(肝蔵血)、肝血が不足すると月経量が少なくなりひどい場合は閉経したりします。

また肝不蔵血の場合は月経量が多くなりひどいと不性器出血が起きます。

肝の血流調節の機能は蔵血と疏泄機能のバランスが保たれて初めて正常に行われるもので、肝の疏泄機能が衰えると生理不順・生理痛が起きやすく、「瘀(お)血」が出来やすいのです。

肝は血を蓄え、体の血量を調節する働きをしています。

東洋医学では「肝は血を蔵する」と言われています。

肝は過度の怒り(怒る・イライラするということ)が起きると、精神上の激しい刺激を受けてその正常な働きができなくなり、酷いときは吐血まで引き起こすことがあるといわれています。

つまり肝経の血の流れ、特に、骨盤内の流れが悪くなることにより、冷え症・瘀(お)血が出現します。

女性の場合、骨盤内に子宮という血液を集めたり、出したりを繰り返す臓器があるために、月経がスムーズに繰り返さなければ、瘀(お)血という形で滞った悪い血が溜まってきます。

この瘀(お)血の状態が進むと、頭痛・めまい・肩凝り・のぼせ・生理不順・生理痛・月経前のイライラ・冷え性等の症状が現れ、また不妊症の原因ともなります。

当院では鍼とお灸を使い体の陰陽バランスを調え、妊娠しやすい体造りをお手伝いします。



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壽堂日記27年8月5日「不妊症とストレス・ストレス学説とは?」

2015-08-05 05:17:35 | 日記

当院では不妊症の原因の多くは「冷え」と「瘀(お)血」と「ストレス」であると考え鍼灸による不妊症の治療に取り組んで居ります。

今日はストレスと不妊症の関係について簡単に説明してみたいと思います。

四診で不妊症の患者様のお体を拝見すると多くに方は「舌は白色または暗赤色」であり、腹診するとお腹が硬かったり冷感がしたりして「冷え」や「瘀(お)血」の症状が出ており、さらに夏でも手足が冷たく、頭がのぼせ肩がこる等のいわゆる「上実下虚」の方が多く、肩甲骨間の筋肉が緊張して凝っています。

舌が白色は「体の冷え」暗赤色は「お血」を示しますが「肩甲骨の間」の緊張はストレスを示します。



肩甲骨の間には精神活動と関係が深い「魄戸」「心兪」「神堂」「巨闕兪」「身柱」などの経穴がありストレスが強いと凝りや圧痛などの諸症状が出ます。

不妊症を治療する上で、重要となるのがこのストレスです。不妊症でお悩みの女性は、精神的なストレスが溜まりやすくなっています。

不妊症には、「冷え」「瘀(お)血」などの様々な原因がありますが「ストレス」も大きな原因となります。



現代のようなストレス社会では、日常生活の中でストレスを感じることが多く、それが不妊症の原因となる場合も多いのです。



ストレスが不妊症の原因となるのは「ストレスによってホルモンバランスが崩れる。」のが原因で、実はストレスに対抗するホルモンを分泌する器官と、生殖活動を行う際に必要となるホルモンを分泌する器官は同じことが多いのです。

モントリオール大学のハンス・セリエ教授が提唱した「ストレス学説」によれば、過度のストレスにさらされると人間の体は防衛反応として視床下部にある自律神経の中枢が興奮を起こし、副腎髄質がホルモンを分泌して「防衛行動=緊急反応」をとります。

妊娠に必要な性腺刺激ホルモンも、この視床下部を通して分泌されています。

そのため、ストレスへの防衛行動が優先されて、生殖活動に必要なホルモンが十分に分泌されない場合があります。そうなると、ストレスで妊娠しづらくなり、その不妊によってさらにストレスが溜まると言う悪循環になります。

不妊症の改善には、ストレス解消が欠かせません。

当院は鍼灸治療で気血水の流れを調え「冷え」「瘀(お)血」「ストレス」を改善し妊娠しやすい母体を創る事を目指しております。


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壽堂日記27年8月4日「東洋医学的な不妊治療とは?」

2015-08-04 06:29:48 | 日記

「ことぶき堂鍼灸院」では東洋医学的な人体観に基づき鍼灸による「不妊症」治療を行っております。

現代西洋医学的な「不妊症」治療を受けている方から『東洋医学的な不妊治療も受けて見たい。』と相談を受ける事が増えました。


治療内容は患者さん一人一人のオーダーメイドですが、基本となる東洋医学的な考え方をご紹介したいと思います。


現代の様なストレス社会において、人は常にストレスに曝されています。ストレスは気・血・水の流れの変調をもたらします。

鍼灸治療は気・血・水の流れ・陰陽バランスを調える治療ですから、鍼灸治療は全ての人に効果があるといっても過言ではありません。


では具体的に「不妊症」の治療において鍼灸治療はどのような効果を持つのでしょうか。

東洋医学において、大きく分けて肝・脾・肺・腎の4つが、妊娠に影響すると言われています。

昔から、「腎は精を貯蔵する『作強の官』(生命エネルギーの強さを作り出すもの)と呼ばれ、人体の生命活動を維持する基本的な栄養物資である精を貯蔵し、五臓六腑の要求に応じて随時その精を供給し、それらの健全な働きを維持しているといわれています。

そして、全身に精力を与え、粘り強さや根気を生み出すとされています。

腎は、生殖用の精も貯蔵しています。

生殖用の精が不足すると、妊娠ができない様々な症状となって出てきます。
男の精と女の精が合体し、胎児の腎気となり妊娠が成立します。受精した時点で胎児の腎気の強弱が決まっていて、これが持って生まれる「先天の気」です。

腎の力は成長と同時にその力も高まっていきます。

中国の古典医書『黄帝内経』という書物の中では、腎気の年齢的消長を次のように述べています。

 女子では、「七歳で腎気の働きが活発化し、歯が生え替わり、髪も長くなる。14歳で天癸が充満し、任脈と衝脈の流通が増進し、月経が始まる。
21歳で体格は頂点に達し、28歳で筋骨は充実して引き締まり、毛髪は最も長く豊かになる。しかし、35歳になると陽明経脈の機能が衰え、白髪が進行し、49歳で任脈が空虚になり、月経が停止する」

 最近CMで見かける女子は7年ごとに節目を迎えるとの出典はこの『黄帝内経』の記載です。

生殖能力において腎は非常に大切であり、どんなに年齢が若くても、生活環境や食生活などで腎の力が不足して来ると、生殖能力が衰え、次第に卵巣機能や子宮機能が低下し、無排卵や無月経、子宮内膜が薄くなり、着床しにくいなどの症状が出てきます。

また肝は血を蓄え、体の血量を調節する働きをしています。東洋医学では「肝は血を蔵する」と言われています。

肝は過度の怒り(怒る・イライラするということ)が起きると、精神上の激しい刺激を受けてその正常な働きができなくなり、酷いときは吐血まで引き起こすことがあるといわれています。肝はストレスが影響を与えやすい臓腑であると考えられます。

つまり肝経の血の流れ、特に、骨盤内の流れが悪くなることにより、冷え症・お血が出現します。

女性の場合、骨盤内に子宮という血液を集めたり、出したりを繰り返す臓器があるために、月経がスムーズに繰り返さなければ、血という形で滞った悪い血が溜まってきます。

このお血の状態が進むと、軽い症状としては頭痛・肩凝り・月経前のイライラ・めまい・足の冷えとして現れます。


鍼灸を用いて、経脈上のツボを刺激することによって女性が本来持っている力を引出し、卵巣と子宮の機能が高まると、妊娠し易い体質へと改善されていきます。

また黄体機能不全、卵巣過剰刺激症候群などのホルモンのバランスの崩れには、東洋医学が非常に効果的です。


当院では東洋医学だけに全てを頼るのではなく、症状によっては現代医学との併用が有効と考えます。

当治療院では鍼灸治療により不足している五臓の気を補い、「ストレス」「お血」「体の冷え」を治療し妊娠し易い体を造ることを目標とし治療をしております。



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壽堂日記27年8月1日「不妊症の治療・胚移植に鍼灸治療は効果がある?」

2015-08-01 04:02:52 | 日記

猛暑の中、不妊治療で「胚移植」をされる患者さんが来院されました。

当院では刺さない鍼を使用する「積聚治療」で不妊症の治療を施術しております。

「胚移植」の直前と移植後に鍼灸治療を受けると妊娠率や出産に至る確率が高まる事はよく知られており「胚移植」前後に治療を受けられる患者さんは多いのです。

この元になった研究はアメリカのメリーランド大学医学部統合医療センターの研究員らの調査で「体外受精時の胚移植の前後に鍼治療を受けることで、その後の妊娠率や出産に至る確率が高まることが明らかになった。」と報告されています。

この報告は欧米4ヶ国で実施された1366名の女性を対象に、体外受精時の胚移植の前後に、伝統的な鍼治療を受けた女性のグループ、にせの鍼治療を受けた女性のグループ、そして、何も施されなかった女性のグループのその後の成績を比較したところ、伝統的な鍼治療を受けたグループは他のグループに比べて、妊娠した割合が65%、そして、出産に至った割合が2倍であることが分かったそうです。

体外受精時の胚移植の前後の鍼治療は、その後の妊娠率や出産率を向上させることがデータで裏づけたられた訳ですね。

鍼灸治療が不妊治療に有効であることを示す各国の論文としてはその他に代表的なものとして

・胚移植日にはり治療を行うと体外受精、顕微受精の妊娠率を上昇させる。
 273例を研究対象とし、はりを行わない群では22%の妊娠、はり治療群では36%の妊娠率であり、はり治療群が妊娠率が高かった。(アメリカ生殖医学学会誌2006年 デンマークでの研究結果)

・体外受精と顕微授精例の黄体期には、はり治療を行うと、はり治療群に妊娠率が高かった。
 225例を対象とした、はりを行わなかった群では13.8%、行った群では28.4%の妊娠率ではり治療群に妊娠率が高かった。
(アメリカ生殖医学学会誌2006年 ドイツでの研究結果)

・体外受精例にハリ治療を3回行い、ハリ治療群に妊娠率が高かった。
228例を対象に、HMG(排卵誘発剤)注射時、採卵前、採卵直後にハリを行い。行わない群では23%、ハリ治療群では31%の妊娠率で、ハリ治療群に妊娠率は高かった。
(アメリカ生殖医学学会誌2006年 オーストラリアから研究結果)

などがありますし、国内でも同様な研究成果が報告されています。

鍼治療がどのようなメカニズムで不妊治療の成功率を高めるのかはよく分からないとしていますが、ストレス緩和の効果も大きいのではないかとされています。

ストレスを受けることで、人の気血水の流れが変調します。

胚移植の前後の気血の流れの変調は、胚が着床し、妊娠が継続することに、何らかの影響を及ぼしていると考えられます。

体外受精を受ける女性にとって、胚移植の前後に鍼灸治療を受けて、気血の流れを調え、ストレスを緩和することはとても大切です。

当院では体外受精の胚を戻す前と後に鍼灸治療を受けることをお勧めしております。


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